大人のための歴史学

地方私大の日本史研究者です。「大人」の視点から歴史を眺め直してみませんか。
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レビュー:NHK「英雄たちの選択」榎本武揚

2017-05-18 09:32:03 | レビュー

気になって仕方がないところがあった。榎本の獄中詩で「君恩」を見せ消しして横に「国為」書き改めたという箇所だが、映像を見る限りでしかいえないが、「国益」の読み間違いではないかと思う。「国のため」と読ませるのであれば「為国」と書いて上に返る語順で読むのが通例ではないかと思う。磯田氏は時々こういう読み間違いをする。大筋の論旨には影響ないかとも思うが、「国益」だとニュアンスが微妙に変わってくる。

もう一つ、ロシアとの交渉の如何が士族反乱の動向に影響を与えるというのは、考えすぎではないか。史料的根拠があるのだろうか?不平士族の反乱の原因も、不平士族の関心も、実際には旧武士階層に対する特権的身分の剥奪というところにあると考えるべきであり、もし不平士族が退路問題の関心を寄せていたとするなら、何らかの史料的根拠を示してほしかった。(もちろん筆者の勉強不足であれば率直にお詫びする。)

ただロシアという国には大勢がどうあれ、常に南を目指すというベクトルを持った国であったことは改めて実感された。(了)

(了)

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