寓居人の独言

身の回りのことや日々の出来事の感想そして楽しかった思い出話

寺田正男 高等学校へ行く (68)

2017年01月03日 12時59分49秒 | 寓話

  大川高等学校の3学期の始業式は定刻通りに始まった。

小和田博校長が演壇に登って話を始めた。

「昨年は日本の新しい公職選挙法が施行されて初めての

衆議院議員の総選挙が行われました。また諸君は幼かっ

たのでよく知らないかもしれないが前の戦争を終結させ

るために連合軍はポッダムというところに首脳が集まっ

て日本への終戦勧告を行いました。それを天皇陛下が決

意して受諾することになって戦争が日本の敗戦という形

で終わったのです。その後一部の国を除いた戦争当事国

との間で講和条約が結ばれました。その結果、ポッダム

命令が溶けて日本は文字通り独立国として認められるこ

とになったのです。このように幾多の苦難に道を乗り越

えて現在のような平和な国になり将来に希望の灯がとも

ったと感じるのは私だけではないでしょう。そして日本

の将来は君たち若者に委ねられることになったのです。

諸君はこの機会に勉学に励み日本の将来の希望の光にな

ってほしい。。。。」

  小和田校長の話は役そのあと20分ほど続いて終わっ

た。

 正男は新聞に書いてあった記事の内容を思い出した。

新聞記事の中には農村の2、3男の若者が都会へ出て行

くというのはその始まりなのかと考えた。何でも工場

での生産が需要に間に合わないくらい注文が殺到して

いると書いてあった。その工場で働くためにもうそん

の若者が都会へ出て行くのだと思った。

 始業式が終わって生徒は教室に戻った。授業は3時

限目から始まる。

 授業開始まで時間があったので生徒達は冬休み中の

ことなどを夢中になって話し合っていた。中には何か

の本を静かに読んでいるものもいた。しばらくすると

鐘が鳴り担任の教師が教室へ入ってきた。

「諸君、おはよう。これから少時ホームルームを行うの

で席に着くように」

 生徒は灘話したりなかったが席についた。そして口

々に

「お早うございますといった」

「さて、今日から3学期が始まる。3学期は短期間なの

で、時間を無駄にしないように勉学に励むように。い

いな」

「はい」

 と生徒のほとんどが返事をした。高校では校舎の中

に3年生の姿を見ることがなくなっていた。時々図書

館で会うことがあったが、話しかける雰囲気ではなか

った。みんな緊張した顔をして勉強していた。正男は

この緊張した顔を忘れないことにした。もしかしたら

2年後には自分もこんな顔になるのかもしれないと思

ったからだ。

 3年生担任の先生方も忙しそうだった。生徒の進学

希望の大学へ送る内申書を書いていた。大川高等学校

3年生の進学希望者は約60%といわれていた。

 下級生達は先輩がどこの大学へ行くのか大変な興味

を持っていた。噂では進学希望者の半数は東北学園大

学を受験するということだった。しかし毎年全員が合

格するとは限らなかった。こんな話しは噂と思ってい

ても何だか生々しく聞こえる正男だった。

 正男の大川高等学校の1年間はやがて終わる頃、正

男の家では畑の正月が終わり耕作の準備が始まった。

正男は食事の支度をするとき気がついたのだが,土の

室に入れて置いたジャガイモの表面に先が赤い新芽が

でていた。この新芽の付いているイモを切り,切った

面に灰を付けて畑に埋めていくのだ。それが土の表面

から芽を出して葉を広げて新しいイモが出来る。これ

が畑の新年仕事初めだ。

  3学期が終わり終業式が終わると正男は、弘を手伝

って畑仕事に励んだ。しかし、夜は卒業した先輩が記

念にくれた教科書と参考書を調べることを日課にした。

2年生の数学は「幾何学」数式があまり出てこないこ

とに気がついた。これは基点の問題だと考えた。1年

生のときの音楽や美術の授業は選択科目として勉強可

能だけど選択しなくてもよかった。化学の教科書は学

園祭のときほんの少し読んだので勉強の方法は分かっ

ていた。社会は一般社会ではなく世界史だった。

 学年が上がるといろいろな新しい分野の勉強をする

ことが出来ると正男は嬉しくなった。これらの教科書

を春休み中のある程度読んでおこうと計画を立てる正

男だった。

 

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