風通庵-直言

ヨモヤマ話

未婚、試婚、結婚、離婚----。

2006-10-27 11:09:44 | Weblog
 結婚したら離婚はするな、性格の不一致を理由に挙げるが、親子兄弟でも性格はいろいろ、まして他人同士で性格が合う筈がない。その合わない性格の下に如何に処するか、それが夫婦生活、家庭生活の妙ではないか---と、結婚式のテーブルスピーチで述べてみようと思うのだが、いまだその機会がない。なくて幸いかもしれない。


 夫の定年退職後に離婚を考えている年配の女性が多いことから、「離婚時年金分割制度」が、19年4月からスタートする。この制度は夫の年金の最大半分まで妻に支給され、決められた額が国から直接支払われる。これで熟年離婚に拍車が掛かるかもしれない、と。
 この制度、入籍していない事実婚の夫婦も対象になる。
 事実婚夫婦、入籍していないが事実上婚姻関係と同様の事情にあるもので、税務上は「控除対象配偶者」として絶対に認められないが、社会保険関係の法律、厚生年金法はもとより健康保険法も被扶養者として「事実婚」を認めている。この点、戦前からの法律とは言え時代を先取りした画期的な法律であるが、被保険者(労働者)の生活の安定と福祉の向上を目的とした法の趣旨から、実態を重んじての規定で、実際「被扶養者」として認めるためには、戸籍抄本、住民票の写しの添付を要求している。


 法の規定で、認められる事実婚を除いて、現実には厳しい判定が下される。近隣住民が認め、民生委員が証明しても、いずれも公的には認められない。社会秩序の維持から当然で、いまだ事実婚は市民権を得ていない。
 JR福知山線脱線事故で、同居していた相手を失い、飛び降り自殺した女性の場合、籍が入っていないという理由でJRが補償交渉で遺族として扱ってくれない。ちょうど「試婚中」(新語です)であった。今ここでJRの対応とか、遺族の意向は論じないが、法律婚主義の建前からは交渉能力が弱く、実態を、情を、訴えるしかない。事実婚が法的にいかに弱いか、である。


 一両日の新聞で、京都男児餓死・父親と内妻送検---、奈良・母子放火殺人、長男を中等少年院送致---と報じているが、ここ半年、一年間での親殺し、子殺し、幼児の迫害、放火殺人、傷害事件等で、メディアは報じないが、崩壊家庭、離婚家庭の複雑な事情を背景に起った事件が圧倒的に多い。先の、京都男児餓死・父親と内妻送検では、離婚した父親が二人の幼児を連れて、女性と同棲の家庭。奈良・母子放火殺人事件では、医者である父親が離婚、再婚の母との間に弟と妹。いずれも再婚夫婦の家庭のヒズミがある。夫婦の離婚が夫婦間だけの問題ではなく、それが子供に如何に影響するかを見逃してはならない。


 折りしも安倍晋内閣が教育再生を重点政策に揚げている。教育面で何をどう再生して欲しいか。枚挙に暇がないが、道徳規範の再生は言うに及ばず、家庭の崩壊、学級崩壊、学校でのいじめの問題等、なかでも家庭の崩壊は緊急で、健全な家庭での家庭教育がすべての根底にある。将来をになう青少年の健全な育成を計るなら、離婚家庭や再婚家庭の存在がいかに障害になるか、事実婚を認める社会の風潮と照らし合わせて考えたい。
 

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