ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ヤブラン

2017年08月13日 | 沖縄の草木:草本

 剣豪宮本武蔵、何年か前のNHK大河ドラマで演じられた(役者の名前を忘れた。歌舞伎俳優の、スキンヘッドの人)武蔵は、魅力に欠けた武蔵であったが、吉川英治の描く武蔵は好きで、武蔵の座右の名「我、事において後悔せず」も好きで、私もまた、これに似た言葉を我が座右の銘としている。「なっちまったものはしょうがない」である。
 とはいえ、じつは私は、寅さんのように後悔だらけの人生を送ってきている。あれを思い出し、これを思い出しなんかすると、誰もいない部屋で「あー」と叫んだり、深く溜息ついたりしてしまう。そういうことは心に悪い。体にも悪影響を及ぼす。だから、「済んだことはしょうがない」とでも思わなければやっていけないという訳なのだ。

 親戚がアパートを建てた。アパートの名前を掘り込んだ石をアパートの玄関前に置き、その石の根際にヤブランを植えた。もう15,6年前の話だ。ヤブランは、庭の材料としては上等なのだが、名前が良くない。アパートの1階は店舗になっており、週1回、私はそこへ通っている。たまに(年に2、3回)、その庭の手入れをしていると、石の傍のヤブランに目が行く。そうすると、たまに、「あー」というようなことを思い出す。
 あがた森魚、といっても知らない人も多かろうが、詳しくは書かない。昔の、今も現役だとは思うが、フォーク歌手。もう50をとうに越しているだろう。彼の唄に、
 Kという名のイニシャルだったね。思えば、悲しい初恋の人
 (中略) 約束は約束さ きっと守るよって (後略)
って唄。「約束は約束さ」のところがサビ。切なく情熱的に歌い上げる。この唄を聞くと、ヤブランを見て、たまに思い出すことと同じことを思い出す。

 少女は高三の夏、先輩と手を繋いで海岸を散歩した。先輩は軽い気持ちだったのだが、それからしばらくして、クリスマスの近付いたある日、少女は先輩に電話した。肩幅のサイズを訊いた。先輩は、その意味を承知の上、質問に答えた。そして、「会える?」と訊くので、会う日を約束した。「ホント?」と念を押すので、「約束は破らん」と言った。それなのに、当日すっぽかした。その夜先輩は、別の女と一緒だった。それがばれた。
 私は根が真面目なので、以来、できるだけ女性との約束事はしないようにしている。真面目なのだがいい加減なので、約束を約束と認識できないこともたびたびある。言い訳は準備できている。「約束を破ったのでは無い、忘れただけなのだ。」と。

 ヤブランは、庭の材料としては使い勝手も良く、姿も申し分ないのだが、名前が良くない。見るたんびというわけでは無いが、たまに、「なっちまったものはしょうがない」という座右の銘を忘れた時などに、「あー」と声が出てしまうようなことを思い出させる。
 
 ヤブラン(藪蘭):根締・添景
 ユリ科の多年草 分布は関東以西から琉球列島 方言名:ヤマクーブ
 山野の樹林の下など、あまり陽光の射さない、湿った場所に自生する。初夏に、長さ20~30cm前後の花茎を伸ばし、その先に多数の花を穂状につける。一つ一つの花は小さく、淡い紫色。果実は丸く、熟すると黒くなる。根を強壮薬として用いる。
 花も実も、近付いて、単独で見ればそれなりに見応えもあるが、叢生する濃い緑の葉に隠れて、全体としてはあまり目立たない。むしろ、その叢生する濃い緑の葉が庭の材料として重宝される。暗い場所でもよく育つので、石と石の間の根締めとして用いられる。
 
 花
 
 フイリヤブラン

 記:島乃ガジ丸 2005.3.1 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行

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