明日への道標~みんなが幸せになるために

さあ、また書き始めよう。どうしても伝えたいことがあるから。

君子豹変して、加藤厚労相を全力で応援したい

2018-02-08 | 政治
ここに来て、厚労省の新しい受動喫煙対策案(加藤案と呼ぼう)が徐々に明らかになってきている。これに対して、世の中からは「自民党案丸のみだ」「骨抜きだ」「これじゃ意味が無い」などの厳しい言葉がぶつけられている。

だけど、私はそうは思わない。加藤案は現在の状況も踏まえて、極めてよく考えられた案だと、高く評価している。その理由を説明したい。

受動喫煙対策の主戦場は飲食店だ。その飲食店に関する加藤案の大きなポイントは以下の点だ。
1.喫煙店への20歳未満の立ち入り禁止
2.喫煙店を選択できるのは以下の条件を満たす店のみ
① 客席100平米以下
② 個人または中小企業が経営
③ 既存店のみ(新規は不可)

そして、その最大のポイントは上記の「2-③」、すなわち、「新規の喫煙店は認めない」という点だ。

皆さんは、飲食店の寿命について調べたことはあるだろうか。調査によって多少バラツキはあるが、多く見積もったものでも2年生き残るのが50%、5年で20%、10年生き残るのはせいぜい10%だ。

要するに2年後には半分、5年後には8割、10年後には9割の飲食店は入れ替わっているのだ。ここで「新規の喫煙店は認めない」という条項が強く効果を発揮してくる。

これを前提に、今後のシナリオを考えてみよう。

今、8割方の飲食店は喫煙店である(「分煙店」を含む)。加藤案が実現すれば、まず施行時に今の喫煙店の半分程度は禁煙店に転換するだろう。そうなると喫煙店:禁煙店の割合は4:6になる。

そして、その2年後に2:8、5年後なら1:9、10年後は0.5:9.5にまでなる(若干、丸めています)。それと同時に、喫煙店が圧倒的少数になれば、喫煙店は「特殊な店」という位置づけになっていくので、そこで忘年会をやったり、商談をしたりして非喫煙者が付き合わされる機会も減って行くだろう。

加藤案は一見、喫煙派の完全勝利に見えるし、多くの報道もそう報じている。しかし実際は相手に勝たせているようで、実は勝っているという、なんとも元財務官僚らしい巧妙な案なのだ。

むしろ、30平米以下のバー、スナックが喫煙店として未来永劫残ってしまう塩崎案よりも、厳しい案なのではないかとすら思う。

加藤案は喫煙派が「勝った、勝った」と喜ひながら着地する所がミソなので、このエントリーを書こうかどうか迷っていた。ただ、加藤案の最大のポイントである「新規の喫煙店は認めない」という所が注目を集めないまま有耶無耶にされて欲しくなかった。だから、このエントリーを書いた。

加藤案がそのまま国会で承認されることを強く願いたい。ガンバレ、加藤厚労相!


P.S.
Twitter上で、全ての飲食店に新規開業の飲食店の生存率を適用するのは適当でないのではないか、とのコメントがあったので、もう少し調べてみました。

帝国データバンクによると2016年に休廃業・解散した飲食店の業歴は以下の通りだそうです。なお、後ろの括弧内は比較のために「開業年10年当たり」に私が換算したものです。
10年未満  21.7% (21.7%)
10年〜30年未満 35.1% (17.6%)
30年〜50年未満 27.7% (13.9%)
50年〜100年未満 15.0% (3.0%)
100年以上     0.4%  (N/A)
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p170302.pdf

メカニズムは正直よく解りませんが、年を経るにつれて生き残っている飲食店は減っているはずなのに、休廃業・解散に占める割合の減少が緩やかな気がします。例えば、10年生き残る飲食店は1割未満のはずなのに、「50年〜100年」の所の数字ですら「10年未満」の1割より大きいのですから。

精緻な議論は、もう少し詳しいデータが無いと難しいですが、年数を経れば飲食店の経営が目に見えて安定するというものでもなさそうです。

それを考えれば、本文の割り切りも一定の合理性があると思いますが、如何でしょうか?