大人のための歴史学

地方私大の日本史研究者です。「大人」の視点から歴史を眺め直してみませんか。
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ブックレビュー:近江俊秀氏『古代日本の情報戦略』朝日新聞出版

2017-03-15 15:42:47 | レビュー
読んで感銘を受けた。古代特に律令制国家期の情報と歴史については、現段階で最も詳しく、また最も芯をついている一冊ではないか。

情報の歴史と銘打った先行書の多くは、結局通信手段の歴史や、通信技術の歴史に止まっている。しかし、著者はそうした点にも充分にふれながら、筆者の関心の中心である、実際の具体的な情報が歴史や社会、時代をどう動かしたかという点にも答えてくれている。

特に、藤原広嗣の乱や藤原仲麻呂(恵美押勝)の乱の情報戦を描いた箇所は圧巻だ。時代を越えて情報が持つ力と重要性が改めて実感された。そういうわけで、この時代に関しては、筆者などが付け加えられそうなことはなく、ただただ勉強させてもらったの一語に尽きる。

ただ、この本にインスパイアされる形で、吉備真備という人物の意外な一面に気付かされた。これについては、「脇役の日本史」の方で近日触れたい。(了)
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