07.10スタート     がんのあれこれ 

がんが判明して色々学び、色々考えさせられた。節目節目で”がんについて”思う事が違うので、書いて(残して)見る

[1-1]3年経過 がんに思う

2007-09-29 13:31:15 | 3年経過して
    経過のブログ 【手っ手】はこちら

がん患者になって初めて知ったことがあまりに多く、驚くばかりでした。「現在の医学では、がんの予防法も進行がんに対する完全な治療法も無い」と言う事実。病院(設備等にもよるが)や主治医によって治療法が違う(正反対な)事もあると言い、「闘うがんと闘ってはいけないがん」があると言う。何で?・・と、すぐには受け入れられないような情報が目につきました。

多くの人はがんが1人称になり真剣に(私の場合は、慌てて・・)情報を探し始めます。そして、あまりの情報の多さと複雑な内容に戸惑ってしまいます。まして、「患者・自らが適切な治療法を選択する事が必要な時代」と言う流れに、長年、≪病気になったらお医者に行けば適切な処置をしてくれるもの≫と信じて来た人間には、大変な困惑と苦痛を感じます。

『がんについては、おびただしい情報が氾濫している。患者は病気との闘いの前に、情報に参ってしまう。本屋にはがん治療の本が山に積まれ、インターネットではがん情報のサイトガ溢れかえる。権威のある専門情報から個人クリニックのユニークな治療法まで、怪しげな民間療法から承認前の抗ガン剤の最新情報まで、がん特有の現象が見られる。
                 <希望のがん治療>斉藤道雄著(2004.10.20集英社)』から
と専門家が言っているほど。(これも、完治する治療法が無い為でしょうか?)

病院や主治医は、自分たちの治療法を中心に(時に誘導するように)説明をしてきます。がんに対する知識が無いことや告知を受けたばかりのショックから、何が自分に合った治療法なのか等判断出来る訳も無く、多くは、”お任せ”の姿勢となってしまいます。

がん患者には、治療に入ってからも情報が必要です。治療の後遺症の説明や病状がどのように改善していくのか等々は大事な情報になります。また、患者の書いた闘病記等の関連情報は、激しい衝撃から精神的に立ち直らせてくれます。温かい支援と共に、色んな情報があって初めて病気と闘う姿勢が作り上げられていくものと感じています。

私も時間と共に多くの情報に触れ、”がんに対する考え”も、都度変遷して来ました。はじめは、「残念ながら根治治療は無い」と言う宣告を受け、本当にそうなのか?どこかで良い治療をしてくれる医師がいるのではないの?と疑いながら必死になって情報収集をしました。

そして、がんについては、概ね次のような認識になりました。
①細胞分裂で生まれる遺伝子にキズのある不良細胞が、がん抑制遺伝子や免疫の様々な防御機構を生き延び、がん細胞となって増殖する【とんでも無い強者の細胞である】。
②通常、がんと認識出来る1~2cmの大きさになるまで、概ね15年以上の期間が必要。手術時には見えない小さながん細胞は、遅れて、再発・転移となって現れて来る。従って、【悪性がんが判明した時点では、見つけられない転移等が既に起きている可能性が高い】と言われている。
③遺伝子にキズを与える要因は、約60種と言われているが正確には分かっていない。また、発生部位によって全く別々の性格を持つ病気と言われており、その治療法はまだ見つかっていない。【世界中の多くの機関で進められている研究に、莫大な費用が投入されているのだが・・・】。

前立腺がんについても、早期発見・早期治療(手術・放射線など)以外、がんに対する効果的な治療法は少ないとされている。男性ホルモンによって増殖するもので、比較的進行が遅い病気の為、海外では【無治療(症状が現れてからの対処療法)も多い】とされている。

私の病状も、転移まで進行していたことからホルモン治療しか出来ないのだが、結果的に≪手術などをしなかったことが良かったのかも知れない・・≫と思っています。


また、死は誰にでも訪れるもの。死に至る経過は色々だが、がんも単にその一つにしか過ぎないものと考えるようにしています。”自分の免疫力が低下していたのはあの時かなぁ~””あの時、検診を受けておけば・・”と振り返ることより、これからどう過ごすかの方が大事なことと考えています。

(これからも新しい情報や自分の病状が進んでいくことによって、その時その時の違った考えになるのだろうとも思いますが・・)

「がん」と言う2文字を背負ってから3年、今の段階で、私が色々考えさせられた事から、何んで?と思うような情報までの”あれこれ”を纏めてみることにしました。


★注意★
【これまでの収集情報を自分なりに整理し、進行がん患者の立場で自分なりに納得して来た個人的な考えを纏めるものです】


尚 細かい知識・情報は専門書、専門機関のHPを読んで下さい。HPは、国立ガンセンターのHPが良いと思います。 HPはこちら 】



[1-2]私の前立腺がん

2007-09-29 13:31:04 | 3年経過して
最初は、私のがん【前立腺がん】についての概略です。

①前立腺がんの判明
・2004(H16).10.14 第二の人生を前に、人間ドックで受けていなかった前立腺の検査を受けるため、近所の総合病院に行きました。(軽い気持ちだったんですよね)
1週間後、PSAと言うのが1、300と高い数値で、がんの疑いがあるとの診断を受けました。

・即、がん専門病院で診て貰いたいと思い「埼玉県立ガンセンター」への紹介状を頂きました。やはり、PSAが高く、生検(組織検査)→CTスキャン→骨シンチなどの順で検査を行いました。

・12月28日に、【リンパ節転移がある前立腺の進行がんで、ステージはⅣ、骨転移の無いD1】と言う、大変辛い内容の最終診断を伝えられました。がんの告知よりも、「残念ですが、もう、(根治の為の)手術は行えませんのでホルモン治療を行っていきます」と告げられたときの衝撃の方が大きかったです。


②前立腺と前立腺がん
・前立腺は、膀胱の下にあるクルミ大の大きさで、精液などの一部を作る組織です。
・前立腺がんは欧米に多いのですが、食習慣の欧米化が進み日本でも急増しているがんです。
15年後には、がん罹患率で第2位になると予測されています。自覚症状が現れ難いことと、進行が遅いと言う特徴があります。

③PSA検査とは
・前立腺から血液に流れ出る特異抗原を量る血液検査です。基準値(4.0)を超えるとがんが疑われます。

  ☆PSAと前立腺がん有病率の関係です。
    PSA値      ~4.0     4.1~10.0      10.1~
    がん有病率    0.2%     25%以上        50%以上

 
 告知後も何の自覚症状もありませんでしたが、PSA1,300とは一体どんな状態になっているのだろうかと、自分の体を見つめながら不安に包まれていました。

注; 前立腺には、悪性腫瘍の前立腺がんの他に、a、炎症(細菌性前立腺炎他)とb、良性腫瘍の前立腺肥大がありますが、これらの病気でもPSAが上がることがあります。 

④治療は標準治療法のホルモン療法です。≪増殖の主因である男性ホルモンを減らす療法≫

★前立腺がんの進行状態<ステージ>と<標準治療法>の関係について
  ----------------------------☆ステージ☆-------☆標準治療法☆---------------
  ・前立腺内に限局している場合      A,B     手術療法、放射線療法、ホルモン療法
  ・周囲に拡散あるが転移がない場合   C       手術療法、放射線療法       
  ・リンパ節に転移がある場合        D1       ホルモン療法          
  ・遠隔転移がある場合           D2       ホルモン療法              
  -------------------------------------------------------------------------

・私の進行ステージはD1ですからホルモン治療ですが、5年生存率が30%と言われています。(残りは、2~3年程度しかないのかと涙した時期がありました)

・ホルモン治療では、ホルモン依存性のがん細胞(90%)は死滅しますが、ホルモン非依存性のがん細胞(10%)が残り、一定の期間(18~24ヶ月)を経過すると抵抗性となり増殖する為、その後に再燃してしまいますと言うものでした。(杉村芳樹著;前立腺の病気 他)

・最初は、女性ホルモン剤を飲んで男性ホルモンを抑える方法(通常の治療法)でしたが、副作用で肝臓が悪化したために、06年6月に副作用の少ない去勢手術を受けています。(がんの手術と違って、30分も掛からない簡単な手術でした)


⑤現在は、PSAは減少し基準値の4.0を前後する値で安定状態にあり(07.9.11現在)、今のところは、<大きな爆弾を抱えながらですが> 普通の生活を送ることが出来ています。

顔のほてりや発汗などの<ホットフラッシュ>と言う後遺症がありますが、我慢できる範囲です。昨年末から発症した両手の関節痛と腕のしびれは、ハッキリしないものの治療と関連がありそうな気がしています。それでも、「ホルモン治療でがんの進行が止まっているんだ・・」と思うと辛抱できる範囲ではあります。

その他、少しの身体の異常や外来診察の前は不安定な精神状態に陥る事も多いですが、「治療はお医者さんに、自分は免疫力を高める努力を」と前向きに過ごしています。



【推奨本】
 ・前立腺がんの専門書としては
   【前立腺がんで死なないために】 板垣忠生著(国立がんセンター総長) 読売新聞東京本社
 ・前立腺がんの闘病記は
   【輝け我が命の日々よ;がんを宣告された精神科医の1000日】 西川喜作著 新潮社

[1-3]普通に過ごす

2007-09-29 13:30:52 | 3年経過して
今の私は、薬も飲んでいないし痛みもありません。1,300あった腫瘍マーカーのPSAも3,15と大幅に下がり、主治医からの注意事項は(骨が弱くなるので重いものは持たないようにと言う以外)個別にありません。<手術をしていないこともあって>がんの持っている「辛い闘病」のイメージとは全く縁遠い生活を送っており、【普通に過ごせる】と言うことの喜びを実感しています。

まず、食事。朝は”人参ジュース”だけにしました。これは、TV出演で有名な石原結實医師の著書”食べてがんを治す”が推奨しているもので、人参400g、りんご150g、キャベツ60gのシュースを2年間続けています。(この本は、≪がんを予防し、癒す食事≫等色々勉強になる本なので、お勧めの1冊です)
その他は、野菜が少し多くなった程度で以前と大きく変わることはありません。全て美味しく食べています(ですから、太っています)。 

適度な運動は絶対に必要と言うことなので、毎週1回(2時間)は、近所の方と卓球で気持ちの良い汗を流しています。また、元の職場の皆さんと時々ゴルフに行きますし、天候次第ですが近くの公園等を散歩します。それまで注意することもなかった自然が新鮮で楽しい気分になります。

また、PCに向かい、HPや写真の編集で遊んだり、狭い場所で盆栽をいじったりしています。”つまらないこと”を考える時間が無いように、忙しく過ごすことにしています。

と言う様に、3年前には全く想定にない・信じられない過ごし方をしていますが、これは、
①前立腺がんが、がんの中で最も進行の遅い病気であること、
②かなり進行していたにも関わらず、ホルモン治療が効いていることが主な理由です。

③また、精神安定剤(セルシン)と睡眠導入剤(マイスリー)で、暗闇から脱出できた事も大きいです。がんのショックから夜も眠れず、自律神経など心身共に異常をきたした辛い毎日を送っていたので、この薬で本当に救われた思いがしました。
④そして、がんに関する”あれこれ”の情報等で知識を広め、少しずつ病気を受け入れる事が出来ていったと言うことが上げられます。


今では、”手術など何もしなかった(出来なかった?)”ことが一番良かったものと考えていますが、それは、1996年に日本列島に激震が走ったと言われている、近藤誠医師の著書「患者よ!がんと闘うな」(別のページで紹介)をはじめ、色んな本の”あれこれ”を読んで少しずつ納得出来るようになったのが一番だと思います。

がんと言う病気は、治癒が難しい部位に出来たがん、ある程度進行してしまったがん、転移・再発がん等は根治が難しく、何もしない方が良い場合が多い事。無理な手術の後遺症や合併症、効果が不明な抗がん剤の副作用・・等で苦しみ、死を早める例が多い事など、≪今の日本の過剰医療は大きな問題≫だと言うものでした。(事例やデータなどで説明しているので受け入れやすい)

当時、医学界だけでなく、”がんは切れば治る”と思いこんでいた多くの人々から激しいバッシングを受けましたが、今では、同じ様な見解を持っている医師が増えて、良い病院では、≪患者に苦痛を与えない治療≫が優先されるようになりました。埼玉県立ガンセンターもこの方針だったようで、有り難いと思っています。


勿論、私のがんは治ったわけではありません。ホルモン治療の効果でがんの進行が止まっているだけで、”再燃”が起きれば”普通の生活”は出来なくなります。再び、恐怖のどん底へ突き落とされることになりますが、今は、少しでも長く、何時までもこの状態が続くこと・・・を願っています。



進行がんが自然に消えてしまった例が日本でも欧米でも僅かですが報告されています。(斉藤道雄著;希望のがん治療他)また、早い時期に新しい治療法が見つかる可能性もあります。期待を捨てずに、これからも普通に過ごして行きたいと思っています。



[1-4]前向きな姿勢に

2007-09-29 13:30:10 | 3年経過して
私が前向きな姿勢になれたのは、次のような経緯のような気がします。

①私の場合は、分かった時がステージⅣ(区分上では末期がん)で治療法も少ないと言う事でしたから、まず、専門情報で、「がんとは? 私は本当にそうなの?」「ホルモン治療意外に無いの?」「良い病院、最新治療の名医はどこに?」・・を勉強する事でした。
この段階で色んな事を知り、がんの発見が遅れたことを悔やみました。

②心身共にすっかり異常をきたしていました。1日を無事に過ごすことが大変になったので、間もなく、会社を辞めました。やっと、プレッシャーから逃れ、体調に合わせた過ごし方が出来るようになり、がんと向かい合う事が出来ました。

③患者さんの書いた本やエッセイ等を読み、がんのフォーラム、座談会などの情報を見て、闘病に関する知識と多くの方(若い方も)が病気と闘っている事を知りました。また、がん以外の難病で闘っている人のドキュメンタリーや図書を読み、はるかに辛い病気なのに明るく過ごしている実態を知り感動しました。

④少しずつ、病気を受け入れ始めた頃のある日、妻が私より辛い思いでいたのを知った事が、大きなインパクトになりました。それまでは、自分のことしか考えていなかった(考えられなかった)んですね。暗闇から引き戻された思いでした。

また、がん患者だけでなく、その家族もうつ病で苦しむ事例が多い事を知り、(うつ病は良く考えてみると、がんよりも大変な病気かも知れないと思った事で) 「がんになったことは仕方がないが、うつ病にだけは負けないように」と言う気持ちになっていったのです。


自分の不安で周りの人を巻き込まないように”普通に過ごす”、そんな前向きな気持ちになるまで、4~5ヶ月ほど掛かったかも知れません。それでも、病状への不安、死への恐怖が無くなることはありませんでしたので、今度は、この前向きな気持ちを維持すること、そして、少しずつ前を向いて動き出す事が課題でした。

⑤色んな自己暗示が必要でした。「誰にも死は来る。人生は長さだけでは無い」「充実した会社生活も定年まで勤め上げたではないか」「我が儘に生きて来られたんだから・・感謝感謝」・・・自分の為に言い聞かせました。「病気は、家族でなくて、自分で良かった~」とか、「(妻より)先に逝く事って、男の一番の贅沢だよなぁ~」と言う独り言もありました。

⑥病気の事を誰にも話せず孤独になっていた気持ちを、ブログ【独り言】で表現することで落ち着かせることが出来ました。作文することで客観的になれたことが、大変良かったです。

⑦趣味を持っていたことも助かりました。写真や盆栽に向かっている時は、嫌なことを忘れて熱中出来ます。ゴルフは疲れが残りますが、最高の気分転換です。

⑧思い切って、それまで交流の無かった”地域とのコミュニケーション”を始めることにしました。区役所のボランティア活動とミニ盆栽講座へ参加して、ちょっとした緊張と新しい刺激を楽しみました。近所の親しい方を誘い”卓球愛好会”も立ち上げました。

⑨孫の存在も大きかったですね。最初の検診で疑いが分かった翌日に、(忘れることが出来ない)娘からの「妊娠した」と言う連絡がありました。それから孫の成長が何よりの喜びになっています。今は孫も2人に増え、迷惑を掛けずに子育てのお手伝いが出来るのが嬉しい限りです。(大きくなるまで一緒におれないのが悔しくなってきました)

⑩妻と同じ気持ちでいることも助かっています。本などは同時に読み、病気の情報も共有することで、認識が一致しています。治療法などへの考え方が共通でいると言う事は、大変大事なことでした。(死に直結すると言う事から、本人と家族の考え方が違うと言う事も多いようです)

その他、懐かしい音楽やコント・落語のCD/DVDを集めたり、ショーなどに出かけたり、楽しい時間を増やすように心掛けています。今は、病状が安定している事もあって、前向きな姿勢を続ける事が出来ています。


【参考】影響を受けた中の”あれこれ” (代表著書 ほか)

★前立腺の病気 (杉村芳樹著から)

・転移がある前立腺がんでは、がんが全身に広がったと考えなくてはならず、基本的には局所的な手術や放射線治療は効果がありません。進行がんにはホルモン治療が主体で、後は対処療法になる。

★「おまけの人生」 (斉藤道雄著;希望のがん治療 から)
≪伊藤勇;66才名古屋市、末期の前立腺がんが完治した人として実際に確認出来る方です≫

・96年前立腺がんと分かる。4ヶ所の骨転移がある末期がん(D2)で、手術できずホルモン療法を行う。おまけの人生なら楽しく生きようと明るく過ごす。
・02年12月の検査で、原発巣の前立腺がんと仙骨がんが消えていた。
・今は、講演等でがん患者の支援活動を行っている。
→「そりゃ、がんになれば孤独になりますよ。廻りがみんな気遣ってくれるが、自分はがんになって死と言うのと向き合うわけ。精神的に参っちゃうよ」
→「やっぱりくよくよしないこと。それと、孤独にならないこと。それが大切じゃないかなぁ。それと、何時もニコニコしていること。兎に角、ストレス解消」と言う。


・「★「患者よ がんと闘うな」 (近藤誠著)

・これまで、患者や家族が悲痛にあえいできたにつては、がんと闘うと言葉が強すぎた。闘いだから、手術や抗がん剤が必要だと考えられ、過酷な治療が行われて苦しんできた。


【その他、多数の本がありますが、省略します】

[1-5]告知、緩和ケア、延命

2007-09-29 13:29:45 | 3年経過して
【工事中】

<周りの人に迷惑を掛けないように・・>だけでなく、自分のためにも・・<前向きに過ごす>と言っても、”がん”の2文字から逃れられるものでは無く、やはり”普通に過ごす”事は簡単ではありません。どうしても精神面で2面性に陥ってしまいます。

廻りの人と関わって普通に過ごしている時間がA面なら、一人で”自分の病気はどう悪化するのだろうか・・”、”痛みでどうしようもなくなったら・・”、”あれは、どうしよう・・”、”・・”、”・・”、”・・”と落ち込む時間がB面です。

そんなB面を彷徨いながら、いろいろ考えます。


★告知
告知と言っても色々あり、私にもいずれ訪れます。
・最初の告知は、「残念ながら、がんです」と病名・病状等を伝える事です。現在は、治療の方針などの合意を得る必要からも、患者本人にも説明することが基本になっています。

・次は、外来診察や治療を続けて行く中での、進行や再発・転移があった場合の告知です。状況が厳しい場合は、家族の希望によっては、本人には伝えられないこともあるようです。

・そして、終末の「余命告知」です。月単位の余命から、週単位の余命へと進みますが、この段階は、本人は知らされず家族だけに告げられることが多いようです。

自分は、全ての告知を受け入れるつもりでいるが、精神力があるんだろうか???
家族の気持ちの方を優先して対処して頂くべきなのだろうか???


★緩和ケア
・前立腺がんは、骨への転移が起きるなど、”予後が悪いがん”と言われています。進行が遅い分予後も長くなると思うと、自分も嫌だが家族に迷惑を掛ける事から今から大変辛い気持ちになります。

一つは、使用する薬の問題があります。抗がん剤とモルヒネの使用です。
抗がん剤を使う場面がくるかどうか分かりませんが、副作用がきついので、拒否する人が増えています。モルヒネは、痛みは緩和するけれども意識が薄れる事があり、家族との会話が出来なくなると言うことから、”我慢”を選ぶ人もいます。こんな問題も話し合っておく必要が出てきました。

★延命治療
・大変難しいテーマですね。病人本人と家族、そして兄弟・親族等の考え方は正反対と言っても良いほど違っている気がしますので、もう少し先になってから、学ぶ事にします。

★お墓の問題です。
・今は、色んな考え方があるようですね。子供達の時代に迷惑にならないように、それでいて、何時までも家族でいられるような”永代供養”等のあり方も勉強したいと思っています。


ひとつひとつがなんと重い事。でも、これも”前向きな話”と受け取って話し合っていきたいと考えています。

今は、<全ての告知を受け>、<病状が悪くなっても過剰な治療は受けずに、痛みなどの緩和ケア中心で>、<特別な延命治療は望まない>と、大雑把に考えていますが、今後、家族とも相談しながら、自分の意志を残していくようにしたいと思っています。



[1-6]前立腺がん あれこれ

2007-09-29 13:26:43 | 3年経過して
≪以下は、本などを読んだ時のメモです。著書が判るものは著書名を載せています≫


★1941.チャールズ・ハギンス博士。男性ホルモンの除去が有効であることを発見し、ノーベル医学賞を受賞している。(それだけの貢献度が大きいんですね)


★前立腺がんは老化が原因とも言われており、世界的に有名な人の名前が挙がっている。ヨルダン・フセイン国王、カンボジア・シアヌーク殿下、フランス・ミッテラン元大統領、イラン・ホメイニ師、日本でも平成天皇、湯川秀樹博士、三波春男、渡辺元読売新聞社長他多数の人がおられる。
                (板垣忠生著;前立腺がんで死なないために)

★米国風の肉や乳製品中心の食事が関係していると言われる裏付けの調査報告がある。
 
 米国への移住日系人の罹患率が、米国と日本の罹患率の中間であった。
 ①米国黒人 70人、白人 40人  ②日本人 4人、 ③ハワイ・ロス移住の日系人 25人。
                                   (人口10万人当たりの患者数)
 中国人による調査でも同様な結果が得られているようで、説得力がありますね。
  <注;米国の黒人と白人の差は、男性ホルモンの強弱の違いによるもののようです> 
                (板垣忠生著;前立腺がんで死なないために)



★前立腺がんの転移は、骨(骨盤、脊椎、肋骨、大腿骨など)70~90%、リンパ節20%~25%、肺5~10%、脳1%と言われている。
(私が前立腺がんの症状を大筋で知ることになった”前立腺がんの闘病記「輝け 我が命の日々よ」”の著者;西川喜作医師は、骨転移から最終的に左目に転移していました)


★前立腺がんは、60才以上の男性の70%が前立腺がん(潜在がんを含め)を保有しており、手術群と待機群の前立腺がんの死亡率は変わらない。(特に、65才以上の高齢者に於いては、慎重な手術の対応が求められている)

・北欧のランダム化比較試験によると、Bステージのがん患者695人を、前立腺全摘術と無治療(様子見)の2群に分けて12年経過見をした結果、総死亡数は同じだった。<全摘術では、心筋梗塞、脳卒中などの別原因の死亡が増えていた> (近藤誠著;がん治療総決算)

・スエーデンで、前立腺がんの局限患者655人を手術と待機療法に分け約6年間追跡した結果、手術した方が「前立腺がんでの死亡」は少なかったと言う報告があるが、ここでも総死亡数(合併症の死亡等全てを含む)は殆ど同じだった言う。
待機療法では死亡の原因が殆ど<前立腺がん>となっていたが、手術グループでは、医者が(プライドか?)死因を他の理由<例えば合併症等>と報告する傾向があったと見られている。(近藤誠著;患者よ、がんと闘うな)

・前立腺がんの検診が普及している米国(男50才以上の75%)と普及していない英国(5%)の死亡率が殆ど変わらないと言う。

これらのレポートから、自治体が行っている集団検診事業には、検診推進派と反対派がある。
 ≪2007,9,9厚生労働省の研究班が「集団検診推奨せず」の”驚きの”指針案を纏めている≫
また、PSA4.0以上でも擬陽性が多く、集団検診で新たな患者を生み出すことで、無用な精神的打撃を与えていると言う問題提起もされている。
  

★がんの治療には”治療の連鎖”が発生する。手術→術後の薬剤治療→排尿障害治療(63%)→性機能障害(79.3%)等々である。また、手術による麻酔や合併症による障害も起きている。(近藤誠著;患者よ、がんと闘うな)


・手術による死亡は、200人に一人というレポートや、30日以内の死亡率0.45%、再入院4.5%、心臓の合併症3.5%、肺の合併症6.1%、その他含めて28.6%の重大な合併症が発生していると言う文献もある。(文献3)

・また、手術をした場合としない場合でも予後は殆ど変わらないと言われている。これらから、前立腺がんでは症状が出てから治療することで構わないし、手術はしない方が良いとの見方も多い。


★前立腺がんに効果のある抗がん剤は、今までは無いとされている。今年、海外では効果を認められている”タキソール”が、やっと、日本でも承認された。<ただし、臨床実験では、3ヶ月(12.3ヶ月という記事もある)の延命効果が確認されたと言う程度だが・・・> (がんサポート 07.6号)


★ワクチンの研究も盛んに
・米カルフォルニア大で、前立腺がんの末期患者127人にプロベンジ・ワクチン(シアトル・デンドレン社開発)を投与する臨床実験で、平均4.5ヶ月の延命効果があったことを明らかにした。(2005,2,18 net)

・米ペンシルベニア大で、アデノ随伴ウイルス2型<AAV2>ウイルスの培養実験で、子宮頸がん、乳がんと前立腺がんの細胞が6日後に死滅したことが分かったと発表した。新たな治療法への発展が期待できる。(2005,07,19 朝日新聞)

・大阪大グループが進める「WTIがんワクチン」の臨床研究が、全国20医療機関に広がる見通しで、大きな期待を寄せている。(2006,5,3 朝日新聞)

・神戸大のグループ(米国・バージニア大と共同研究)が、前立腺がんの細胞内だけで働くウイルスを開発した。末期患者6人に投与した結果、1人は1年、もう一人は5ヶ月間の進行を送らせることに成功した。(2007、10、2 日経)


★再燃前立腺がんの治療に積極的に取り組んでいる医療機関は多くない。阪大、千葉大、横浜大の各泌尿器科が代表的だ。(病院や医師としてメリットが少ない?からか・・・) (がんサポート 07.6号)



[1-7]患者よ、がんと闘うな

2007-09-12 15:20:08 | 3年経過して
「患者よ、がんと闘うな」近藤誠著;慶応大学医学部放射線科講師 文春文庫1996年発行
 
  ≪ 以下は、「患者よ、がんと闘うな」を読んでのメモです≫

無理な手術での後遺症や合併症、効果が不明な抗がん剤の副作用等で苦しみ、死を早める”過剰医療”。死亡数を減らす事ができない集団検診。この、ガンの検診による早期発見の効果、過度の手術と化学療法による”延命至上主義”の考え方に、根本から疑問を投げかけたもので、大きな反響を呼んだ。

驚きは、「ガンには真性のガンとガンもどきの二つがあり、ガンもどきの方は転移しないので放置しておいても問題はない。真性のガンは、発見されたとしても既に転移が始まっている(概ね15年以上の潜在期間が必要)ことが多いので、手術で摘出したとしてもさほど意味がない」と言い切っていることである。

近藤さんは、以前からも多くの本を発行しているが、多くは、こうすればがんが治るだとか、がん治療に明るい未来があると言うものではなく、むしろ、ガン治療は未だ有効な治療法が無く、患者も過剰な治療を受けるべきではないと説いている。(そう受け止められる)

従って、がん告知のショックが緩和し落ち着いた頃に読むと良い本であるが、漠然と持っていたガンへの知識やがん治療に対して、客観的な判断が出来るようになった。

以下、近藤さんの訴える多数の本の内容から気になる部分を載せてみる。

★がんは、検診などで早期発見し治療しても、何もしない場合と総死亡数は同じである。

 →スエーデンのマルメ市民42,000人を対象に行われた乳がんの実験。参加者を2群に分け、一方は無検査の放置群、他群では、マンモグラフィとレントゲン撮影を定期的に繰り返し、10年間の経過を分析した。乳がん死亡者数は放置群が66人(総死亡数1,809人)、検診群は63人(総死亡数1,777人)であった。(BMJ88年報告)

 →米国のメイヨー肺ガン検診プロジェクトの報告(2000年8月報告)。対象者9,211名の肺ガン死亡数は、放置群115人、4ヶ月毎の検診群122人と言う結果だった。

 →北欧のランダム化比較試験報告によると、Bステージの前立腺がん患者695人を、前立腺全摘術と無治療の2群に分けて12年経過見した結果、総死亡数は同じだった。

 その他のも具体的な実験結果を明示した上で、検診や医療が進んでいる現在も、死亡数に影響は出ていないと言う論調です。


★手術
・日本には、手術には悪いところを取ってしまう明快さから、がんなら手術という風潮がある。

・一般にがんになったら、外科医が良いという雰囲気がある。例えば、胃がんが再発しても、また手術をすれば助かるんじゃないかと多くの人が思っている。しかし、再発した場合は、殆ど完治することは無いと言って良い。

・欧米で行われている乳がんにかんする調査では、リンパ節を切除する群と切除しない群の遠隔転移率や生存率には変わりがない。他方、リンパ節を切除した為に生ずる合併症・後遺症の増加で生存率の低下をまねく。

・ニュースキャスターの逸見政孝さんのケース。スキルス胃がんで部分切除、間もなく腹部に再発し、数キロの臓器をとる再手術を受け、3ヶ月後に亡くなった。最初の手術から9ヶ月後と言う早さだが、(最初の映像から見ても)手術が死を早めたのでは無いだろうか。(がん治療総決算)

・外科医は、取りあえず手術から治療に入る。自分たちのテリトリーだけで治療を行おうとするのが現状でしょうか。

★・抗がん剤の効果;
・抗がん剤は一部のがんには効果があるが、それ以外は効かない。抗がん剤は、命を縮める事になる事が多い。
①急性白血病、悪性リンパ腫、睾丸腫瘍、子宮絨毛腫瘍、小児がん ・・・・有効。
②乳がんと再発した①のがん                        ・・・・生存率向上。
③進行した卵巣がん、小細胞型の肺ガン、臓器転移がある乳がん  ・・・・数ヶ月の延命
④その他の全てのがん                           ・・・・効果は認められない

・「抗がん剤は、単独では20%前後の有効率の薬剤が多いのです。しかも、がんが分からなくなるほど縮小すると言うことでは無いのです」(対談での、田口鐵男;がん薬物療法研究会代表世話人の話)

・例えば、3cmのがんが、抗がん剤で2cmになれば有効と評価されるきまり。実際は2cmのがんが残っていて、再び増大する。「がんの縮小」と命とは無関係な指標です。

・抗がん剤の副作用で死亡した人も、手術の合併症で死亡した人も、「がん死亡」となる。

・人は実際に治療を受けてみないと抗がん剤の問題性に気づかない。日赤医療センター外科部長も、自らの大腸がんで抗がん剤を受けた後、再考して中止している。(医者が癌にかかったとき;文春文庫からの引用)

・治療が大変であればあるほど、患者の期待は大きくふくらむので、再発した時のショックは大きくなる。治療が大変と言うことは、一般にはがんが進行している場合ですから、再発の可能性も高いのです。

★代替医療

・多くの医師の表した療法を検討したが、有効だと言っている根拠は、個々の患者のエピソードであることが分かった。エピソードはおおよそ、がんが消えた、縮小した、長生きしている等で、治ったという根拠にも有効だという根拠にもならない。

・漢方薬ががんに効いたというエピソードがありますが、漢方薬メーカーである津村順天堂の薬理研究所所長までつとめた細谷英吉;元慶大薬理学教授も、その著書「漢方の科学」(講談社)の中で、「現在のところがんを治す漢方薬はありません」と明言されています。

・丸山ワクチンは、身体の調子が良くなることで有名ですが、丸山氏は患者に、それまで受けていた治療をきっぱり止めるように指導してきたといいます。患者の多くは、副作用の強い抗がん剤を続けていたはずですから、調子が良くなって長生きできたのは、抗がん剤を止めた効果では無いでしょうか。

・治らないと言われると、現代医学が未熟な為だと考え、別の物(代替医療)を求めてしまう。しかし、医学が未熟だからではなく、いくら医学が進歩しても(がんには)どうにもならないことがあるからではないか。

★日本における多くの国民にまで浸透した”延命至上主義”が、諸問題の原点と考えます。

・ガンは遺伝子の傷がたまって生ずると言う。しかし、どういう傷があるのか、どうして修復するのか、どうして元の遺伝子にもどすのかと言うことは具体的に分かっていません。

・がんと闘うのではなく、副作用や合併症・後遺症と闘っているだけという可能性はないでしょうか。

・普通、科学や技術を進歩させれば、治療成績も改善するはずだと思っている。しかし、人体への何らかの処置には、その反動として副作用や後遺症が生ずる。

・日本が医学的に進んでいるというのは誤解である。外国より進んでいるというのは、薬や機械の数の多さというハード面であって、薬や機械をどう使うかというソフト技術の部分は、相当に遅れている。

・大学医学部のピラミッド型身分構造からのボス支配、過去の経験への執着、医師同士の相互批判の欠如、経済的利益の追求や製薬会社・機器メーカとの癒着、患者の人格・人権の無視・軽視など多くの問題がある。

・がん治療に多くをのぞまない。要するに、治らない事を率直に認めないと、長生きも出来ないし、楽にも死ねないと言うわけです。

・がんは老化現象ともいえる。私たちが、がんを自然現象として受け入れる事ができるなら、がんによる死は普通自然で平和である。


★近藤さんが発行した著書
 「患者と語るガンの再発・転移」  三省堂  1994
 「抗がん剤の副作用がわかる本」 三省堂  1994
 「それでもがん検診うけますか」ネスコ/文藝春秋 1994
 「ぼくがうけたいがん治療」  さいろ社  1995
 「がんは切ればなおるのか」  新潮社   1995
 「がん専門医よ、真実を語れ」  文藝春秋 1997
 「治るがん」と「治らないがん」 講談社 1998
 「患者よ、がんと闘うな」    文芸春秋 1996
 「安心できるがん治療法」    講談社 1999
 「がんは切れば治るのか」    新潮文庫1998. 
 「がん患者よ、医療地獄の犠牲になるな」日本文芸社 2005
 他 まだまだ多数あります。


[1-8]闘う癌、闘わない癌

2007-09-12 15:19:52 | 3年経過して
【工事中】


「闘う癌、闘ってはいけない癌」 佐藤武男著;大阪大学医学部卒、大阪府立成人病センター名誉総長 徳間書店発行

  ≪以下は、「闘う癌、闘ってはいけない癌」を読んでのメモです≫


・近藤さんの主張について

①がんには転移しない「がんもどき」がある。将来も転移しないので放置しておいても大丈夫。転移していくがんは、早期に発見した場合でも既に転移しており手術も無意味である。
②日本の医学界は過剰治療であり、集団検診なども患者さんに不必要な苦痛を味あわせている。

と言うものだが、①には全面的に反対、②については、限定付きで賛成する。

また、過剰医療を提起した近藤医師の勇気は評価したい。だが、転移しない「がんもどき」と言うのには、40年間にお目に掛かった事がない。また、がん治療の基本は、「早期発見、早期治療」が原則である。

・行き過ぎた医療は、医者の気負いが無意味な積極治療を生んでいる。
①家族の「このまま死なせたのでは悔いが残る」と言うような強い要請から。
②医師の「最後までがんと積極的に闘いたい」という、職業的な願望が根強い。
③医師の多くが、臨床医療が中心でケアの経験が乏しく、根治治療から緩和療法に切れ替えられない実情がある。


・「闘うがんと闘っては行けないがん」の見分け方
                    <闘うがん>           <闘ってはいけないがん>
①臓器毎の生存率によって  ・5年生存率30%以上のがん     ・30%以下の難治がん
②性質の良否と転移速度   ・転移が遅い、良質のがん       ・転移が早く悪質ながん
③進行度の判断        ・ステージ2期、転移無し3期      ・転移がある3期、4期
④健康状態など        ・健康で治療に耐えられる状態     ・治療に耐えられない状態の
                                           高齢者、重複がん患者等

・臓器別5年生存率 (1988,大阪府がん登録統計)
 A群<70%以上>  →  乳房、甲状腺、喉頭、膀胱、子宮
 B群<30%以上>  →  口腔、結腸、直腸、腎、胃、前立腺、卵巣、悪性リンパ腫
 C群<30%以下>  →  白血病、食道、肺、胆嚢、肝、膵


・がん細胞別区分による増殖スピードは、以下の通り。
 <扁平上皮がん>は遅い  →    口腔、咽頭、喉頭、食道、気管支他
 <腺がん>は中間      →    胃、大腸、肝、膵、肺、前立腺他
 <移行上皮がん>は早い  →    白血病、悪性リンパ腫他


・がん検診;現在のところ、死亡率を低下させるだけの成績は上げていないのが実情である。
①集団検診の効果があるがん  →   ・胃、大腸、子宮
②集団検診が成功しにくいがん →   ・乳、肺




・食文化;米国でも塩蔵食肉で塩分過多の時代は胃がんが多かったが、冷蔵庫の普及によって生肉を食べるようになり胃がんは減った。戦後、日本でも冷蔵庫が普及したが、相変わらず塩辛い副食物を好む傾向、新鮮な緑黄色野菜が少ないという食習慣はなかなかあらたまらなかった。

・米国議会で、日本食こそ理想の健康食であるとの報告があり、豆腐などの日本食ブームが起きた。徐々に脂肪や動物性タンパク質の摂取が減り、大腸がんが減少している。

・高脂肪食、高動物性タンパク質食、高コレステロール食に変容しつつある日本は、胃がんの現象に代わって大腸がん、膵臓がん、乳がんなどが増えて来ています。

・ニコチン(依存症)には発ガン性はありませんが、タールに発ガン性があるのです。

・今の日本人は、必要以上にがんを恐れ過ぎています。今や、がんになることは、ありふれた人生の一節なのです。

・私個人は、ぽっくり病で死ぬよりもがんで死ぬことを選びたい。がんで死ぬのであれば、残された時間にじっくり自分と対話し、家族や友人・知人と対話し、後の始末を十分にして、納得して死んでいくことが出来るからです。

・今は、一生になんどもがんになる長寿社会です。私は「がんを克服して百才まで生きよう」と患者さんに言っている。




[1-9]がん あれこれ

2007-09-12 15:19:40 | 3年経過して
  ≪以下は、本などを読んだ時のメモです。著書が判るものは著書名を載せています≫


・がんは、正常な細胞がなんらかの原因(遺伝子の傷)で変化して異常な細胞となり、コントロールを失って無制限に増え続ける病気。従来の細菌感染・ウイルス感染による病気とは明らかに違う。

・がんは個性が強い病気。ひとつひとつのがんは臨床的にはそれぞれ別の病気と言える程異なっている。ここに実は、人類のがん研究における最大の難問が隠されている。(竹中良文著;「がんの常識」から)

・がんは無限に増える細胞の病気と言う総論で、”がんと言う病気はない”。がんについての総論は僅かしかなく、大半は各論である。(平岩正樹著;「がんで死ぬのはもったいない」から)

・がんは、同じ臓器のがんでも症状に違いがあり、進行の早いもの、転移を起こしやすいもの、抗ガン剤や放射線の効くもの効かないものと色々ある。(小野寺時夫著;「がんのウソと真実」から)

・免疫系が正常に働いていれば滅多にがんにならない。なんらかの理由で免疫機能が低下した時にがんが発生する。
例えば、肺ガンは、タバコを吸う人は吸わない人の5倍の確率だが、タバコを吸う全ての人が肺ガンにならないのは、免疫力が違うから。(免疫が低下したときに危ない?)(斉藤道雄著;希望のがん治療)

・がんは診断可能な1~2cmくらいの大きさに成長するまでは、15年以上もの年月を要する。発ガンの基本的なメカニズムはわかってきたが、がんの治療がわかったと言うことではない。がんはいまだに根治療法が無い。

・がんは生活習慣病であり、がんが出来たのは「自分の責任」だと認め生活習慣を変えること。

・抗がん剤は、多くは副作用の強い劇薬であり、正常な細胞にも深刻な打撃を与え、体力と免疫力の著しい低下をまねく。おまけに誰にでも効くというものではなく、白血病や悪性リンパ腫などの一部のがんに限られる。(斉藤道雄著;「希望のがん治療」から)

・3人に一人ががんで死亡する時代が来ている。胃ガンや子宮がんは減少し、肺がんや大腸がん、乳がんが増加しているが、これらの早期発見、早期治療でがんは治ると言うのであれば死亡者は減っていくのではないか。(斉藤道雄著;希望のがん治療)

・高齢化が進み患者数は増え、死亡数も年々増加している。肺がんや大腸がん、乳がん等の早期検診が普及しているにもかかわらず、死因として増加しているのは何故か。

・実は、高度進行がんでは、「何もしないのが最良」である場合がかなり多い。ただし、「何もしないのが良い」と言われても、患者や家族の方が納得しない事が少なくない。(小野寺時夫著;がんウソと真実)

・「手術が上手く行った」と言うのは、手術中、特に問題となるような事は無かったと言う意味である。がんが治るとか長生きできるということでは無いのです。(小野寺時夫著;がんウソと真実)

・がんになるかならないかはもとより、どの臓器のがんになるか、どれほどの悪性化は、どのような経過をたどるか・・これらは基本的には「運しだい」なのです。(小野寺時夫著;がんのウソと真実)

・アメリカは、医者が言うほどにはがんは治らない。そのことを医者が認め、患者が気づき、国民が議論し始めたことで≪治療から予防へ≫大きな転換を果たした。食事や禁煙、飲酒と言った生活習慣の変更でがんを防ごうと呼びかけた。

・がんの原因は、食事の取り方に深く関与しており、35%が食事に、30%がタバコ、10%がウイルスなどの感染症、25%がその他と言われている。アメリカのがん協会では、喫煙と不健康な食生活、運動不足は特に重大であるとして、これらに沿った政策が取られている。

・日本のセカンドオピニオンは、「進行して治療法がありません」と言われてから、何か治療法が無いかと救いを求める場合が多い。がんの場合は、一人の医師から「治療法が無い」と言われた場合は、どこの誰に聞いても治療法が無い場合が圧倒的です。(小野寺時夫著;がんのウソと真実)

・セカンドオピニオンを求めると、主治医の意見と他の意見とを秤に掛け、取捨選択し、最後には「これが最適」と決断しなければなりません。誰がそれをするのでしょうか?(藤原義久;「免疫細胞療法にたどりついて」)

・”ストレスや性格とがんの発生”に関する研究は、40年まえから欧米を中心に多数行われている。研究が古いほど「関係有り」が多く、新しい研究ほど「関係なし」が多い傾向にある。(小野寺時夫著;がんのウソと真実)

・2005英国の最新報告では、乳がん患者500名の10年間の経過を観察した結果、「前向き」「あきらめ」「逃避」等のいずれのタイプも大差がなかった。「悲観・絶望」タイプは、明らかに短い傾向があった。悲観・絶望的になりすぎないこと。

・免疫療法には、①LAK療法(リンパ球活性化キラー細胞療法)②TTL療法、樹状細胞免疫療法) などが代表的。
がん細胞は、もともと人体にある細胞が、遺伝子の異常で生じた異常細胞で、人体の免疫力で死滅せずに、免疫攻撃をすり抜けてきた強者の細胞である。このがん細胞を殺傷するほどの免疫力は未だ作り出せていないのが現状である。

・そもそも世界中の成功していないがんの免疫療法が、日本のどこかの病院やクリニックで成功しているなどと言うことを信じることが問題。(小野寺時夫著;がんのウソと真実)

・代替療法には、玄米菜食、ビワの葉温灸、ヨガ、気孔、マッサージ、漢方薬、イメージ療法、アガリスクやメシマコブの健康食品・栄養補助食品、断食療法や生き甲斐療法など多数あるが、効果を医学的に証明されたものは無い。

・発ガンが食生活が関係しているとしても、15年以上も前に発生したがんが、玄米食や海草、気孔や温泉での治療などで急に遺伝子が変化して良くなる事等は考えられない。

・なぜ秋田・玉川温泉に全国からがん患者が集まるのか
病気を治すんだという気持ちになる、伝説や希望が満ちていて孤独じゃないと言う気持ちになることが、大事な事。 (鎌田寛;諏訪中央病院名誉院長 「がんに負けない、あきらめないコツ」)

・がんには効かないのに、「望みを持って貰うため」という事で、患者に過大な経済負担を与えて良いのだろうか? (近藤誠;患者よ がんの闘うな)




[0-1]がん統計

2007-09-12 15:19:25 | 3年経過して
【工事中】

外国の状況が知りたくて調べた時の、がんの統計を載せてみましたが、特定のがん患者になってしまった今の段階では、この様な統計は全く意味が無くなりました。統計とは、病気になっていない場合に意味があるのですね。(簡単に載せますので、興味がある方は専門のHPで確認して下さい)


胃がんが減って、肺ガン、大腸がん、前立腺がんなどが増えていますので、注意。女性では、30代後半から40代後半に乳がんのピークがあるので、検診などで早期に発見しましょう。



★日本のがんの統計

①日本の2006年の死亡者数は、1、084,488人で、がんは1位です。 
                                    (がん対策情報センター統計から)
  ①がん;339,198人(30.4%)     ②心疾患;172,874人 
  ③脳血管疾患;128,203人      ④肺炎;107,189人                

②がん死亡の順位は、肺、胃、大腸、肝臓、膵臓の順です。
  ①肺ガン;63,234人 ②胃がん;50,402人 ③大腸がん;41,033人 
  ④肝がん;33,660 ⑤膵臓がん

   ・肺ガンは、98年以降9年連続①位。前立腺がんは⑨位9,525人だが、増加傾向にある。

③日本のがん部位別・男女別死亡率  2003(人口10万人に対する死亡数で現す)

 男性は、肺、胃、肝臓、大腸 の順、女性は、大腸、胃、肺、乳房 の順 で以下実数です。
 
     食道   肺  乳房  肝臓    胃   膵臓  大腸  子宮 前立腺  白血病
 男   15.2   67.6  ー   37.9   52.2  18.3  34.1  ー   13.7    6.6
 女    2.6  23.4 15.2  16.6   27.0  15.3  27.7   8.2   ー    4.5

★国別がん死率の1位と2位の比較2003(人口10万人に対する死亡数で現す)

          米国     カナダ    イギリス    フランス     スエーデン    日本
 男 1位   肺 (67.1)   肺(66.9)    肺(72.1)     肺(73.3)    前立腺(57.0)  肺(66.8)
    2位   前立腺(23.8) 前立腺(24.5) 前立腺(32.4) 前立腺(33.3)  肺(41.9)    胃(51.6)
 女 1位   肺 (45.0)   肺(40.9)     肺(43.4)     乳房(37.4)   乳房(33.1)   胃(27.1)
    2位  乳房(29.7)  乳房(31.9)   乳房(43.1)   大腸(25.9)  大腸(26.5)  大腸(26.6)