The Man
理系男のダンディズム −ロジカルにロジカルに。 考え抜いたとき、それはその人の感性となる−




昨今の日本やアメリカでは、電動モータをアシスト動力として用いたガソリンハイブリッドカーが大人気だ。
しかしながら。
EU圏では、小型ディーゼルエンジンを搭載した乗用車が大人気。
日本やアメリカでは、遅い、うるさい、(排気ガスが)汚いと不人気のディーゼルエンジン車だが。

この違いは何なのだろう?

日本製ハイブリッドカーに死角は無いのか?
GALANT's Cafeが今回の“男 は い つ も 一 人 旅(みたび)(ドイツ編) ”にて借り出した、ドイツ製 最新小型ディーゼルエンジン車の実力をレポートしよう(本記事は、相当、趣味性が強い記事です^^;)。


それは、日本を経つ前から決めていた。
ドイツでは、ディーゼルエンジン車に乗ると。

EU圏にて小型ディーゼルエンジン車が大人気なのは知っていた。
燃費が良い、(CO2排出量が少ないので)環境に良い、最新式ディーゼルエンジンは静かで振動も少なく、黒煙も吐かないと言うのが、主な理由だ。

確かに。
レースの世界においても、毎年、フランス サルテサーキットにて開催される、ル・マン24時間耐久レースにおけるここ4年間の優勝車はディーゼルエンジン搭載車だ。
(ドイツAudi社が3年間、今年はフランスプジョー社が優勝した。)

日本では、EU圏の自動車メーカはハイブリッドカーの開発ノウハウが乏しく、燃費競争に出遅れた、などと言われているが。

なんのことはない。

彼らEU圏の環境では、ハイブリッドカーが優位に立てる環境が少ないだけのことだ。
なぜならば、都心部を除いた郊外では、制限速度が80〜100km/h、ドイツ アウトバーンにおいては制限速度がないところも多い。この速度レンジでは、燃費が良いと言われるハイブリッドカーも、アシスト用モータではパワーが足りず、メインエンジンの性能が効いてくる。

さらに。

ハイブリッドカーが登場する随分前から、EU圏では燃費の良いディーゼルエンジン車の人気が高かった。
その期待に応えるべく、EU圏の有力自動車会社は、各社、洗練されたディーゼルエンジンの開発に力を注いできた(その大半の技術は、ドイツ 自動車部品メーカで有名なBosch社に寄るものだが)。

その甲斐あって、EU圏の自動車メーカが製造する小型ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンと区別がつかないほど洗練され、燃費はガソリンエンジンと比較できないほど優位に立つ。


ディーゼルエンジンと、一般的なガソリンエンジンの違い、ご存知だろうか?

燃料が、軽油とガソリンという違いがあるのはご存知かと思う(ガソリンスタンドでも、異なるノズルで売られているよね)。

一般的なガソリンエンジンは、空気に適切な量のガソリンを混ぜた(混合気)をエンジン内部に吸気し、これを圧縮し、混合気が不安定(着火しやすい)状態になった時に点火プラグから電気的スパークで火をつける(燃焼させる)。
その後、燃焼によって膨張したガス(排気ガスの前)から機械的にエネルギを取り出すのが、ガソリン内燃機関。

これに対し。

ディーゼルエンジンは、空気しか吸い込まない
え?と思われるかもしれないが、長年、ディーゼルエンジンの特徴は空気しか吸い込まない点にあった(最近は、ガソリンエンジンでも、このような特徴を有するエンジンがある)。

それでは、エンジンが作動しないではないか?

ここから、ディーゼルエンジンの特異点。
吸い込んだ空気を、ガソリンエンジンよりも高圧縮(圧縮比が高いと言う)し、摂氏500度近くまで吸気した空気の温度を上げる(物質は、圧縮されると熱を持つ)。
ここに、この高圧に負けないように軽油を噴射する(無論、エンジン内部の話)。
噴射された軽油は、圧縮された空気から熱を奪い、自然着火し、燃焼する。
これがガソリンエンジンとの決定的な違い。

後は、ガソリンエンジンと同じ原理で、燃焼ガスから機械的にエネルギを取り出す。

もう一つの大きな違いは。

一般的なガソリンエンジンの場合、エンジンの出力調整のためにアクセルペダルを開閉すると、吸気パイプに取り付けられたバルブ(スロットル弁)の開閉によって、吸気抵抗を生じさせ、エンジン出力の調整を行っている

これに対し、ディーゼルエンジンは。
エンジン出力調整のためにアクセルペダルを開閉させる点は変わらないのだが、エンジン内部に噴射される燃料の量を調整することで、エンジン出力の調整を行っている


形格好は似ている二つのエンジンだが。
ディーゼルエンジンは、

・圧縮比の高さに起因する膨張比の大きさから、燃焼ガスから機械的エネルギを取り出す効率が高い
・スロットル弁が無いことによる、吸気ロスが少ない

ことにより、生成可能なトルク(力)や燃費の良さが生まれている。


しかしながら、

・圧縮比の高さからエンジンを頑丈に作る必要があり、小型化しにくい
・頑丈ゆえに機構が重い、圧縮比が高いゆえに圧縮抵抗が大きく、高回転化しにくい(馬力が少ない)

という欠点がある。


構造に起因するディーゼルエンジンの特徴に触れると、とてもこの紙面で収まらないのでこれぐらいにとどめておく(詳細を知りたい方は、是非、ディーゼルエンジンに関する技術解説書を熟読されることをお勧めする^^)。



随分、前置きが長くなってしまった(- -;


今回、日本から手配していったのは、「ミディアムコンパクトのカブリオレ(オープンカー)かつ、ディーゼルエンジン搭載」車。
EU圏のレンタカーは、指定しない限り、大概はAT車ではなく、MT(手動変速機)車が来る。
常日頃から、左ハンドルMT車に乗っているGALANT's Cafeにとって、なんら問題ない(というか、大歓迎だ!)。

もし、EU圏でATのレンタカーを借りようと検討されている方が居られるならば、AT車を指定した予約を事前にしておくことをお勧めする(飛び込みでは、AT車が無いことも多い)。

BMWのお膝元、ドイツ ミュンヘン街中で借り出したこともあり、BMW 1シリーズのカブリオレが来ると思っていたのだが...




あてがわれたのは、Audi A3 Cabriolet 2.0 TDI S-Lineであった。
既に、15000km程度走行し、慣らしも済んだぐらいの固体。

無論、これだって良い車なのだが。個人的には、GALANT's Cafeの相棒の弟分?を借り出したかったなぁ^^;


Audi A3 Cabriolet 2.0 TDI S-Lineのスペックは以下のとおり。

 駆動方式FF(2WD)
 寸法・重量 全 長 (mm)4238
全 幅 (mm)1765
全 高 (mm)1424
ホイールベース (mm)2578
車両重量 (kg)1475
乗車定員 (名)5
空気抵抗値 (CD値)0.33
 エンジン 型 式 4/5S DHC
弁機構・気筒数 DOHC 16V 4気筒
過給システムインタークーラ付ターボチャージャ
内径 X 行程(mm)81.0 X 95.5
総排気量(cc) 1968
圧縮比16.5
最高出力(ネット)(PS(Kw)/rpm) 140(102.9)/4200
最大トルク(kgm(Nm)/rpm) 32.6(20.0)/1750-2500
燃料供給装置 TDI
使用燃料 軽油
タンク容量(L) 55
 動力伝達装置 変速機形式 前進6段マニュアル
 タイヤサイズ 225/45R17
 最高速度 (km/h) 205



エンジンの馬力は、排気量2L程度の自然吸気(過給機が付いていない)ガソリンエンジンと同程度だが。
トルク(力)は、排気量3L程度の自然吸気ガソリンエンジン と同程度。

さすがに、標準ボディ車よりも補強剤を多用せざる得ないCabrioletだけのことはあって。
サイズを考えると、若干重いが。

しかしながら。ボディ剛性(硬さ)たるもの、素晴らしい。




早速乗り込んでドアを閉めてみるが、かっちりとした感じ。
この辺りの演出?は、AudiもBenzに負けてはいない。

ルーフを開けた状態で、アウトバーンを飛ばそうが、荒れた路面を走ろうが、曲がりくねった山岳路を駆け抜けようが、この車を返すまで、この感覚は変わらなかった。
最近のCabrioletモデルのボディ剛性、目を見張るものがある。

早速、エンジンを始動してみる。




Audiの2.0Lディーゼルエンジンを担うこのエンジン。
太古のディーゼルエンジンのような儀式は、一切不要。
セルモータを回すと、あっと言う間に始動。
車内からは、ディーゼルエンジンだか、ガソリンエンジンだか、区別はつかない。
それほど、静かで振動が無い。
室外に出ると、軽やかな「からからから...」という、ディーゼルエンジン固有のノッキング音がするが、それだって、意識しなければ、気がつかないだろう。

燃料等もきちんと入っているようだ(レンタカーを借り出す前には、きちんと確認した方が良い)。

そうそう。
残念なことだが。

EU圏系のレンタカー屋は、洗車もせずに、汚れた状態で車を貸し出す。
アメリカ系は、そのようなことは少ないのだが(不幸にして、直前に雨が降った場合を除く)。 

また、EU圏系のレンタカー屋は、Cabrioletのような趣味性の色が濃い車をプレミアムカーとして走行距離制限付で貸し出す
今回借りた車の場合、1日約300km程度(借り出し期間にも依存する)。8日間で最大2750kmの制限付。制限距離を越えると、1kmあたり0.42ユーロ加算されように思う(今回は越えない程度のプランを立てたため、超えることは無かった)。


この車も、あまり綺麗ではなかった(特にガラスが)。

仕方がないので、エンジンを一旦止めて、窓を拭くw(GALANT's Cafeの儀式でもある)


綺麗にし、シートやミラー、ステアリング位置を合わせたところで、スタート...

おっと、ポータブルナビのGarmin Nuvi250のセットアップを忘れていた。
今回は、EU圏MAPを搭載してきた(そして、観光ガイドのMAPを除くと、まともなMAPはこれしか持っていない^^; 壊れた時のことを考えると、よい子のみんなは、紙MAPを持参しましょう。今ならば国際ローミング可能な携帯電話でナビゲーションさせることもできるけれどね)。

よし。
すべての準備完了。

エンジンを再始動して。
ギヤを1速に入れて、発進。
初めて、ドイツの道を走る。

走行の感覚は、ガソリンエンジン車と変わらない。
正確には、1000rpm前後の、要はアイドリング回転少し上のトルクは細いようだが(ガソリンエンジン車のようにノッキングを起こしながらエンストすることなく、あっと言う間にエンストする)。
1500rpmも回ると、2Lの排気量の車とは思えない走行感覚。
性能的には、3Lのガソリンエンジン車と変わらないトルクを持っているから、そりゃ、そうか。

最高回転数は4600rpmと、昨今のガソリンエンジンの最高回転数7000rpm前後と比較すると低いものの、ギヤ比がワイド(一つのギヤでカバーできる速度幅が広い)であるために、シフトチェンジが忙しくなることもない。

いや、トルクフルなエンジンのおかげで、高速ギヤに入れて、ずぼら運転をしたところで、困ることもない。
現に、130km/hぐらいからの加速も6速に入れたままで、十分な加速が得られる(驚)

当初、旅をする時ぐらいは、撮影やらなんやらかんやらあるから、AT車にした方がよいか?と思ったのだが。
個人的車嗜好wでMT車にしてしまった。これで正解^^v

ミュンヘンの街を少し走ると、あっと言う間にアウトバーンに乗る。
初アウトバーン。

車に慣れることも考慮して、さすがに130km/h程度で巡航する。
静か、静かなのだ!


この車は、Cabrioletだったっけ?


いや、それぐらい静かなのだ。

ボディ剛性が優れている、ソフトトップ(布製)のルーフも剛性がある、風切音対策がきちんと行われていて130km/h程度だと風を切る音がほとんど聞こえない。

そして!
6速で130km/h巡航をしても、エンジン回転数、わずか2500rpm程度。

3Lのガソリンエンジン車と同じぐらいか。

がっちりと作りこまれたエンジンであることも手伝い、最高回転数までぶん回しても、いやらしい音を立てずに静かに加速する。
しかも、この4600rpmの最高回転数まで、抵抗無く回る(さすがに、4000rpmを超えると、回転数上昇に重さを感じたが)。

ターボチャージャが搭載されているエンジンは、加速時に「キーン」と言ったタービン音が聞こえることが多いのだが、まったく聞こえない。
いや、走行フィールですら、ターボが搭載されているとは分からない(正直、後で、ターボチャージャがついていたことに気がついたぐらいだ^^;)。

巡航時のエンジン回転数の低さもあって、ガソリンエンジン車よりも静かかもしれぬ。

もし、ダッシュボードに貼られた「燃料はディーゼル」と書かれたシールと、エンジン回転計に刻まれた最高回転数の低さに気が付かなければ、ガソリンエンジン車と区別が付く方がどれだけおられるだろう?


この初乗りだけで、EU圏の方々が小型ディーゼルエンジン搭載車を好んで購入する気持ちが分かる(聞いたところ、EU圏で販売される新車の半数がディーゼルエンジン車だそうだ)。

あっと言う間に、初日の宿泊先に到着。
この日は、これにておしまい。


明日から、本格的なドライブへ出発だ。

日本製ハイブリッドカーに死角は無いか?(後編)へ続く。





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