ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

オキナワチビアシナガバチ

2011年06月25日 | 動物:昆虫-膜翅目(ハチ他)

 チビクス(尻糞)

 私がトンボ公園と仮称している沖縄市泡瀬の公園には、ちょっとした池がある。そのお陰でトンボが多く住んでいるのである。
 ある日、その池の傍で昼食をとっていた私は、弁当を食い終わって、何かトンボ以外に面白い虫はいないかと辺りを見渡した。・・・いた。小さなハチがいた。小さいがきれいな色模様をしている。オキナワチビアシナガバチであった。

  チビとは私もよく使う言葉だが、改めて考えるとその由来が解らない。小さい尾、小さい美、小さい微などと考える。どれもしっくりこない。ウチナーグチ(沖縄口)でチビというと尻のことを指す。つまり、ビリッケツのケツということで、チビとは、問題にならないような小さなものという意味なのかもしれない。ちなみに、ウチナーグチでは人を罵るときにチビクスと言ったりする。尻糞ということである。ひどい言葉だ。私は父親に何度も言われている。我が子のことを尻糞と言うなんて、まったくひどい親だが、沖縄の普通の家庭ではよくあること。私の家は上品な家庭では無かったということ。

  オキナワチビアシナガバチ、その動きから、近づいても刺されるという不安を持たなかった。草の上を移動していく1匹を接写するため、中腰になったままずっと追いかけていく。しばらくすると、しだいにその数が増えていくのに気付いた。近くに巣があるんだなと推測する。見上げる。すぐ傍に、ガマの葉に付着した20センチほどの長さの巣があった。たくさんのオキナワチビアシナガバチがそこにいた。どれほど近づけば攻撃対象になるのか不明であるが、私はその時、1mほどの距離にいた。素早く離れる。
 方言ではハチの類をハチャと総称しているが、ススキやチガヤの茂ったところに生息するところから本種にはガヤバジと特別に名前がついている。草刈の際によく刺されるらしい。この”よく”ということが、本種に特別の名を与える理由となったのだと思われる。若い頃、測量のバイトをしている時にハチに刺された経験があるが、そのハチ、これまで私はミツバチだと思っていたが、本種だったかもしれない。

 
 オキナワチビアシナガバチ(沖縄ちび脚長蜂):膜翅目の昆虫
 スズメバチ科 南西諸島、台湾、東南アジアなどに分布 方言名:ガヤバジ
 脚が長くて、小さくて、沖縄に生息していることからオキナワチビアシナガバチという名前。「ちび」とは「からだの小さいこと。そういう人。」(広辞苑)であるが、ちびを表す漢字が無い。語源が気になる。いつか調べよう。
 方言ではハチをひっくるめてハチャと総称しているが、本種にはガヤバジと特別に名前がついている。ガヤとはチガヤのこと。ススキやチガヤの茂ったところに生息するところからその名があるようだ。おそらく、ハチの種類(蜂だけでなく他の昆虫も)それぞれに名前があるかもしれないが、それらのほとんどが一部地域に限られたものなので、沖縄語辞典にも載らないのだろう。ガヤバジも沖縄語辞典には無かった。
 その名の通り、体長10ミリ内外と小さい。成虫の出現時期は周年。「ススキやチガヤの茂ったところに生息する」だけでなく、そこに巣を作る。食物は鱗翅目の幼虫。
 
 顔
 
 巣

 記:ガジ丸 2007.1.13 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行