ナマズの叫び

地震に関するニュースについて、僭越ながら雑感をお話しさせてください。

中国雲南省の地震、死者80人・被災者74万人に

2012-09-09 13:11:37 | 地震
M5.7程度の地震にもかかわらず、死者80人、負傷者700人以上、か。

雲南省のあたりというのは地震発生頻度も比較的高く、何度も地震被害を受けてきている。にもかかわらず、単純な耐震設計すら導入されていない模様。中国の中でも辺縁部に位置し、少数民族も多く、中央の配慮が行き届かない地域という事情もあるかもしれない。同じ中国でも別の地域なら違うかもね。

こういう地域に必要なのは、免震・制震・緊急地震速報のようなハイテク防災ではなく、もっと根本的な部分からだろうな。

中国雲南省の地震、死者80人・被災者74万人に(日経)

新しい「強震モニタ」の提供実験

2012-09-03 23:00:06 | 防災
今日、2012年9月3日10:00から実験参加者の募集が始まったが、夜に登録しようとするともう定員の1000名に達していました。
地震に対する世の中の関心の高さを改めて思い知りました。

http://www.kmoniexp.bosai.go.jp/

3月11日の雑感

2012-03-11 14:14:25 | Weblog
あれから1年。

あの日、オレは都内のオフィスで打ち合わせをしていた。その打ち合わせが終わりかけのころ、揺れ始めた。最初の方は揺れは小さいもののゆらゆらと長い周期のゆれだった。変な揺れ方だがたいしたことはないと思っていた。だが、なかなか収まらない。それどころか徐々に大きくなっていく。何がなんだか分からなくなってきたが、机の下にもぐった。それまでに経験のない長さのゆれだった。地震のことなら人よりは知っているつもりだったが、どこが震源で、どのくらいの規模の地震なのか、まったく見当がつかなかった。

ゆれが収まって、打ち合わせはそれで打ち切りにして、部下に指示を出し、情報収集を始めた。少しずつ入ってくる情報から、事の重大さを思い知らされた。東北が震源とのこと。想定されていた宮城県沖どころではなさそうだということ。マグニチュードは最初7.9だったのが、徐々に上がっていく。東北・関東の沿岸部に津波警報が出て、いつしか大津波警報に変わった。大津波警報?!10m以上?!本当かよ?!事実としてすんなりとは受け入れられなかった。

テレビは津波の映像を映し続ける。海面に海岸線と平行に幾筋かの白い長い線が連なり、それが沖から陸に向かって押し寄せていく。陸に到達すると今度は黒い水の塊になり、木々や田畑を、そしてついに家々を飲み込んでいく。津波から逃れようと自動車が猛スピードで逃げ惑う。しかし津波に追いつかれ、黒い水面に乗り、波に押されていく。延々とそんな映像が続いていく。目が離せなかった。冷静ではいられなかった。かといって狼狽していたわけでもなかった。喜怒哀楽のどれでもない、興奮状態だった。

多少落ち着いてきて、業務に戻る。情報を収集、整理し、まとめて、報告し始めた。とりあえず、当社の範囲内は大きな事故になっていないことが分かった。他社ではあるが、東北のほうの鉄道、特に沿岸部では線路は確実に津波にやられているはず、避難は間に合ったのだろうか、と心配はするが情報はなかなか入ってこなかった。翌日か翌々日かにようやく鉄道のお客様に被災者はいなかったことが分かりほっとする。

その後も、原発が、東電が、政府が、等々、いろいろあった。書き出すときりがないから、そのあたりはまた別の機会にしておこう。

今振り返ると、あの日を境に、あらゆる物事が変わりはじめた気がする。もちろん、楽な方へ、ではないけれど、一方で悲劇の始まりというわけでもなく、これまでに人間が作り上げてきた虚構の世界がぽろぽろと崩れはじめ、ナマの自然に戻ろうとしている、そんな気がする。

あの日から1~2ヶ月の間は、あまりにもたくさんの情報が入ってくる中、オレの頭はとにかく落ち着きなく、混乱していただけだったように思う。

少し経ってから、はてオレはどうしていけばいいんだろう、と考えられるようになってきた。世の中を見渡すと、相変わらずただ呆然と立ち尽くす人、オロオロする人、崩れかけた虚構を一生懸命守ろうとする人、何かに怒っている人、あくせくと落ち着きなく動き回る人、何事もなかったように以前と同じ日常を過ごそうとする人、などなど。

迷っている中、何がきっかけかははっきり覚えていないけど、なんとなく

「変えよう。変えられるヤツになろう。」

という気になった。何をどう変えるか、いつまでにどうやって、何のために、は考えながら、やりながらでいいから、とにかく活動しよう。

このまま今の会社にいて何ができるか、とも迷ったけれど、東北地方の復興や原発のことはみんなに任せればいい、この会社にいてこそできることをやればいい、と考えた。さて、この会社で何をする?

それは、次だ。
ずばり、いつか必ず発生する東海・東南海・南海地震に対してだ。
考えうる限り、できる限り最高の備えをすることだ。

備えとは単に早期地震警報システムや耐震補強の話にとどまらない。特にやりたいと思っていることは、社内や取引先に雰囲気を伝えることだ。「地震からお客様を守る」という意識を共有し、そのために各自のできることを各自でしっかりやっていくんだ、という雰囲気を広めたいと思った。そしてそれがこの会社でできれば、会社の外にも「地震からみんなを守る」という雰囲気を広めることができるかもしれない。

それは結局、以前からと同じことなのだが、変わったことが1つある。それは、東北での経験を無駄にしない、という責任が1つ増えたこと。二の轍は踏まない、踏んではいけない、ということだ。それが東北地方太平洋沖地震による被災者への報いになる、そう考えることにした。

この1年、あくせくと動き回った。少しずつだが、自分も変わり、周りも変わってきたように感じる。形になる成果も、もうちょっとで出せそうなところまで来れた。ここまで来れたのは、出会いの運のよさに恵まれたことが大のようにも思うが。

もちろん、その「形になる成果」が出せれば終わるような道ではない。これからも、1つ1つ着実に、できることからこつこつとやっていこうと思う。

2000年前の大津波 裏付け(読売)

2012-01-24 00:08:22 | 地震
高知大の岡村先生といえば、津波堆積物調査。津波堆積物調査といえば高知大の岡村先生。

岡村先生の地道な調査の成果=物証が、JAMSTECとかがやる派手な解析の信憑性を上げているように思う。

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池の底調査 岡村・高知大教授

 紀伊水道に突き出た四国最東端の阿南市・蒲生田(かもだ)岬。太平洋を一望する岬の付け根に蒲生田大池が広がる。こんもりとした林に包まれ神秘的な雰囲気さえ漂う。貴重な亜熱帯性植物群落が残されたこの池で、新事実が明らかになった。

 昨年9月、高知大の岡村真教授(地震地質学)の研究チームが、池の底をボーリング調査したところ、約3・5メートル掘り下げた箇所から、厚さ約10センチの海砂の層が出てきた。砂に含まれていた植物片の放射性炭素を年代測定した結果、2000年前の大津波によって海から運ばれてきたことがわかった。「池は大津波でできた」との地元の言い伝えを裏付けた。

 岡村教授は津波に関する古文書や石碑、地元に残る伝承などを手がかりに、約20年にわたり、大分から静岡まで太平洋岸にある33か所の池を調べている。池の底は無酸素状態で、真空パックをしたかのように、津波によって運ばれた土砂や植物、海の貝殻などを閉じこめる。「陸地に比べ、津波の痕跡が残りやすい」と説明する。

 2000年前の巨大津波の堆積物は、ほかにも見つかっている。

 高知県の蟹(かに)ヶ池では、2000年前にできた厚さ約50センチの津波堆積物が見つかった。東海・東南海・南海の3連動地震で、近年はマグニチュード8・6、さらには同9レベルだった可能性を指摘する研究もある宝永地震(1707年)の堆積物もあったが、厚さは約15センチだった。

 古文書などから、この地域では、宝永地震の津波が20メートルを超える高さに達したとみられる。地形の変化もあり、堆積物の厚さから単純に2000年前の津波の高さを割り出せないが、岡村教授は「宝永地震を超える、東日本大震災クラスの巨大地震だった可能性が高い」と指摘する。

 ボーリング調査では、古文書に残っていない過去の巨大地震の発生間隔もわかる。岡村教授をはじめとする研究者によって、100~150年周期で起こる南海トラフ地震のうち、3連動地震は300~350年周期で発生しているとみられることがわかってきた。

 最後の3連動地震とされる宝永地震から、もう300年以上経過している。次の東海・東南海・南海地震の発生が間近に迫っていると予想される。岡村教授は「東日本大震災が起こるまでは、他の学者から『恐怖心を与えるだけだ』と批判されたこともある。しかし、今は、現実的で、社会的な問題として受け止められている」と振り返る。

 人々からほとんど顧みられず、開発から取り残された池の底に、巨大地震の歴史が封印されていた。岡村教授は「自然からのメッセージに、謙虚に耳を傾けなければ」と静かに話す。

 昨年の調査では蒲生田大池からは、2000年前の巨大津波以外の痕跡は見つからなかった。岡村教授は地理的に、東日本大震災レベルの巨大地震で発生した2000年前の津波以外は、池に流れ込まなかったためとみている。更に5、6000年前まで遡ることはできないか。今年春から夏にかけて、ボーリング調査を再開する予定だ。

(2012年1月23日 読売新聞)

例年の2倍、カキ成長早まる 出荷開始 気仙沼(河北新報)

2012-01-21 21:38:45 | 地震
「津波の後は貝類の成長が早い」とのこと。そういえばナイル川では、氾濫することにより上流から肥えた土砂が流されてきて、それが下流域での農業に欠かせない、という話と同じように、津波により、深海底あるいは陸から、貝にとって良いものが流されてきたりするのかもしれない。

人間にとって津波は恐ろしいものだ。しかし、津波の方は人間に対して悪意を持っているわけではない。津波とて、地球上で起こる自然な営みの1つに過ぎない。

なかなか難しいことかもしれないが、人間の知恵で津波に打ち勝とうという発想の防災ではなく、津波をあるがままに受け入れ、津波とも折り合いをつけながら生活させてもらうような、そういう自然に対する謙虚さを持ち合わせた発想の防災が良いように思う。

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例年の2倍、カキ成長早まる 出荷開始 気仙沼
2012年1月20日(金)14:00
 東日本大震災 後、宮城県気仙沼市の沿岸部で、通常よりもカキの成長が早まる現象が起きている。例年の2倍のスピードで大きくなっているといい、一部の漁業者は出荷を始めた。関係者は「津波は水産施設を壊滅させたが、回復のスピードもすごい」と話している。
 気仙沼市唐桑町舞根地区で養殖業を営む畠山哲さん(40)は、カキの成長に驚いている。昨年6月ごろ、1、2センチの大きさで仕込んだ稚貝が、既に最大10センチ程度にまで育った。通常の倍のスピードという。
 唐桑のカキは通常、穏やかな湾内で2年ほどかけてじっくりと成長させる。畠山さんは来年秋の収穫を予定していたが、予想以上に大きくなったこともあり、19日から加熱用として一部を出荷することにした。
 地区では昔から、「津波の後は貝類の成長が早い」と言われていた。畠山さんは「言い伝え通り大きなカキになった。復興の象徴として、多くの人々に食べてもらいたい」と語る。
 同市階上地区でも、昨年秋に仕込んだカキが、7、8センチにまで成育している。養殖業の畠山輝夫さん(66)は「震災直後の海の状況を考えれば、ここまでカキが成長するのは驚きだ」と話す。
 宮城県気仙沼水産試験場も同様の情報を把握。酒井敬一場長は「養殖業の再開の遅れで、餌を取るライバルが少なく、カキにとって恵まれた生育環境になっていることが大きい。津波で流された土壌の窒素系養分が、海中に多く溶け込んでいる可能性もある」と推測する。

今日は1月17日

2012-01-17 22:49:26 | 防災
17年前の早朝、兵庫県南部地震があった日だ。毎年、この日だけは、ガラにも合わず神妙になって初心を振り返る日。

17年前の当時、私は不真面目な学生だった。けれど、あの日を境に人生を少しは真面目に考えるようになったんじゃないかな、と今は振り返る。

あの日、神戸が焼け野原になっている映像や高速道路の橋脚が根こそぎ倒れている映像を見て、地震対策に携わろうと思った。そして今まさに地震防災の界隈で仕事をさせてもらっている。

私がこれまでにやってきたことは、何らか世の中のお役に立てているのだろうか。もしそうだったら良いことだ。

そしてこれからも、小さなことしかできないかもしれないけれど、少しでも世の中に貢献できるような業績を挙げていきたいものだな。

書評:「複雑系」とは何か (講談社現代新書) 吉永 良正

2012-01-15 22:09:47 | 地震
地震という現象は複雑系だ。断層運動も、地震波の伝達も、表層地盤の増幅も。単純な線形モデルだけではすべてを語れない。地震にまつわる諸現象の理解を更に深めようとしたら、おそらく複雑系のあたりの知識が必要になるだろう。それは前々から思っていた。何か入門書でもないかな?と思い、とりあえず手にとってみたのがこの本。

当然、ここで得た知識だけで地震学に複雑系を導入できるわけはないが、複雑系とは何かをざっくり理解するにはちょうど良いと思う。ハードな論文とかばかり読んでて硬くなった頭のストレッチにも良い。


南海地震「長周期地震動」予測図

2012-01-14 13:34:25 | 防災
東海・東南海・南海連動だと長周期地震動も南海単発よりも大きくなるはず。


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南海地震が起きた場合に、超高層ビルなどを揺らすゆっくりとした周期の揺れ「長周期地震動」がどのように伝わるか予測した地図を、政府の地震調査委員会が公表しました。大阪平野や濃尾平野などでは、大きな揺れが5分以上にわたって続くと予測されています。
「長周期地震動」は、数秒以上のゆっくりとした周期で繰り返す地震の揺れで、震源地から離れた地域にも、あまり衰えずに伝わって、大型の建造物などを大きく揺らすことがあります。このため、去年3月の巨大地震の際には、東京や大阪などで超高層ビルが大きく揺れたほか、新潟県では大型の石油タンクに被害が出ました。政府の地震調査委員会は、昭和21年に起きたマグニチュード8.0の南海地震をモデルに、「長周期地震動」がどのように伝わるかを、揺れの周期ごとに予測し、地図として公表しました。それによりますと、「長周期地震動」は、大阪平野や濃尾平野、それに徳島県の吉野川下流などの平野や盆地で特に大きくなり、揺れは5分以上にわたって続くと予測されています。また、同じ平野の中でも、軟らかい堆積層が厚く積もっている地域ほど揺れが大きく、大阪平野での周期3秒の揺れの大きさは、大阪市中央区の「大阪府庁」付近が往復60センチ程度なのに対し、大阪の臨海部の「舞洲」付近や内陸の東大阪市役所付近では往復1メートル余りに達すると推定されています。地震調査委員会は「昭和の南海地震は、過去の地震の中では比較的規模が小さく、将来起きる地震の際は、今回の予測よりさらに大きな揺れとなるおそれがある。今後は、より規模が大きい地震の揺れについても検討を進めたい」と話しています。

非常食研究-その1-さんまで健康 黒酢煮-はごろもフーズ

2012-01-09 22:14:03 | 防災
新聞記事へのコメントばかりじゃつまらない、もうちょっと砕けた感じでかつ防災に役立つ記事を書こう、だったら、缶詰やレトルト等の非常食をいろいろ食べてみて、その感想などを書いてみるか、とふと思い、とりあえずやってみた。不定期で、気が向いたときにUPしていく、という方針で。

その第1弾として選んだのがこの缶詰。クリックするとはごろもフーズさんのHPに行きます。


単に家に買い置きしてある缶詰の中で、たまたま昨日食べたのがこれだ、というだけだけど。

皿にあけるとこんな感じ。


残念ながらどこで買ったのかも覚えてない。きっと近所のスーパーで100円前後で買ったのだと思う。ちゃんとレポートするなら、こういうところもしっかり書いたほうがいいのだろうけど。

で、肝心の味の方。けっこううまいっすよ。

缶詰というと、長期間保存するため、ということもあってか、塩分が濃いのが相場なのだが、こいつは酢で味付けしてあるからか、塩分はさほど濃くない。また、さんまの味のクセをちょっと甘めの酢でうまく整えていてさっぱりしていて食べやすい。

ふだんの食事でもちょっと一品がほしいときにはいいかもしれない。

海のない埼玉県が津波被害を想定(NHK)

2012-01-06 01:06:17 | 防災
3・11前だったら「あほか?!」「もっと大事なことがあるだろうが!」等言われてそうだ。仕事はタイミングだと思った。

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東日本大震災を受けて、埼玉県は、地震で東京湾が津波に襲われ、荒川をさかのぼったときに備えて、海のない県としては初めて津波の被害を想定することになりました。台風などで川の水位が上がった状態で津波に襲われた場合の浸水範囲や死傷者の数などを想定し、防災計画に役立てる方針です。
埼玉県によりますと、東日本大震災で、東京湾の河口からおよそ28キロ離れた戸田市の荒川の水位はおよそ50センチ上昇したことが確認されたということです。埼玉県は、太平洋や東京湾を震源とする地震で東京湾が津波に襲われ荒川をさかのぼる可能性もあるとして、専門家による検討委員会を来年度・平成24年度にも設置し津波による被害を想定することにしました。委員会には歴史の専門家にも参加してもらい、過去の文献なども参考にしたうえで、台風などで川の水位が上がった状態で津波に襲われた場合の浸水範囲や死傷者の数などを想定し、防災計画に役立てる方針です。埼玉県によりますと、海のない内陸の県が津波の被害を想定するのは初めてだということです。埼玉県危機管理防災部の吉野淳一部長は「東日本大震災では川を津波がさかのぼったこともあり、荒川でもないとは言えない。想定外では済まされないので、過去の災害を参考にして備えたい」と話していました。