自己満足のひと時
「八重山スケッチの旅」二日目は友人のNと二人で、西表島ジャングル体験ツアーに参加する。私は草木や動物たちの写真を撮りながらののんびり散策。Nも私に付き合ってくれて一緒にのんびりと歩く。Nが気付いてくれた動物もいくつかあった。天然記念物のセマルハコガメもその一つ。他にトンボの一つも彼が発見してくれ、写真を撮ったのだが、後で見ると、まったく使い物にならないほどピンボケしていた。
私自身が気付いた動物もいくつかある。イシガキトカゲやキノボリトカゲ先島亜種、脱皮した後なのか白いキノボリトカゲも見た。
もう一つ、道端の潅木の茂った暗い場所、シダ植物の葉に止まっている小さなチョウにふと気付いた。そっと近付いて写真を撮る。撮っている時に、初老の夫婦が我々に追いついて、何を撮っているのだろうと肩越しに覗き、「シジミチョウだな」と言って通り過ぎた。確かに、そのチョウ、シジミチョウに似てなくも無かったのだが、違う。
「いえいえ、お父さん、これはシジミチョウでは無く、たぶんジャノメチョウですよ」と私は心の中で思う。昆虫素人の私だが、この1年で昆虫に対する知識もだいぶ増えた。私がジャノメチョウと判断したチョウはその通り、ヤエヤマウラナミジャノメであった。撮った写真にYaeyamauranamijyanomeと名前を入れつつ、自己満足に浸った。
ヤエヤマウラナミジャノメ(八重山裏波蛇の目):鱗翅目の昆虫
ジャノメチョウ科 石垣島、西表島に分布する 方言名:ハベル
翅に蛇の目の模様があり、翅の裏側には波模様があるのでウラナミジャノメという名。八重山には他にマサキウラナミジャノメがおり、沖縄諸島にはリュウキュウウラナミジャノメがいて、この3種はよく似ている。写真は西表島のもの。マサキなのかヤエヤマなのか迷うところだが、『沖縄昆虫野外観察図鑑』に両者の区別の仕方が書かれており、それに従って、写真はヤエヤマウラナミジャノメであると判断した。
前翅長21ミリ内外。成虫の出現は3月から10月。食草はイネ科の植物、エダウチチヂミザサやチガヤなど。概ね森林の暗いところに生息する。
成虫
記:ガジ丸 2005.11.28 →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行