ゴン太の山行記録

首都圏で公共交通機関を使った山歩きをしています

○ ツツジ祭り 天子毛無山

2006年06月18日 18時11分20秒 | 天子
【山域】 天子
【山名】 毛無山(1945.5m)
【山行日】2006年6月4日(日)
【メンバー】単独
【地図】エアリア31 「富士山 御坂・愛鷹」2005
    ヤマケイ登山地図帳16 「富士山・御坂」
    1/25000「人穴」
【参考図書】『アルペンガイド12 富士・箱根・御坂』(山と渓谷社)
【天候】晴れ

【コース】
朝霧グリーンパーク入口 09:05 - 09:40 登山口
登山口    09:45 - 10:25 不動滝見晴台
不動滝見晴台 10:30 - 11:25 1600m付近
1600m付近 11:30 - 12:20 毛無山
毛無山    12:50 - 13:35 新地蔵峠
新地蔵峠   13:50 - 14:50 登山口



【山行記】
小田原から乗った東海道線は、シートが倒れる旧型の特急車両で足を前に投げ出してゆったり座ることができ、寝心地が良すぎて、あやうく富士で乗り過ごすところだった。

熱海辺りでどんより曇っていた空も明るく晴れ上がり、身延線に乗り換えて、富士宮駅へ。

富士宮駅から快速バスに乗る。列車の窓からは拝むことのできなかった富士山がバスの窓から見える。雪はかなり融けて、マダラ富士となっていた。吹く風はまだ涼しげだが、もう春は終わって夏になっているのだと感じる。

朝霧グリーンパーク入口で私ともう一人登山者が降りる。バス停でストレッチをしているあいだにその登山者は麓集落目指して歩き出した。たぶん、彼とは同じコースなんだろうな、と思いつつ、ゆっくりと車道歩きが始まる。

車道を歩きながら、毛無山登山口までバスが往復してくれたらよいのに、などと考える。標高は高く、涼しい風が吹いているので、まだこの季節はいいが、もう少ししたらアスファルトの照り返しがきつく、この車道歩きでかなり体力を消耗してしまうのではないだろうか。

それでも車道のそこここに、ヤマツツジが美しく咲き乱れ、目指す毛無山の雄姿もはっきりと見える。ウグイス、ホトトギスの鳴き声の他に遠くでカッコウも鳴いていた。大見岳への尾根を直登する地形図の破線路(廃道扱い)への取りつきはよくわからないまま、登山道の入口に到着した。

麓宮で安全祈願をして登山道に入る。すぐに地蔵峠経由の道との分岐に着く。登山口から25分とエアリアに書かれているが、10分ほどで着いた。そして1合目の表示を通る。ヤマツツジがそこらじゅうに咲いている。傾斜はきつく、汗も出てきて、夏になりつつあることを実感。2合目を過ぎ、先は長いなと覚悟するが、美しい緑色の広葉樹のなかに朱色のヤマツツジが映え、ホトトギスやウグイスの囀りに励まされながらなおも登ると、不動の滝見晴台に到着。さすがに少し疲れたので、滝の写真を撮ったあとベンチに座ってアミノバイタルで休憩をとった。



アミノバイタルが効いたのか、足腰がしゃんとしてきた。緑と朱色の美しい径を3合目、4合目と順調に過ぎ、ギンリョウソウをみつける。5合目、マツダランプの表示で大勢休んでいたが、そこはパスして、なおも登っていく。6合目辺りでヤマツツジが途絶えるが、6合目の先ですぐに今度はトウゴクミツバツツジがいやと言うほど咲いていて、ツツジ祭りは終わりがない。しかし、あたりにガスが漂い始め、せっかく富士のすぐそばなのにと少し落胆。



さすがに疲れてきたので、尾根の分岐点を見つけ、そこで休憩した。おそらく1600mあたりの小尾根の分岐だと思われるが、分岐した尾根には踏み跡があり、ここを下ったりすれば大崩に突入するしかない。いったい何の径路なのだろう。滝(沢)を登ってくる人の道だろうか。

休憩地点から霧に煙るトウゴクミツバツツジの径を登っていくとすぐに7合目。なおも急坂を登っていくと、ガスが晴れて陽が差してきた。8合目の標識を見つけるとさらにひと登りで富士山展望台。何とそこには雲海の上の富士山。すぐ下にガスが漂っており、もう少し低いところに展望台があったら、何も見えなかっただろう。なんだかしらないけどツイているな、と思う。



展望台から5分ほどですぐに9合目の標識があり、傾斜が緩んで毛無山の稜線に飛び出す。稜線に出てしまえば、今までの急傾斜な径に慣れた足には平地のような路と感じる。ちょっとしたアップダウンで毛無山の山頂に到着した。

標高1945m。標高差だけでも約1200m。久々に高い山に登ったという気がする。

お昼を30分ほど回っていたが、お腹の空き具合もちょうど良く、山頂で湧き上がる雲の上に浮かぶ富士山を眺めながらお昼ご飯にした。山頂は人が多かったが、小さいスミレが慎ましく咲く展望地での昼食はなかなかのものだった。

昼食後、麓集落へ直接下る路(廃道)の様子など見てから、来た道を戻り、地蔵峠・下部方面への稜線を下る。麓集落への廃道はともかく、この天子・長者ヶ岳から毛無山・竜ヶ岳の稜線はいつの日か縦走してみたい気がする。稜線には水場がなさそうなのが少々不安だが。



下部温泉への下降地点は正確には地蔵峠ではなく地蔵峠手前にあり、新地蔵峠などとも呼ばれているようだ。もう少し先の地蔵峠からは下部、朝霧両方面への径が下っているようだが、下部温泉駅までの長丁場を考え、手前の新地蔵峠で長めのティーブレイクをとり、下部へ下る人たちがあらかた下ってしまってから、新地蔵峠をあとにした。

中山金山の大名屋敷跡や女郎屋敷跡などを過ぎなおも下っていくと山の神。ここまでの無事を感謝してさらに下っていく。陽射しが強く下っていくだけでも汗をかく。夏山シーズンまでもうあとわずかなんだと思う。登りの時ほどではないが、こちらでもヤマツツジが時折現れては目を楽しませてくれる。

なんとなく下界の雰囲気が漂ってきたなと思うとまもなく登山口に着いた。時刻は15時前。まあこれで、17:49の甲府行きにはまにあいそうだなと、しゃがんでストックを畳んでいると、「おにいさん、車用意してないんだったら、下部の駅までいっしょにどう?」と言う声。オニイサンて、そんな若い人いたっけ?と顔を上げると、「どうなの?タクシー予約してあるの?」と私の目を見て言うので、びっくりしながらも、「え?本当に?いいんですか。ありがとうございます」と反射的に答えていた。

車に乗せてくださったのは静岡のご夫婦で、車の中でツツジのことや、住まいのこと、昨日下部温泉に泊まったことなど教えて頂き、「南アルプスの聖岳や赤石岳など静岡にはいい山がたくさんありますから是非遊びに来てくださいね」などと優しいお言葉までいただく。「根性なしなんで、あそこらへんは計画は立ててもなかなか実行にうつせないんですよ〜」などと答えながら、窓からはいる涼しい風に吹かれて気分の良いドライブが20分も続くと、下部温泉の駅だった。



何度も阿呆のように頭を下げる以外、何もできないが、お礼を言い、宿へと再び向かう車を見送った。次の電車は鈍行だと甲府行きが16時過ぎで一時間近くあったが、駅の近くでビールとつまみを買って、駅舎に巣を作ったツバメを見ながら、山行後のゆっくりと過ぎる時間を楽しんだ。
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○ 新緑の大持山西尾根

2006年05月31日 22時36分41秒 | 奥武蔵
【山域】 奥武蔵
【山名】 大持山(1294.1m)
【山行日】2006年5月21日(日)
【メンバー】単独
【地図】エアリア「奥武蔵」2001 
    1/25000 「武蔵日原」「秩父」
【参考図書】『奥武蔵山歩き一周トレール』(かもがわ出版)
【天候】晴れ

【コース】
浦山大日堂   08:40 - 09:30 793ピーク
793ピーク  09:35 - 10:30 1142ピーク
1142ピーク 10:45 - 11:20 大持山
大持山     11:25 - 12:00 小持山
小持山     12:50 - 13:25 大持山分岐
大持山分岐   14:05 - 15:00 鳥首峠
鳥首峠     15:10 - 16:20 浦山大日堂



【山行記】
朝、西武秩父駅から大通りに出て、浦山大日堂行きのバスを待つ。浦山大日堂と秩父駅を結ぶバスは、これまで帰りの便でしか利用したことがない。初めて利用したのは山歩きを始めて間もない98年の秋のこと。仙元峠から仙元尾根を下って道に迷い、たどりついた川俣の集落でとっぷりと日が暮れて、たいそう怖い思いをした。

あのころはまだ、もっと手前の金倉橋までしかバスは入っておらず、薪を積んだ民家のそばを子どもたちが駆け回り、「もう、そろばん塾にいかなきゃ」という声が聞こえ、のどかな山村という感じであった。集落には酒を商う店があり、ビールを買った覚えがあるが、今はそんな店も見あたらない。大日堂から金倉橋までの細い道は消え、代わりにバイパスのような広い立派な道ができた。あれからもう8年という歳月が流れたのだ。そろばん塾にいかなきゃ、と云っていた女の子は今どうしているだろうか。

浦山大日堂バス停から一つ手前のバス停「渓流荘前」へ戻るように進む。大日そば休業のお知らせに少しガックリ。仙元尾根への道標は立派なものになっており、写真におさめていると、バスに乗り合わせたもう一人の登山者が、その道を上がっていった。

送電線の巡視路を示す黄色い標柱「奥秩父線16号、安曇幹線324号出入口」が取りつき。最初は簡易舗装道だが、民家の脇をすり抜けるとすぐに土の道に変わる。奥武蔵の登山道はたいてい長い林道歩きを伴うので、すぐに土の道を歩けるのはありがたいものだ。



尾根に上がるまでのジグザグで、新緑が十分楽しめ、朱色のヤマツツジがアクセントを添えている。最初は徹底的な植林帯だと覚悟していたので、これはうれしい誤算。道はきわめて明瞭で、ところどころにある黄色い標柱「奥秩父線16号に至る」をたどっていけばやがて尾根に乗る。尾根に乗っても新緑は楽しめ、やがて最初の鉄塔に着く。さらに尾根づたいに進むと、10分ほどで二番目の鉄塔にすぐに着く。

暑くなってきたのでTシャツ一枚になってさらに尾根通しに進んでいくと、道はやや尾根を左にはずれるが、これは793を巻いてしまいそうだし、あまり歩き易くない。尾根に戻ってやや岩がちの植林帯を歩いていくと793のピークに着いた。焼山の標識はないかと探したが、木の幹に「H793大塚山」と書かれた黄色いテープが巻かれていたのを見つけただけ。


793からいったん下るが、地形図通りすぐに登りになる。このあたりからはもう送電線の巡視路ではないため、踏み跡は不明瞭になってくる。が、しかし、尾根の筋は明瞭で、左手に749からの尾根を合わせると、小平地となる。ここは下りにとったとき、地形図のちょうど継ぎ目にもあたり、わかりにくく間違えやすいところかも知れない。

小平地から方向をやや北東に変えて急な尾根を直登する。植林帯で、傾斜も急なので尾根通しに単調に登っていく。しかし、左手に905の尾根が見えてきて傾斜がややゆるんでくると、そこには素晴らしい光景が待っていた。本当の緑色というのはこんなにきれいだったのか!と感動してしまうほど美しい自然林があたり一面にひろがり、五月の陽の光を受けて葉が生き生きと輝いている。まさに緑のトンネルのなか、森の中をさまよい歩く喜びに身体が震える。

足下は落ち葉だらけで道と呼べるようなものはなく、落ち葉でなかなか前に進まないものの、尾根筋は明瞭で迷うことはない。言葉を失うほど美しい新緑の中を少しずつ前に進んだ。

1142のピークはブナもある自然林だけに囲まれた好ましい小ピーク。目指す大持山とおぼしきピークも見え、ここで少し小腹が空いたのでメロンパンを少し食べ、アクエリアスで喉を潤した。



1142からは左手に見える高みを目指して自然林100%の道をゆるゆると登っていく。足下にはカタクリがすでに花を落としたあとだったが、ミツバツツジの混じる特上の新緑の道を上機嫌で歩き、無事大持山頂上のすぐそばにぽんと飛び出した。遠くでホトトギスが鳴いているのが聞こえる。

時間を見ると11時過ぎ。こんなに好い天気なのだし、下のそば屋さんも閉まっているようなので、急いで降りるなんて莫迦らしい。暇なので小持山をとりあえず往復してみることにした。



アカヤシオはもう花びらの一つも残っておらず、代わりにトウゴクミツバツツジと思われるきれいなツツジが咲いていた。しっかりした稜線は今まで歩いてきた道とは違い、堅く踏みしめられ歩きやすいが、岩がちの道なので、あまり油断もできない。武川岳方面に展望が開け、さらに進むと小持山に着く。遠くに両神山が見える。

そろそろお昼時。大持山方面に少し戻って展望がよく、日影になった場所を選んで大休止とした。お昼を平らげてお茶を飲みながら、少し無線を聞いてみると、日光市の小法師岳から電波を出している局がいたので、声をかけてみると簡単につながった。アカヤシオや道の様子など聞くことができ、楽しい交信となった。

大持山方面に戻り、大持山の山頂を素通りして、鳥首峠と妻坂峠の分岐点で腰を下ろす。ここは目の前が伐採されて、都心方面の大展望地点となっている。さすがにこの季節ではあまり遠望はきかないが、遠くさいたま新都心方面や、これから向かう鳥首峠方面の尾根をぼんやり眺めながら、ゆっくりとお湯を沸かして、紅茶を煎れて飲む。よく考えてみると、この鳥首峠方面の尾根は奥多摩と奥武蔵をつなぐ尾根であり、混んだバスや狩猟で足がすっかり遠のいた奥多摩へこちら側からアプローチするのも悪くない、などと考える。

あわてて降りてもしょうがないと、無線をつけると、今度は日光の社山から出ている局がいたが、こちらはあいにくと拾ってもらえず、またしばしボーッとしたあと、鳥首峠へと向かう。



大持山からウノタワがこれまたすばらしい新緑のプロムナード。ブナミズナラの他、シラカバの新緑まで拝むことができ、そこにミツバツツジやヤマツツジの蕾が彩り豊かに青空に映えて、気分の良い稜線歩きを堪能した。ウノタワは来るたびに思うのだが、水場さえあれば素晴らしいテン場になるのではないか。

ウノタワから少し歩くと植林帯となって、左手に真っ白に削られた石灰採石場をみると鳥首峠。鳥首峠で少し休憩をしたあと、冠岩方面への道を降りる。左手に自然林も見えたりするが、道は基本的に植林帯につけられており、今までの道が素晴らしかっただけに、ちょっと失望しながら降りて行く。

途中、支沢を渡って対岸をトラバースする地点で道が崩壊して消えたように見えるところがある。ここは沢を降りずに、マーキングの着いた方向に進み、沢を渡って対岸のザレた斜面をやや強引にトラバースすると、もとのようなしっかりした踏み跡の道になる。初めて下りに使うと迷うかも知れない。

たんたんと下ると、人家があり、どうやら人が住んでいるようだ。さらに下っていくと「冠岩」の指導標があったが、これがそうか、というような岩も見あたらず、どの岩を指して冠岩というのか判らずじまい。

あとはのんびりと舗装道路を朝降りた浦山大日堂のバス停まで歩くだけ。「大日そば」はやはりシャッターを降ろしたままで、バスが来るまでの30分ほどを家から持ってきたワインを飲みながら時間をつぶした。
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○ アカヤシオとヒカゲツツジいっぱいの笠丸山

2006年05月05日 10時50分40秒 | 西上州・妙義
【山域】 西上州
【山名】 笠丸山(1189.1m)
【山行日】2006年5月3日(祝)
【メンバー】単独
【地図】エアリア「西上州・妙義」99
    1/25000「両神山」「神ヶ原」
【参考図書】『群馬の山歩き130選』(上毛新聞社)
       『東京付近の山』(実業之日本社)
【天候】快晴

【コース】
藤沢  10:30 - 11:35 登山口
登山口 11:40 - 12:30 笠丸山
笠丸山 13:10 - 13:35 地蔵峠
地蔵峠 13:35 - 14:00 登山口
登山口 14:05 - 15:15 藤沢

【山行記】

高崎線が本庄駅に近づく頃、電車の窓から浅間山が見えた。2ヶ月前は真っ白だった浅間もさすがに雪がだいぶ融けて、黒い地肌の方が多くなっている。

本庄と高崎のちょうど真ん中に新町という駅があり、初めて下車する。バスは駅の東側が発着場所になっていて、駅にはたくさんの人がいたものの、上野村行きのバスに乗ったのは私の他に5〜6人ほど。20席ほどの小さなバスだが、ゆったりと座れた。

バスは途中、八高線の群馬藤岡駅を経由して、藤岡の町を離れると鬼石(おにし)のあたりから山間の風景になる。神流(かんな)湖のほとりをくねくねと走って万場まで一時間以上の道のり。万場で5分の休憩がある。ちょうど鯉のぼり祭りが催されていて、おびただしい数のコイノボリが神流川の上空を泳いでいた。

万場から先も神流川に沿って蛇行した道を延々と走る。乗り物酔いする人はここら辺はキツイかも知れない。バスには、トイレに行きたくなったり気分が悪くなった場合は運転手に遠慮せず声をかけるように、と書いてある。

高橋で一人、八幡でもう一人登山者が降り、私の他に女性二人となった。女性二人組が乙母(おとも)で降車ベルを押し、今から天丸か、すごいなぁ、と感心していたら、どうやら、乙母神社前(藤沢)と間違えたようで、藤沢で私とこの二人組が降りて、バスは空になった。

乙母神社で安全祈願をしてから、Tシャツ一枚になって歩き出す。風が吹くとさすがに少し肌寒いが、この陽射しでは長袖でアスファルトの登りは余計な汗をかくだけと、そのまま歩き続ける。

林道歩きはやはり退屈であるが、2週間以上山に行ってなかった間にもえぎ色に変わった山肌を見ながら歩くのは実に気分が良かった。春は本番を過ぎ、もう少しすると木々が山頂まで新緑に包まれ、ホトトギスやエゾハルゼミの鳴き声が聞こえてあっという間に夏になってしまうのだ。



林道を歩いて45分ほどすると行く手に目指す笠丸山が見えてくる。結構ごつごつした感じの岩峰で山頂付近にピンク色がちらちら見えていて、期待がふくらむ。コースタイムの1時間では住居附(すもうづく)の登山口に着けず、5分ほど余計にかかってしまった。登山口の手前であとから出発した女性二人組に抜かれ、登山口からも急な坂をぐんぐん登っていき、やがて姿が見えなくなった。

私はといえば、登山口で小休止後、植林の急登をゆっくりと登り始める。植林はすぐに終わり、よく手入れされた雑木林となり、ミツバツツジがお目見えする。やがてシラカバも混じる気持ちの良い自然林の中をのんびり写真を撮りながら登っていくが、急坂とツツジが紫なのは変わらないまま。

右手に楢沢峠方面からの大きな尾根が見えてきて、「あれが合わさると山頂か、すぐだな」などと思っていたが、なかなか尾根の合流地点は近づかない。やがて、目の前にものすごい急坂が聳えて、ああ、こりゃ、熊倉の最後の登りそっくりだわ、と観念しながら登っていくと、ピンク色のあのあでやかな花が見えてきた。足場もあまり良くなく、光の当たり具合ももうひとつなので、写真は数枚だけにして更に急傾斜の斜面を登っていくと、頂上にポンと飛び出した。

「笠丸山山頂」と記された頂上は南峰で、ここには三角点はなく、大きめの祠があって、無事登頂の感謝をしてから、辺りを見回すと、お目当てのアカヤシオが盛りを過ぎてはいるものの、咲いていて、早速写真をと思って近づいたら、すぐそばにヒカゲツツジの群落。やや色の薄いアカヤシオや花づきの極端に悪いものなどもぱしゃぱしゃと撮って、ようやく落ち着いたところで、ランチ場所を探した。北の方はどうも狭そうなので、南峰に戻って、アカヤシオの向こうに二子山が見え、すぐ左はヒカゲツツジという特等席を選んで、昼食とした。



アカヤシオの上品なピンクが雲一つない青空に映えてとても美しい。この桃色とスカイブルーのマッチングは絶妙で、この花を初めて見た2003年の春以来、毎春この時期にこの花を見るのが楽しみとなっている。今年はやや花のつき具合が少ないようだが、それでも、この花の美しさは格別で、眺めているだけで、自分が今年もこうして生きていて、目が見えて、山に登れるということに感謝してしまう。

食事を終え、地蔵峠を目指し歩き始めるが、ここからがヒカゲツツジ、アカヤシオともに本番という感じで南峰から北峰までの短い距離の間もかなり楽しめる。とくにヒカゲツツジときたら、それこそ雑草のようにそこら中に咲いている。花のしおれ具合からもう少し早く来れば良かったかとも思ったが、いつもいつも絶頂期というわけにはいかないのは仕方がない。



北峰では三角点を確認するのをわすれるほど、目はうつろにツツジの群れを追っていた。少し戻って地蔵峠への下降点。ここはロープがついているが、足を滑らせないように慎重に下る。昨日の雨のせいだろうか、水がたまって滑りやすくなっていたところもあったので、冬季など凍結したら厄介だと感じた。

地蔵峠に降りるまでの道すがらもアカヤシオが楽しめた。こちらはいくぶん花のつき具合が良かったので、たくさん写真を撮る。アカヤシオがなくなってミツバツツジが優勢になるとしばらくで地蔵峠。大きな巨樹は楢の木か。楢沢峠、塩ノ沢峠方面の尾根道にも惹かれるが、今日はおとなしく住居附(すもうづく)へ戻る。

地蔵峠からの峠道は傾斜もほどよく歩きやすい佳い峠道。ハシリドコロ、エンレイソウ、ミヤマキケマン、ニリンソウが咲いていた。途中に垣間見る自然林の小尾根がことのほか美しい。こういった美しい風景を無用な林道で破壊したりするのは本当に悲しいことだ。いつまでもこのままの姿でいて欲しいと切に願う。



地蔵峠からの下りはコースタイムの半分近くで降りられ、あれ、もう林道?と思っているとすぐに住居附の集落に着いてしまった。ちょうどこの時期、今日のような天気の好い日にこういった山村の集落に降りてくると、色とりどりの花と緑に包まれた集落は桃源郷のように見えてしまう。



一日数本しかないバス停から林道を1時間も歩かなくてはならない不便さを考えると、その苦労を思いやるべきなのかも知れないが、あまりの美しい光景に、ここに住むことの幸せの方を強く感じてしまうのだ。

来るときと同じ林道をてくてくとバス停目指して歩く。今日は山にいる時間より行き帰りの電車バスの方が長いななどと思ったが、黄緑色に染まり、徐々にエネルギーが横溢し始めた山々を見ながらこの日の満足な山行を思い返しつつ、今日は朝早起きしてここに来て本当に好かったと感じた。
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○ 大室山茅ノ尾根〜鐘撞山

2006年04月25日 23時14分03秒 | 丹沢
【山域】丹沢
【山名】大室山(1587.6m)
【山行日】2006年4月15日(土)
【メンバー】単独
【地図】1/25000大室山、 エアリア「丹沢」2005
【天候】晴れ

【コース】
久保吊り橋 08:10 - 09:00 久保分岐
久保分岐  09:10 - 10:05 1230m付近緩斜面
1230m付近 10:15 - 11:00 大室山
大室山   11:35 - 12:05 神の川ヒュッテ分岐
分岐    12:15 - 13:10 鐘撞山
鐘撞山   13:40 - 14:55 神の川キャンプ場
キャンプ場 15:00 - 15:55 神の川入口バス停

【山行記】

多摩センター4分の待ち合わせで小田急線から京王線へマニアックな乗り換えに成功。橋本駅には、バス発車の10分前に到着できた。橋本発三ヶ木行きの一番バスさえ掴まえてしまえばこっちのもの。同じ神奈中バスの三ヶ木発月夜野行きは橋本と相模湖の一番バス到着を待って発車してくれる。今日も橋本発が10分近く遅れたものの、月夜野行きはしっかり連絡待ちの待機をしていてくれた。

珍しく月夜野まで私の他にもう一人登山者が同乗。二人して月夜野発長又行きの富士急バスに乗り継ぐ。車窓から見える大室山の山頂付近は真っ白な樹氷が遠目にもはっきり判る。四月も半ばとはいえ、山頂は明け方零度前後まで冷え込むのだ。ツエルトは持っているが遭難などしないように十分注意しないと... 少し緊張感が走る。

久保の吊り橋で降ろしてもらったあとも、もう一人の登山者は乗ったまま。あの人はどこへ行くんだろう? そんなことを考えながら、吊り橋でストレッチをし、ウグイスが囀る中、高度のある吊り橋をこわごわ渡る。

橋を渡るとすぐに大室山の指導標が見つかり、尾根の右側から回り込むようにして尾根に乗っかると、あとはやや急な植林帯の尾根をほぼ直登していく。踏み跡は植林帯では非常に明瞭で、一般登山道を歩き慣れている人であれば拍子抜けするほどわかりやすい。ただ、薄暗い植林の尾根道が標高900mあたりまで続くので、少々うんざりする。

久保分岐で大渡からの道を合わせ、いささか植林帯に飽き飽きする頃、右手が自然林となって、周囲も明るい雰囲気に変わり、気を取り直す。

久保分岐から20分ほどで周囲が自然林の好ましい道に変わり、やがて1161のピークを左から巻くように登ると、落ち葉がくるぶしの上までもぐる雑木林の楽しい小径。踏み跡は薄くなるが明瞭な尾根筋であり、そこそこの地形判断力があれば、不安になることもなく楽しんで歩けることだろう。古い道標「←至 大室山 約一時間 ● 至 大渡 約40分 →」がぽつんと立っている。

1230m付近でこの先が急斜面になっているのを見て、ここで久保分岐に続いて二回目の小休止をとることにした。

チョコレートで10分ほどの休憩をとったあと、やや急な斜面を登る。このあたりですでに左右に尾根が見えており、左右の尾根が合わさればほぼ山頂だと判る。しかし、さすがに大室山。そう簡単に山頂を明け渡したりはしない。ブナの美林に変わり足はなかなか前に進まないが、こんなブナ林をそそくさと歩く方がよっぽどもったいない。



やがて来るときにバスから見えていた樹氷の木々が見えてきて、冷たい空気の中を写真を撮りながらゆるゆると登っていくと、来た方向を「大渡・久保吊り橋」と指した指導標が現れて、山頂に到着した。

山頂には先着のご夫婦が一組だけ。山頂での休憩を終えて腰を上げるところだった。お腹も空いてきたのでルリビタキ(?)が囀る中、早めのお昼ご飯をいただくことにした。昼食をとっていると一人二人と山頂に上がってくる。大休止を終えて下山の荷造りをしていると、大室指の方から登ってきたご夫婦がいたので、道の様子をうかがったら、悪くないという。大室指に降りるのかと聞かれ、「いえいえ」と答えて、「神ノ川ヒュッテ・日蔭沢新道」と書かれた小さな道標の方向へ向かう。

最初は鹿除けの柵があって少し判りにくいが、さすがに神ノ川ヒュッテ分岐までは耐久レースのコースに使われているだけあって、急な坂道はえぐれるほどはっきりした道形。日当たりが好いせいか、茅ノ尾根では小さかったバイケイソウの芽がこちらでは大きくしかもたくさんあった。高度を下げると日当たりはいっそう良く、バイケイソウの群落もある。

右手が大きく開けて、檜洞丸・蛭ヶ岳がよくみえる。道は左側が自然林、右側が植林となって、神ノ川ヒュッテの分岐に着く。神ノ川ヒュッテの道標があり、分岐点は明瞭。ただし、尾根筋の方角には何の指導標も案内もない。

分岐から尾根筋を辿り10分ほどすると、このコースの一番厳しい箇所にさしかかる。エアリアには急坂とだけ記されているが、地形図で見ればものすごい等高線の混み方。ぞっとするほどのザレの急斜面をほぼまっすぐに下って行く。登りも相当しんどいだろうが、下りもかなり神経を使わされるという意味でいやな坂だ。右手に934のピークが見えるが、本当にあんな下が934mなのかと思うほど下に見える。ぱっと見た感じでは800mないように見えるほど高度差が激しい。しかし、その左手には鐘撞山とおぼしきピークも見えていて、コースを間違ったわけではないようだ。

実際しばらく下ると樹の根っこに「鐘撞山←→大室山」とだけ記されたヒメサユリの会の小さな道標が見つかる。ザレが終わると今度はガレ。いくつか小さい石を落石させてしまう。
登山の検定試験があるとしたら、ここで一つも落石させずに下れたら一級をあげて好いのではないか、などと考える。

もうこんな道二度と歩きたくないと思う頃、急坂が終わって、934のピークに着く。ここには指導標はないが、東の尾根に入り込むのはよほどの注意不足ではないだろうか。少し休んでから、鐘撞山に向かう。

鐘撞山はどうということのない平凡なピークだが、実際に鐘を撞けるようになっていて、試しにぶら下がっている木槌でたたくと、これが思いのほか佳い音色で響きわたる。
三角点の方へ歩いていき、時間が余りそうなので、ここでコーヒーを沸かしてゆっくりと飲んだ。

鐘撞山から長者舎へ降りる道もあるが、予定通り三角点から道なりに尾根を行く。鐘撞山から30分ほどで、来た方向を「大室山」と記した指導標があって、ここで尾根通しの道がピンクのヒモで「とおせんぼ」されている。右手には折花橋へ降りると思われる道が延びていて少し思案。 

エアリアの赤破線はよく見るとこのあたりから微妙に尾根をはずれており、もしかしたら、ここからトラバースになるのかも知れないと素直に尾根をはずれてみる。するとすぐに「←神ノ川キャンプ場 ● 折花橋→」と記された緑色の指導標が現れ、ほっとする。ここから折花橋に降りると時間的にも結構厳しくなってしまうし、当然のごとく神ノ川キャンプ場と記された山腹トラバース道に進む。

507の小ピークは巻くようにして過ぎる。このあたりそろそろ新緑が始まっており、ミツバツツジも結構咲いている。最後は尾根を離れ、キャンプ場は目と鼻の先、というところで大きな樹が倒れて登山道が大崩壊していた。立ち止まって、どうしようか、と考えていたそのとき、足が滑り、左手で木の幹をつかんだものの、更に滑って、右手を岩にぶつけて小指から結構な量の血がぼたぼたと滴り、持っていたストックが血まみれになった。

なんとか、身体を持ち上げ、倒木を避けながら崩壊地を抜けだし、登山口に降りた。ああ、なんてこったい、と最後の最後につまらないミスで怪我を負ってしまった自分のふがいなさに腹が立った。

幸い目の前に神ノ川が流れており、流水で傷口に入り込んだ泥を洗い流し、持っていた大判のウエットティッシュで消毒、ちり紙で血を拭って、絆創膏を貼ったらなんとか血が止まってくれた。

神ノ川キャンプ場はちょうど桜が満開で見頃だった。こんな怪我をしてもキャンプ場でビールを売っているのを見つけるやロング缶を買い求めてぐびぐびと飲んでしまう。キャンプ場からは車道をのんびりバス停まで歩く。袖平山の指導標があって、こんなところから登れるのか、とぼんやりした頭で考える。



里はヤマブキの黄色、ミツバツツジとダイコンソウの花の紫がとても美しく、この季節は山も佳いけど、山里が目をみはるほどきれいだなと感じながら、集落を眺めつつ神ノ川入口のバス停を目指した。

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○ 大栃山北西尾根を下って桃の花見

2006年04月23日 16時19分43秒 | 御坂
【山域】御坂
【山名】大栃山(1415.0m)
【山行日】2006年4月9日(日)
【メンバー】単独
【地図】1/25000 「河口湖西部」「石和」
【天候】晴れ

【コース】
桧峯神社前バス停 09:00 - 10:20 檜峯神社
檜峯神社     10:30 - 10:50 トビス峠
トビス峠     10:50 - 11:35 大栃山
大栃山      12:15 - 13:00 △1086.4
△1086.4     13:30 - 14:55 一本杉
一本杉      15:00 - 15:40 桃の花バス停留所

【山行記】
石和温泉駅から徒歩10分ほどのバス停で、富士吉田行きのバスに乗る。私の他に登山者はおらず、バスを降りて、檜峯神社までの車道をとぼとぼと歩いていると何台もの車やタクシーに抜かされた。あとで聞いた話では、石和の駅から奥の神社まで5000円近くかかるらしい。昨秋、錦繍の神座山へ登ったときも歩いているせいだろうか、それほどの苦痛もなく神社までの歩きを終えることができた。

神社のトイレ脇にカタクリが咲いているという話だが、数枚の一枚葉がみつかっただけ。トビス峠への道すがらいくつか蕾を見つけることができたが、開花しているものは見あたらなかった。

神社で休憩をとっていたので、トビス峠は少し立ち止まるだけにして、すぐに北へ延びる急な尾根を登ることにした。トビス峠の八代側は前回来たときよりも、ヤブが刈り払われ整備されたような感じだった。

急坂はすぐに終わって、ほぼ平坦な道をしばらくいくと、いったん下った先のピークが大栃山。山頂はにぎやかすぎるぐらい混雑していたので、南アルプス方面の写真を撮ってすぐ、西に少し降りた雑木の雰囲気がいい場所でお昼ご飯にした。ここでも小枝越しに南アルプスが望めるので、静かに落ち着いて休憩できる。

今日は少々地形判断が必要な北西尾根を降りて、一本杉あたりから桃の花見をする予定なので、少し緊張している。お昼を終え、さて出発しようかと腕時計をみると、高度計の表示がなんとエラーになっている。

ええ!こんなときに何で?と思ったが、しょうがない。おとなしく引き返そうかと思ったが、高度計はあくまで補助。地形判断は地形図とコンパス、周囲の風景で判断するもの。天気も好いし、ここは思い切って行ってみることにした。


予想通り、西に向かった尾根は西と北西に分岐するので、コンパスで確認して北西尾根にはいる。山頂から10分ほどで早速最初の道標「←花鳥山一本杉へ(120分)御坂町」が現れる。



梢越しに南アルプスを眺めながら下ると、二番目の道標(100分)。雑木の美しい尾根道。ああ、なんて静かですてきな道なんだと惚れ惚れしてしまう。すぐに三番目(95分)の道標。北西にのびていた尾根が大きく西に曲がり小ピーク登り返す。小ピークから北に延びる尾根を行けば1086.4の三角点があるはずだ。

1086.4の三角点に無事到着。山頂から一時間弱だが先は長いので、ここでコーヒータイムにした。のんびりとお湯を沸かし道標(85分)の指す方向とは別に北北東尾根にある踏み跡を見ながら、この尾根を下ると甲府国際ゴルフ場の脇の破線に行けるのかな、などと考える。

そばの枯れ木にとまっている蝶を見ながらコーヒーを飲んでしばらくぼーっとしていた。

指導標に従い北西に向かう尾根を降りる。80分70分そして40分の指導標が現れる。40分の指導標は710m圏の小ピークにあり、ネットで調べたところでは、ここは大きく西南西に進路を変えるので間違えやすいとのことだったが、現在は指導標もあり踏み跡もはっきりしているので、間違えることはないだろう。

問題はここからややヤブがちの尾根を下りきったところで、609のピークを前に落ち葉がたまって踏み跡が消えた感じになる部分だ。地形図と照合し、向かって右側に見えるのが609のピークだろうと判断。右側のピークを目指して直登してしまったが、稜線に立てば右手から踏み跡が上がってきており、下でよく探せば登り道が見つかるようだ。このあたりは指導標もなく判りにくいので地形図とコンパスである程度RFが必要なところかもしれない。

609のピークに上がれば、そこには今までみてきた青いヒモのマーキングがあって明瞭な踏み跡をたどればじきにイノシシ除けの柵にたどり着く。イノシシ除けを過ぎると、目の前に桃畑と一本杉らしい大きな樹。咲き始めたばかりの桃の花を見ながら舗装道路を辿って一本杉に着くと、ちょうど桜が満開で近所の人たちがお花見をしていた。



一本杉から桃の花見をしながら見当をつけて尾山の方へ向かっていくと、桃の花祭り会場に行き当たったので、ここでビールを買って飲んだ。バス通りに出ようとしたら「桃の花バス」の臨時バス停を発見。最終バスまで15分ほどだったので、持参したワインを飲みながら桃の花バスを待ち、のんびりバスに揺られて石和温泉の駅前までタダで運んでもらった。




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