奈々の これが私の生きる道!

映画や読書のお話、日々のあれこれを気ままに綴っています

漫画「五郎の冒険」横山光輝の謎♪

2016-10-16 09:10:31 | 読書
 ここ最近、忙しく過ごしていまして、ブログを書くのも、なかなか時間がとれません。
 
 そういう訳で、今までのようにお付き合い出来ないかも知れませんが、寛大なお心で、ご

理解下さればありがたいです。


 それでは、前置きはそれくらいにしまして、今回も横山光輝作品のお話をしたいと思いま

す。
 
 その訳は、手塚治虫先生が、横山光輝さんをライバル視した理由を、もっと探りたいから

です。

 手塚先生は、横山光輝さんについて、こう書いておられます。
  

 娯楽マンガの功労賞があれば横山さんにぜひ一番にさし上げるべきではないかと思います

。(手塚治虫大全1 横山光輝さんのこと)より。

 つまり、手塚先生にとって、横山さんは単なるライバルとしてしのぎを削っていただけで

はなく、ほかのどの漫画家よりも才能を高く評価していたということになるのではないでし

ょうか?

 そこで、今回、取り上げるのは「五郎の冒険」です。
 
 この漫画は、主人公の五郎がタイムマシンを発明したおじさんの田良良三次博士と共にタ

イムマシンで、過去や未来を冒険する物語です。
 私は、まずストーリーそのものより、五郎という名前に注目せずにはいられませんでした



 なぜなら、私の周りで、五郎という名前の人はいませんでしたし、漫画もテレビ番組も五

郎を主人公にしたものは、まったくなかったからです。
 しかも、五郎という名前は、長男や次男には、普通、つけませんよね?
 ということは、少なくとも5人は兄弟がいるということになっちゃいます。 
 だから、私は五郎という名前に驚いてしまったのであります。

 ところが、昭和30年代をこよなく愛する私のブロ友さんによると、当時は「五郎」をタ

イトルにした漫画がいくつもあったらしいのです。
 だったら、団塊世代という言葉があるくらいですから、当時は兄弟の数が多くて、現実に

五郎という少年も沢山いたのかも知れません。
 
 でも、私の世代では、二人や三人兄弟が、普通になっていたので、五郎という名前は廃れ

、それに連れて、五郎という名前はあり得ないことになってしまったのではないでしょうか


 実は、それを象徴するテレビ番組があるのです。
 「ウルトラQ」という特撮番組で、ゴローという怪獣が出てくるのです。
 
 昔は人間の名前だった五郎が、あり得ないものの代名詞として、怪獣の名前になってしま

ったのです!


 この説、どうでしょう?
 あら?
 怪獣博士、どうかされました??
 もしかして、泣いていらっしゃるの???

 え?
 「よくぞ、気づいてくれた。俺は嬉しくて、涙がとまらない。今後は俺の助手になってく

れないか」ですって?
 
 ええっ!
 本当ですか??


 それって、喜んでいいのか悲しんでいいのか、どっちだろ???(笑)

 
 それはともかく、五郎が冒険する理由も気になりますよね?
 私は、四人のお兄さん達を探しに行くのが目的かもと、おおよその見当をつけていました


 ところが、さすがは横山先生、漫画の神様・手塚治虫がライバル視しただけあって、とん

でもない理由だったのです!
 
 
 金目のものを盗みに、研究所に忍びこんだドロボウが、間違えてタイムマシンを操作して

しまい、過去に飛んじゃったドロボウを助けに、五郎たちは時間旅行を始めるのです。

 つまり、ドロボウは、現在への帰り方がわからなくて、困っているに違いない。
  
 だから、ドロボウを捕まえるんじゃなくて、助けに行くのです。

 しかも、五郎たちはドロボウに向かって、「ドロちゃん」と親しみを込めて呼んでるんで

す。

 あら?もしかして横山先生って、ドロボウが好きだったのでしょうか?

 どうして、ドロボウに親切にしなくちゃいけないんでしょう?

 横山先生は悪いものは悪いとなぜ、はっきり書かないのでしょう?

 この作品が掲載されたのは、「小学六年生」を始めとした学習雑誌ですから、なおさらで

はないでしょうか?

 そこで、なぜだろうと頭をひねっていたら、この作品に女性が一人も登場しないことにも

気づいたのです。
 これも、おかしな話です。
 学習雑誌に掲載されたのなら、男の子だけじゃなく、女の子も読むわけじゃないですか?
 編集部は、横山先生に女性も登場させるよう注文はつけなかったのでしょうか?
 この「五郎の冒険」が発表された1959年から1962年頃、横山さんは少女漫画も描

かれていたので、女性を描けなかったはずはないのです。 


 そのヒントらしきものが、私が読んだ講談社漫画文庫の解説に、こう書いてあります。
 
 横山氏は、あまり感傷的なセリフを登場人物に言わせることをしません。それはスピーデ

ィーな展開を身上とする氏にとって感傷シーンはスピード感を無にしてしまうからに他なり

ません。少年物作品に殆ど女性が登場しない理由も、女性が登場することで動きがとまって

しまうからだとお聞きしたことがあります。
 
  
 この文章を読んだ時、私は、ある横山ファンの方から、「ラスボスが女性だったという忍

者漫画「風夜叉」
 男忍者を次々に手のひらで転がす女忍者「ひも」
 「その名は101」や「狼の星座」で主人公を裏切る女、銀玲
 横山先生の女性観にはどうもダークな部分があるようだがと、謎をかけられたのを思い出

したのです。
 
 はっ!
 もしかしたら?

 私は、これらのことが「五郎の冒険」という漫画で、一本の線で結ばれ、その謎が解ける

気がしてきたのです。
 
 ドロボウを愛着を込めて描いたのは、女性を描かないことに対する女性読者への配慮だっ

たのではないか?
 つまり、女性は一人も登場しないけれど、暴力シーンを極力排し、ドロボウを助けるとい

うヘンテコリンなお話にすることで、笑いを誘い、女の子にも安心して読める工夫をしたの

では?
 それは、悪辣な野武士を懲らしめるために、映写機で、神様を出して怖がらせ、降参させ

たのにも現れていると思います。
 
 また、この漫画には女性もですが、五郎の親も登場しませんし、勉強のお話も一切、出て

きません。
 もし、親を描いたら、親子の愛情まで描く必要が出てくるからではないのか?
 親や、学校のお話を描かないことで、読者に、少年らしい伸び伸びと空想の世界に飛翔出

来るようにしたのではないのか?
 それが、勇気を育み、ひいては独立心を養うことにならないでしょうか? 


 横山さんの場合、女性についても同じことが言えると思うのです。
 
 もし、優しい女性を登場させたら、女性を必要とする主人公の苦悩や心の弱さも描かなく

てはならなくなるからではないでしょうか?

 
 例えば、女性キャラクターが主人公を助け、恋愛関係まで描いたものに、石ノ森章太郎さ

んの「サイボーグ009」がありますよね。

 あの作品は、横山さんの「伊賀の影丸」をヒントに描かれたそうですが、女性にも大人気

で、秋田書店から出ている文庫本の解説には、竹宮恵子さん、萩尾望都さん、いがらしゆみ

こさん、中山星香さんら、そうそうたる大御所の少女漫画家さんらが、少女時代に主人公の

009こと島村ジョーに、どれだけ胸ときめかせたか熱く書いていらっしゃいます。
 その理由は、003ことフランソワーズ・アルヌールという美しくて心優しい女性キャラ

が描かれているため、女性でも比較的、容易に作品世界に入っていけることと、美形の島村

ジョーの苦悩や心の弱さを描いているため、女性は母性本能をくすぐられ、放っておけなく

なるからのように思われます。
 「伊賀の影丸」には、恋愛関係になるようなエピソードはまるでないのに、あえて女性好

みの主人公を描くことで、「サイボーグ009」は女性ファンも多く獲得したのです。
 
  
 そう、横山さんは、男の弱さを描くのを良しとしなかった!

 横山さんが描きたかったのは、あくまでも勇気ある強い男だった!!

 そのためには、心優しい女性を描くわけにはいかなかったのでは?

 それとともに思い出すのは、横山さんの少女漫画の代表作「魔法使いサリー」と「コメッ

トさん」です。
 横山さんは、始めの頃こそ、優しくて、すぐに泣き出す女の子を描かれていたみたいです

が、後期になると、ドライな性格で、意地悪な男の子に仕返しするおてんば娘を描くように

なるのです。
 それは、ひとえに女性にも強く生きてほしいという願いからだったのではないのか?

 ここに横山さんが、少年漫画で、弱さを見せず、男を裏切る女性キャラを描いていた理由

が隠されているように思いませんか?

 女性に強く生きてほしいともに、どんな女性にも理解を示したい。


 こんな結論に達したもう一つの理由は、私が懇意にしている横山ファンの男性が、女性に

対する礼儀をわきまえた、実に男らしくて頼もしい人が多いからです。 
  
 それに横山さん自身、勇気ある強い主人公を描くことで、自らパワーをもらっていたので

はないでしょうか?

 そして、手塚治虫先生も、それを強く感じていたから、どの漫画家よりも高く評価してい

たのかも知れません。
  
 
  
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