寓居人の独言

身の回りのことや日々の出来事の感想そして楽しかった思い出話

寺田正夫 高等学校へ行く(132)

2017年04月25日 22時38分33秒 | 寓話

  正夫と健樹が実験室を出て自転車置き場へ行くと、通用門

の方から聞き覚えのある女子高生の声が聞こえてきた。正夫

は、まさかと思って健樹の方をみた。健樹も同じ気持ちで正

夫の方をみた。そんな姿を女子高生の一人が見つけてみんな

に正夫達の方を指さしながら何かを言った。4人は一斉に正

夫達の方をみた。

 そして手を振った。正夫は仕方なく健樹と二人で女子高生

の方へ歩いて行った。

「終わるのが早かったわね」

「もっと遅くなるかと思っていたけど」

「案外早かったわね」

「俺たちは明日またこなければならないし、今日の反省会も

開かなければならないから定時に終了したんだ」

「これからどこかへ行くんですか。だったら一緒に行っても

いいですか」

「私たちも来年のために大川高校の学園祭のやり方を知って

おきたわよね」

「そうそう、そうよね」

「仕方がないか。正夫、それじゃ一緒に例のところへ行こう

か」

「そうだな。別に秘密の内容じゃないからいいんじゃないか」

「それじゃ行こうか。君たちは家の門限はないのかな」

「何ですかそれ」

「門限はあるけど。そんなに遅くまでやるわけじゃないでし

ょう」

「分かった。それじゃ行こうか」

 6人は校庭の東側の道を通って、踏切を渡り映画館のと

ころに出た。

「こんなところに映画館があったのね」

「すぐそこの角の店だ」

 といって、健樹が先頭になって大学芋屋の戸を開け中に

入った。続いて4人が入り、正夫は最後に店に入り戸を閉

めた。

「いらっしゃい。まいどどうも。今日は今のところすいてい

るから好きな席へどうぞ」

「おじさん。いつものと何かジュースかお茶をお願いします」

「へー。そんなにしょっちゅうこの店に来てるんですか」

「そんなわけないだろうが、小遣いには限度があるから」

「ほんとかしらね」

「ちょっと聞きたいんだけどさ。化学クラブの展示を見て

どうだった」

「そう、何かどんなことでもいいからはなしてほしいんだ

けど」

 大学芋を食べながら、フルーツ牛乳を飲みだした。

「これってとっても美味しいわね」

「大学芋ってこれなのね」

「甘くて美味しいわ。いくらでも食べれそう」

「こんなに甘いものを食べると太ってしまうぞ」

「きゃ、どうしよう。大学芋を食べたいし、ブタになるの

は嫌だし。こまっちゃう」

 といいながら女子高生4人は一人ずつ話し始めた。正

夫と健樹は、しばらく女子高生4人の話を聞いていたが、

そろそろ帰る時刻になったのでお開きにしたかった。そ

こで正夫は立ち上がった。正夫は4人の女子高生達に、

「俺は遠いから、悪いけど先に帰る」

 と言った。すると健樹も、

「それじゃこれでお開きにしようぜ」

 と言って立ち上がった。正夫と健樹は4人に丁寧にお

礼を言った。女生徒達はもっと話をしたがっていたが正

夫達は明日もあるからと言って、店主にお勘定をしてくだ

さいと言って出口の方へ行った。女子高生達の一人が慌

てて会計のところへ飛んできた。

「私たちの分は自分で払いますから」

と言って財布を持ち出した。健樹と正夫は、その子女生

徒に今日はたくさんごちそうになったしここは任せてく

ださいと言って支払いを済ませた。店の親父は、

「片目を瞑ってくるときはいつも違う子達だな。新しい客

が増えると助かるな」

 といって笑った。

 正夫と健樹は慌てて、

「この子達は展示を見に来てくれた人たちでお昼に思わぬ

ごちそうになったのでそのお礼に寄らせてもらいました」

と弁解した。

 正夫は健樹に女生徒を大川駅まで送ってくれるように

頼んで自転車のまたがった。すると、只野明子という子

が正夫のところへ走って近づいてきた。

「今日はありがとうございました。私は明日もお弁当持

ってきますので展示の説明をしてくださいお願いします」

 といって顔を赤くして言った。正夫は

「説明はいいけど、お弁当は無理しないでください」

 といったが明子は、その言葉が聞こえたのかどうか残

っていた3人の方へ戻っていった。残っていた3人が明

子に何か言ってからかっているようだった。

 正夫は自転車で走り出した。夕日が山の陰にかかって

いた。正夫はどんどんスピードを上げた。小野田川を渡

りきったときにはあたりは薄暗くなってしまった。秋の

落日は釣瓶落しだというのを実感した。そして家に着い

たときには暗くなってしまった。自転車を降りて、急い

で家に入ると、弘がすでに夕食の用意と風呂の用意を済

まして新聞を読んでいた。

「ただいま。遅くなってしまってすみません」

「いや大丈夫だ。たまには俺も食事の用意をしなければ

な。風呂が沸いているから先に入ったらどうだ」

「兄さんはもう入ったの」

「いやまだだけど、今日はお前が先に入りな」

「それじゃ急いで走ってきたので、汗だくだくなってい

るので先に入るね」

「おお」

 正夫は湯につかりながら今日一日のことを振り返っ

ていた。疲れが出たのか、いつの間にか湯船の中で寝

てしまった。しかし顔が湯につかって目が覚めた。正

夫は食事をしながら弘に今日の話をし出した。しかし

女子高生と大学芋を食べたことは黙っていた。

 

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