ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

タイワンホソヘリカメムシ

2014年10月31日 | 動物:昆虫-カメムシ・セミ

 瓜二つの台湾

 子供の頃読んだSF小説で、タイトルは忘れたが、もしも自分がそうなったらどうしようとまで考え、「そんなの嫌だ!」と、とても怖い思いをしたものがある。宇宙人に体が乗っ取られるという話。自分の意思で自分が動かせないという恐怖。
  自分が・・・というだけではない。父が、母が、その中身は宇宙人となったらと想像して、さらに強い恐怖を感じた。「いつか、寝ているところを殺されるかもしれない」などと純真な(と自分で言う)少年は想像して怖かったのだ。
 もしも父や母が、その中身が宇宙人になったとしたら、自分はそれに気付くだろうか?何かちょっと違うぞと感じるだろうか?・・・たぶん気付かないし、感じない。でも、それが純真な少年の頃では無く、汚れきったオジサンの今なら、ひょっとしたら気付くかもしれない。「この2人、何か別人見たいだぞ」と感じるかもしれない。

  春、私の畑にホソヘリカメムシがたくさんいて、エダマメについていた。エダマメを収穫してマメ科植物がなくなると、ホソヘリカメムシもほとんど見なくなった。ところが6月の下旬、畑小屋の前に見つけ、「まだいたか」と写真を撮ったが、ちょっと引っかかる所があった。全体から受ける雰囲気が「何か違うかも」と私に疑いを抱かせた。 
 タイワンホソヘリカメムシはホソヘリカメムシによく似ている。瓜二つと言っていい。両者を間違えたとしても素人としては何ら恥にはならないと思う。しかし、汚れきったオジサンの私は「何か違う」と気付いたのだ。素人に毛が生えたかもしれない。

 
 タイワンホソヘリカメムシ(台湾細縁亀虫):半翅目の昆虫
 ホソヘリカメムシ科 琉球列島、台湾に分布 方言名:フー(カメムシの総称)
 名前の由来は資料がなく正確には不明。胴の横の部分に平たい縁(ヘリ)がついているのでヘリ。ホソは体が他のヘリカメムシに比べて細いからであろう。タイワンは「南方系の」という意か、または、台湾で学術的発見がなされたからだと思われる。
 体長は14~17ミリ。寄主はイネ科植物、マメ科植物で、それらの花や実に多く集まるとのこと。私の畑ではバケツの水に溺れていた。出現時期は5月から12月。
 てっきりホソヘリカメムシだと思ってしまうほどよく似ている。ホソヘリカメムシ科は「成虫がハチのように飛ぶことや幼虫の形態、行動がアリに似ている」という同じ特徴を持っているので、さらに判別しにくい。『沖縄昆虫野外観察図鑑』によると、
 ホソヘリカメムシ
 後ろ足の大腿の部分が太い。
 キスジホソヘリカメムシ
 頭胸部側面から腹部側縁にかけて連続する顕著な黄色帯がある。
 タイワンホソヘリカメムシ
 後脚は暗褐色で、腿節に黄白色帯があり、膨大し、5~6個の歯状突起がある。
 
 斜めから

 記:2014.10.19 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
 『琉球列島の鳴く虫たち』大城安弘著、鳴く虫会発行