ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

サシバ

2011年04月09日 | 沖縄の動物:鳥

 差し歯の抜けた美女

 12歳下の従妹に可愛い子がいて、私と仲が良かった。子供の頃から妹のように可愛がったので、妹のような対象となり、残念ながら、恋心は芽生えなかった。それでも、彼女が結婚する前までは、一緒に映画へ行ったり、飲みに行ったり、買い物したり、ドライブしたりと、まるで恋人同士のようなデートをすることは何度もあった。
  ある日、そんなドライブの帰り、那覇へ向かう途中の宜野湾市の辺りで、正面にサシバが飛んでいるのが見えた。夕方ではあったが、空はまだ明るくて、サシバがサシバであることははっきり判った。「あっ!サシバだ」と思わず声が出た。その少し前に、テレビのニュースでサシバを見て知っており、飛び方のカッコイイ鳥であることを知っており、ちょっと興味を持っていたのだ。で、その飛んでいるのを見て、思わず声が出た。
 「えっ!」と驚いたように従妹も声を上げた。
 「いや、今、サシバが飛んでいるのが見えたんだ。」
 「サシバって?」
  「タカの一種だよ。渡り鳥で、この時期多いらしい。」
 「なーんだ、びっくりした。私の差し歯が取れているのかと思った。」
 「差し歯?オマエ、差し歯があるのか?」
 「うん、前歯が1本」
という彼女の顔を見て、私は笑ってしまった。想像力逞しい私は、差し歯の抜けた彼女がニカっと笑っている顔を想像してしまったのだ。それに気付いて、
 「何、笑ってるぅ。嫌らしいさぁ。」と従妹はムッとして言うのであった。が、私の想像した彼女の、前歯の欠けた顔はなかなか消えてはくれなかった。今でも時々、サシバを見ると、前歯の欠けた、間抜けな従妹の顔を思い出してしまう。困ったものだ。

 
 サシバ(差羽) 
 タカ目タカ科の旅鳥及び冬鳥 本州各地で繁殖 方言名:タカ
 方言ではタカは全てタカという名でひっくるめられている。ただ、タカには上等のタカと下等のタカがいるようで、その区別はある。上等のタカをアジタカと言う。アジは按司と書き、琉球王朝の位階名。偉い人が養うようなタカといった意味であろう。また、貴族の子弟が養うようなタカのことをチンミーダカと言う。チンは金、ミーは目のことで、金色の目をしたタカのことを指す。それに対し下等のものをカシジェーミーと言う。カシジェーは酒粕のこと。酒粕のような灰色の目をしたタカということ。
 本土で夏を過ごし、秋、南へ渡る。沖縄は中継地。沖縄の中でも、宮古島が中継地点として便利なようで、宮古島では毎年大群が見られるらしい。サシバが今年もやってきたなどとニュースになる。沖縄本島では大群を見ることはあまり無いようである。
 サシバもまたツバメ同様、中には根性の無いものがいて、「もうこれ以上飛ぶは嫌」と思うのか知らないが、南の国へ行かず沖縄で越冬するものもいる。そういった固体のことを「ウティダカ」と言うらしい。落ち鷹という意味。職場の近くにも毎年いる。
 沖縄では馴染みの深いタカで、その滑空するように飛ぶ姿はカッコ良く、すぐにそれと判る。森林やその周辺の草地に生息し、蛇・昆虫・小鳥などを捕食する。
 私の住む周辺でも、鉄塔や樹上の高いところに止まっているのをよく見る。全長49センチと、そう大きくは無いが、いかにもタカといった強そうな顔。
 鳴き声はピックィー、チッキィーと『沖縄の野鳥』にあったが、私にはピーッと聞こえる。よく通る声なので、「あっ、サシバだ」とすぐ判る。
 
 サシバ後ろ姿
 沖縄では馴染みの深いタカ。悠然と空を舞い、いかにも強そうな顔をしている。
 
 サシバ飛ぶ
 飛んでいるところ。ピーッという鳴き声でサシバと判断。

 記:ガジ丸 2006.2.14 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行

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