ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

沖縄の浮浪者

2016年05月06日 | 沖縄04行事祭り・生活風習・言葉

 拾う人有り

 先週火曜日(4月26日)、我が家のシーミー(清明祭)を行った。シーミーとは沖縄の伝統行事で、二十四節季の清明の頃に家族総出、近い親戚も参加し墓参りをする行事。たいして詳しく書いていないが、私の記事「ウシーミー」参照。
 わけあって去年は1人だったが、同じわけで今年も1人のシーミー。去年は1人でもそれなりの御馳走を供えたが、天候不順のため今年は供え物も質素。しかし、墓掃除はちゃんとやった。いつもなら隣に住む自由人が邪魔をするのだが、今回は幸いにも、自由人はお出かけ中で留守だった。30分ほどで行事も済ませることができた。
 自由人が留守は、実は期待していた通りのこと。午前中に行くと彼はたいていいる。午後になるとお出かけするということは長年(彼が我が家の墓の隣に住み始めて20年くらいになるかも)の付き合いで知っていた。午後になると彼は街をブラブラする。本屋へ寄って立ち読みしたり、若者達を捉まえて説教したりしている。そして、これは見てもいないし聞いてもいないが、彼はおそらくその後、ゴミ拾いをしているはず。
     
     

 私が子供の頃、片手の無い人、片足の無い人、目の不自由な人(当時はめくらと言っていた)たちが路上に座って、サンシン(三味線)弾いたり、ハモニカ吹いたりしていた。彼らの前には空き缶が置いてあり、その中に通りすがる人(の内、心優しい人達)が小銭を投げ込んでいた。父母や祖父母は彼らのことを乞食と呼んでいた。手が無い、足が無いのは傷痍軍人か、戦争で傷を負った一般人であるとのことであった。
 同じ子供の頃、家々を回って募金願いをする人もいた。いかにも貧乏そうな身なりで、何度も何度も頭を下げ、食べ物だったり、1セン(セント:今だと10円くらいの価値)2センのお金を恵んで貰っていた。父母や祖父母は彼らのことも乞食と呼んでいた。
 高校生になって山之口獏の詩を読んだ時、その中に「ものもらい」という言葉が出てきた。「食物などを人からもらって生活する者」(広辞苑)のこと。誰の詩だったか思い出せないが、「異土のかたい」という言葉も知った。異土は外国のこと、かたいは乞丐と書き、「道路の傍らなどにいて人に金品を乞い求めるもの」(広辞苑)のこと。

 私が大人になってからは、物貰いも乞丐も見かけなくなったが、浮浪者はいる。大学生の頃、新宿の地下街で段ボールを壁にしてねぐらとしている人達を多く見た。その頃は彼らのことを浮浪者と言ったが、しばらくして、ホームレスという呼び名に変わった。
 沖縄に地下街は無いが、浮浪者は多くいる。沖縄の浮浪者たちは、寒さを凌ぐための地下街が無くても平気、公園の目立たない所や墓地や空き地などに雨風を凌ぐブルーシートを張ってねぐらとしている。南国沖縄は野外でも凍えるほどは寒くならない。
 浮浪者たちは概ね、物貰いや乞丐のような真似はしない。私が我が家の墓の隣に住む自由人に聞いた限りでは、彼らは町を歩き回って食い物や金目のものを拾い集めて生活しているとのこと。繁華街を歩けば、食い物は多く捨てられているとのこと。ちなみに、自由人とは、「金を稼がなければならない、働かなければならない、結婚し、子孫を残さなければならない、家を建て、家族を守らなければならない」といった決まりから自由であるという意味で使っている。浮浪者やホームレスに比べれば優しい言葉だと思う。

 我が家の墓の隣に住んでいる自由人は、無縁墓となった墓に建築現場から拾ってきたであろう板で囲いを造り、ビニールトタンで屋根を葺き、そこを寝室とし、隣の墓に1斗缶で作った炉を設け、椅子を置き、塀の上に調味料など並べ、そこを台所兼居間とし、左隣の墓には拾ってきた雑多なものを置いて、そこを収納部屋とし、我が家の墓には拾ってきた材木(薪としている)など置いて、日常的に使う物置としている。
 物置となっている我が家の墓には材木の他、調味料、缶詰などもストックされている。いったいどこから拾い集めたのか、フライパン、鍋、ヤカン、食器なども揃っており、泡盛もあれば、トンカツソースやマヨネーズ、ケチャップまである。私よりよほど物持ちである。街を歩いて拾い集めれば私より物持ちになれるようである。
     

 自然の恵みから生まれたもの、それに人の手間を加えて作られたもの、それらをゴミとして捨てる人がいれば、生きるために必要なものとして拾う人もいる。
 私のような捻くれ者の目から見れば、金欲物欲に走り、人間を生かしてくれている自然に感謝することなく、その恵みを貪って、飽食に溺れ、食べ物を大量に捨ててしまうような人達に比べれば、捨てられたものを拾って命の糧にしている浮浪者やホームレスや自由人の方が遥かに地球に優しい生き方をしているのではないかと思う。

 記:2016.4.28 ガジ丸 →沖縄の生活目次

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