ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

環境良ければ

2017年09月15日 | ガジ丸のお話

 今年の夏の糞暑さに、週一日記やガジ丸通信など他の記事でも「暑いぜ!」と何度か書いているが、しかし実際に私が「暑いぜ!」と発していることはほとんど無い。私が暑さに腹を立てて口から発している言葉は、概ね「アチさよ!」である。アチは「暑」の沖縄語読みで、「アチさよ!」は「暑いぜ!」とほぼ同義となる。そして、「アチさよ!」に続く言葉も時には出てくる。額から顎からポタポタ汗を垂らしながら空を見上げ、「フリトゥどぅウミ!」などとブツブツ呟く。「気が振れているのか!」といった意。
 暑さのせいか作物の生育が悪い。ゴーヤーは実着きがとても悪く、やっと着いたとしても小さい内に黄色くなる。ヘチマに至っては全く実を着けない。オクラはまあまあ実を着けてくれ私の食卓に毎日上っているが、トマトは成長せず、キュウリは枯れた。
     
     

 そんな暑い8月が終わって、9月になれば少しは涼しくなるかと思ったら、今年は9月になっても真夏のように糞暑い。7月8月が糞暑かったことは私だけでなく、沖縄に住むほとんどの生きものたちも感じたはずだ。そしてまた、9月になったら少しは涼しくなるだろうとは、私だけではなく動物たちも思ったに違いない。
 「おかしいなぁ、何でこんなに暑いんだ!こんなに暑かったらここでは過ごせないぞ、しばらく避難するか」と思い、彼は北へ向かって飛んで行った。
 「暑ぃなぁ!沖縄だよな、いつから熱帯になったんだ?こんなに暑かったらここで子作りなんてできないぞ」と思い、彼らは木を降りて地中へ引っ込んだ。

 9月7日、クマゼミの声を聞いた。クマゼミはその日午前中の一時(20~30分)鳴いただけで、その後は全く聞こえなくなった。その数日前にはアカショウビンの声も聞こえた。アカショウビンも9月7日までは聞こえたが、その後は無い。
 クマゼミは真夏の蝉、アカショウビンは夏鳥だが、今年はどちらも8月には消えていた声だ。動物たちも今年の夏の暑さには勝てなくて、どこぞへ避暑にでも行っていたのだろう。そして、9月になって「もう大丈夫」と思っていたらこの暑さ、アカショウビンはまたも北へ向かい、クマゼミは「ダメだ、今年はもうお終い」となったかもしれない。
     

 私の両親が生前、たくさんの植物を自宅、屋上とかベランダで育てていた植物の内、そのいくつかを形見と思って畑で保存している。門前花壇にあった桜、玄関前にあった鉢植えのクチナシ、屋上にあった鉢植えのアデニューム、鉢植えのシキカン、ベランダにあった鉢植えのサクララン、鉢植えのサボテンなど。それらの内、鉢植えのアデニュームは大きな鉢ごと、シキカンは鉢から出して従姉の夫の土地に置いたり植えたりした。シキカンはゴマダラカミキリに食害され、今はほとんど枯れている。アデニュームは毎年花を咲かせ、今年春、枝を切り取り鉢植えを3鉢作って、今元気に育っている。
 シキカンとアデニューム以外の植物は現在私が借りている畑に植えた。サクラもクチナシもスクスク育ち、実家にあった頃よりサクラは5倍、クチナシは10倍位の大きさになっている。サクラランは枯れてしまった。サボテンも生育が悪かった。
 今年(2017年)7月1日、「サボテンまで枯らしたらあの世に行った時、オヤジにバカにされそうだな、そうだ、鉢上げしてみよう」と思い立った。
     

 地植えしているのを鉢上げする意味は、専門家では無いので「たぶん」となるが、管理がしやすいからだと思われる。その植物に合った気温、光の加減、風当たり、水遣りの加減などが調整しやすいからだと思われる。で、サボテンを鉢上げする。
 両親の形見のサクラランとは別に、友人から頂いたサクラランも畑に植えていた。植えた場所はどれも木陰となる場所で、土は畑の水捌けの悪い土。サボテンも、クチナシが大きく育ったおかげでほとんど木陰となり、土は同じく水捌けの悪い土。鉢上げの際は土に砂と堆肥を混ぜて水捌けを良くし、両方同じプランターに植え、日向に置いた。
     
 それから数日後、そのプランターを見ると、サクラランの葉の多くが枯れていた。「何だ、何が悪いんだ?」と改めて図鑑を開く。サクラランの生育環境は「林内」とあった。「そうか、日向が良く無いんだ」と解った。で、プランターを日陰に置く。
 その後、サクラランは成長もせず枯れもせずであったが、サボテンもまったく成長しない。よーく考えると、サボテンは砂漠に育つ日向大好き植物だ。というわけで、7月31日、サクラランとサボテンを別々の鉢に移して、サボテンは日向に置いた。
 その後、サクラランは変わり映えないが、サボテンはスクスク育った。サボテンを鉢に移して日向に置いてから約40日後の9月10日、サボテンは倍の高さになった。
     

 環境さえ合えば作物は育つ、自然はきっと作物が育つような環境を提供し、人間はその環境に合った作物を栽培すれば良いのだ。ところが、去年の環境と今年の環境が違ってしまえば、去年育った作物が育たないということも有りうる。私が農夫としては劣等生ということもあろうが、この夏、私の畑の作物は概ねが不作。しかし、周りの先輩たちに訊いても今年は作物の出来が悪いとのこと。環境が大きく変動すると農夫は困る。困るので私は、地球温暖化を憂慮し、地球環境に配慮した生活がイイねの立場にある。

 記:2017.9.12 ガジ丸 →沖縄の生活目次