ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

高田渡ライブIN那覇

2008年09月12日 | ガジ丸通信-音楽・映画

 2004年3月14日、高田渡ライブ。会場のクラブDセットは、実家から歩いて10分程度の、国道58号線から少し入ったところにある。長い間、ジャズ以外のライブハウスには縁がなくて、私はまだ2度目の訪問。昨年の、遠藤賢二ライブの時以来。
 何時開演かを覚えていなくて早めに行った。会場には7時に着いた。店の前に告知板があり、開演は8時と書いてあった。あと1時間もある。が、すでに5、6人の客が並んでいた。高田渡ってこんなに人気があったのかいな、と思った。
 どんなに美味しいラーメン屋だろうが、私は並ぶのが好きではないので並ばない。食い物でなくても、何かを並んで待つという経験が私にはほとんど無い。よって、その夜も渡ファンの列には並ばず、近くにある養老の滝松山店へ一杯やりに行く。

 開演の20分前、ライブハウスへ戻る。1時間前に既に並んでいる人がいたので、「ひょっとして満席」という一抹の不安を感じながら中へ。不安は杞憂。客は6分の入り。
 前から2列目の4人用の丸テーブルに案内される。少しして友人のTが来て、8時ちょうどくらいにIさんも来る。Tの同僚(新聞社)のカメラマンが、たまたま取材に来ていて、我々のテーブルに加わる。3人に、高田渡はアル中だった。今もそうかもしれない。昔から爺さんのような顔をしていた。山之口獏の詩を歌っている。などといった私の知っている高田渡に関する薀蓄を語っているうちに渡がステージに上がった。

 ゆったりとした足取りで椅子に向かう渡はやはり、酔っていた。スローモーションのような動作でギターを取り、腰掛ける。「沖縄は久しぶりです」などと語りながら傍らのテーブルにあるグラスに手を伸ばす。透明な液体は日本酒なのか泡盛なのか知らないが、アルコールには違いない。大丈夫かい、最後まで持つかいと心配になる。
 ライブから1ヶ月が経ってしまって、どんな順番で何を歌ったのかを今、正確には思い出せないが、前半歌った唄はほとんど私の知っているものだった。
 「ブルース」、「コーヒーブルース」、「ものもらいの話」、「69」、「朝日楼」、「鎮静剤」、「アイスクリーム」の7曲。
 前半が終わって小休止。休憩の前に渡は「後半はガンガンやります」と言った。おそらく、せっかく沖縄で歌うんだから獏の詩をガンガン歌いますぜってことだろうと、私は勝手に想像して、後半が始まるのを大きな期待を持って待った。

 15分ほども経って、渡が再登場する。酔いが深まっている様子。最後まで持つかいなという私の不安が現実になりそうな千鳥足、目はうつろ。スローモーションの動作はさらに遅くなり、ステージに上がってギターに手を掛けるまで5分ほど費やした。そして、手を掛けたまま動かない。しだいに上半身が揺れる。もごもごと何か言っている。手を掛けたままだったギターを抱いて、腰掛けるまでに10分以上かかった。
 そしてやっと、開けるのがつらそうな目を何とか少し開いてダルそうな声を出す。前半の最後に「後半はガンガンやります」と言っていたのに、その声は「3曲だけやって終わります」と言う。そしてまた、動きが止まる。そのまま1曲も歌わずに時が流れる。
 渡は寝ていた。スタッフの人が何度も起こしにかかるが、起きない。そのまま時間は過ぎていく。30分以上もそのまま。しかし、客は皆、黙って渡を見ている。高田渡はそういう人であることを皆が認識し、納得しているようであった。
  やっと目を覚まして、酔いの抜けない声で、「2曲だけやります」と言う。寝ている間に1曲減らしてしまったようだ。そして、歌い始めた。『ごあいさつ』、これはごく短い作品である。長い曲をやる気力が無いんだなあと思った。しかし、酔った頭でも、これではウチナーンチュに申し訳ないと思ったかもしれない。最後に、『生活の柄』を歌った。山之口獏の詩だ。私を含め、多くの観客が喜んだ。『生活の柄』にはコーラスの入る箇所がある。知っている客は自然に合唱した。半分寝ながら、渡は最後まで歌い切った。

 演奏を聴いている時間よりも、寝姿を見ている時間の方が長いライブであった。それでも私は大いに満足した。ギターを抱えて寝ている姿も含めて、タカダワタルという作品を堪能できたと思った。タカダワタル的空気に包まれて、私は幸せを感じていた。その空気に包まれたまま眠りたいと思い、家に帰って、渡のCDを2枚続けて聴いた。
          

 記:2004.4.2 島乃ガジ丸 2008.8.31加筆

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