ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

フーチバー

2011年03月11日 | 飲食:食べ物(材料)

 サギグスイ

 この時期(10月下旬)はもうそんなことは無いが、夏の間は暑さで、夜中何度も目を覚まし、朝は鳥や蝉の声がうるさくて早い時間に目が覚める。だいたい6月の梅雨明けから9月一杯まではそういう状態が続き、寝不足の日々を送っている。

 寝不足のせいかどうかは知らぬが、私の血圧は概ね、冬場は正常値だが夏場は高い。夏場の血圧は、医学の本によると「低高血圧症」という範囲に入る。ヒージャー汁を食ったり、飲みすぎたりなんかすると、「低高血圧症」という範囲を超えたりもする。
 10月に入って、さすがの沖縄も涼しくなった。これで例年なら、私の血圧も正常値に戻る頃となった。が、今年は台風の襲来数も異常だったが、私の血圧も異常である。寝不足では無いのだが、なかなか下がらない。ちょっと心配になって、先日、沖縄のとっておきのサギグスイ(下げ薬)を買って、食うことにした。サギグスイはフーチバー。

  フーチバーとはヨモギのこと。あの野原に生えているヨモギ。それを一束、茹でて、ポン酢をかけてガシガシ食う。翌日、見事に血圧は下がり、正常値となっていた。恐るべき薬効。食べても美味しいし(本土のヨモギとは種が違うらしい。なお、植物としてのヨモギの話は沖縄の草木で述べる)、ゴーヤー、スヌイ(モズク)、シークヮーサーの次に来る沖縄の健康食は、フーチバーに間違いない!と思ったのだ。
 と、ここまで書いて、ウチナームン(沖縄物)を良く知っているに同僚に「サギグスイって血圧を下げる薬って意味だよね」と確認すると、「サギグスイは便秘の時の薬さあ。お腹の物を下すって意味さあ」という答えだった。で、さらに本で確認する。サギグスイは、体の老廃物を外に出す薬と書いてある。便秘もお腹に老廃物が溜まっているということなので、同僚の答えは当たっていた。ただし、フーチバーの効能は、高血圧に効くとあるので、上記の文の内容、全体的にはほぼ正しい。ので、訂正しない。

 フーチバーは、フーチバージューシ(雑炊)としてよく知られているが、味噌汁に入れても美味しい。本土のヨモギほどでは無いが少し癖があるので、肉や魚などと合わせた方が良い。牛汁、魚汁などに入れると肉や魚の匂い消しとなるばかりか、フーチバーそのものの癖も肉や魚に奪われて軽くなる。特に、匂いの強いヒージャー汁には欠かせない。すき焼きにも、春菊の替わりに私は入れる。とーっても美味しいと、私は思う。また、天ぷらでもいける。沖縄でフーチバーは野菜、どこのスーパーでも売られている。
 なお、沖縄語辞典によると、サギグスイはのぼせを押さえる薬とある。
 

 記:2004.10.29 ガジ丸 →沖縄の飲食目次