外為ガイドブック☆FX取引の基礎や相場分析を解説…五里霧中の相場取引に一筋の光を

外為市場経験者の浅野敏郎が値動きに着目したチャート解説や個人的意見を綴る相場ブログ&用語集!

サブプライム問題セミナー報告

2007-09-12 17:13:48 | ☆外国為替から離れる(雑感)
実は昨日、グループによる啓発セミナーがありました。
内部向けの教育セミナー的な側面でしたが、テーマがサブプライム問題であったので、出席してきました。簡単にご報告いたします。
 
サブプライムローンといえば、信用力が低い借り手向けの住宅ローンですが、プライムローンでも延滞すれば即サブ行きだとか、過去に信用履歴が無い借り手はサブしか途が無いとも聞いています。1990年代の日本のように、個人と金融機関の問題に限定されれば、ここまでの信用収縮には発展しなかったのですが、世界信用危機に発展したのは幾つかの理由があります。早い話、米国の個人ローンの焦げ付き問題が、なぜ世界的な信用危機に発展したのか、疑問をお持ちの方も多かったのではないでしょうか。
 
本邦でもリートの名称でポピュラーになりつつある不動産担保の証券化投資ですが、米国では個人の住宅ローンまでもが証券化されており、特にサブプライムローンは実に80%近くが証券化(RMBS-Residential Mortgage-Backed Securities)されているそうです。その証券をまとめてさらに再証券化した証券(CDO-Collateralized Debt Obligation)を含め、リスクの分散化がなされ、それが全世界の機関投資家などにばら撒かれたことで、リスクが世界的に拡がったといいます。その重要な引き受け先が、ヘッジファンドに集まった資金だったということができ、ヘッジファンド破綻をキッカケとして明るみに出たというわけです。

また、ヘッジファンドはこのようなリスク投資ばかりを扱っているわけではなく、比較的安全なファンドには金融機関も投資しており、ファンド破綻リスクが金融機関の損失を連想させグローバルな信用不安に拡大化したのも一因のようです。ただ、銀行はリスクの高い商品は基本的に投資できないようですから、ここへの影響は限定的だということです。今は、それが現実として見えてこないという不安からのパニックだとの見解もありました。
 
では、リスクが急拡大した理由についてですが、為替市場のメジャー通貨取引のように不特定多数の参加者が無尽蔵に売買できる市場があれば、今回のような一部のリスクは、市場で吸収できたのですが、流動性や投資主体が限定的だったため、買い手不在という事態を招き今回に至ったといいます。為替でいえば、ロスカットしようとして売り注文を入れても、ビッドがないため損失確定も出来ていない状態のようで、市場閉鎖中といったところでしょうか。株式市場でいえば、値幅制限にかかり売り気配のままの状態であるといえそうです。
 
しかし、サブプライムローンが100%焦げ付いているわけではなく、資産価値から必ず価格は存在します。それがどこなのかを市場は今、懸命に計ろうとしているところです。かつてアジア通貨危機のとき、マレーシアの通貨リンギットが管理相場となりましたが、暫くして対ドルの管理レートが公表され、凍結状態にあったマレーシア資産の再評価が可能となりました。おそらく今回も新たなリスクテイカー(国家かもしれませんが)の出現により取引がまとまり始めれば、一つの算出基準値がかたまり、膿の総額が判明することでしょう。その最初の審判が、当月後半に予定されている、あるイベントで下される可能性があるといいます。
 
当セミナーの試算では、サブプライム化したローンのうち、焦げ付きそうなものを15%前後として試算、元担保を半額で売却できたとして、膿の総額は日本の不良債権処理額のわずか6%程度となっており、試算だけを見れば対岸の火事どころか、焚き火程度に見えます。しかし問題は、怪しいという連想だけで罪の無い金融機関までもが高い資金調達コストにさらされていることで、これらが継続する限り投資として積み上げた余剰資金を取り崩すしかない流れは、暫く継続しそうな気配です。
 
以上、入れ知恵を個人的に噛み砕けた範囲でご報告とさせていただきました。詳細なご質問等に答えられそうにない点、ご勘弁ください

なお、為替への影響ですが、米国のFF金利の下げが実現した時点で、売られすぎの戻しはあり得るとのことですが、戻った資金が再投資へ向かうまでに投資マインドが温まるまでには、暫く時間が掛かるだろうということです。ドル円は戻り売りといったところでしょうか。では、後ほど。
 


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