寓居人の独言

身の回りのことや日々の出来事の感想そして楽しかった思い出話

寺田正男 高校学校へ行く(59)

2016年12月13日 23時51分21秒 | 寓話

 その日はそれで帰ることにした。健樹と別れて自転車置き

場へいくと、残っている自転車は正男の自転車1台だけに

なっていた。9月も半ばになると太陽が沈むのが早くなっ

てきた。正男は一人自転車に乗って帰途についた。あの若

い栗山先生は、正男のことを褒めてくれたのを思い出して

いた。センスがいいといってくれたけどそれはどういう意

味なのかかんがえた。しかし分からなかった。

小野田川の橋を渡ったところで女学生が一人で歩いている

のが見えた。正男の自転車にはライトが付いていないので

ゆっくり走っていた。そ粗の女学生を追い越すとき、

「あ、正男君じゃない」

 と声をかけられた。その声を聞いて、その女学生が雅子

だとすぐ分かった。まさおは自転車を降りて雅子と並んで

歩き出した。

「やあ、雅子さん偶然だね。今日はずいぶん遅かったんだね」

「正男君も遅いじゃないの。また何処かへ寄ってきたのすか」

「いやそうじゃなくて、クラブのことで化学の先生と話をし

ていて遅くなってしまったんだ」

「何でまた先生がクラブのことで正男君に会いたかったのか

した」

「学園祭のテーマを先輩に考えろと言われて、疑問だったこ

とを書いてだしたら、それを先輩が先生に見せたんだって。

それを見た先生が僕に会いたいと言って今日会うことになっ

た」

「それって、もしかしたら凄いことじゃないのかしら」

「それほどのことじゃないよ。粗の話は後日にして今日は遅

いから送っていくから自転車の後ろに乗って」

「そうね。じゃ送ってけさいん」

 といって雅子は正男の自転車の後ろに横向きに乗って正

男の体に両手を回した。正男はドキまぎしてしまったが雅

子がするままにしておいた。走り出したとき少し自転車が

揺れたので雅子は一層しっかり正男にしがみついた。自転

車が順調に走り出しても雅子は正男にしがみついていた。

雅子の家までは、ほんの短い距離だったが正男にまた変化

が出てきた。自転車で走っている間、正男達は一言も話を

しなかった。

 雅子の家に着くと、雅子は自転車から降りて正男の目を

じっと見つめてから握手を求めてきた。正男は思わず手を

出して雅子の小さな手を握った。すると正男の体中が熱く

なってきた。正男は慌てて雅子の手を離そうとしたが、雅

子は握った手に力を入れて自分の方へ引き寄せようとした

。正男は慌てて手を振り戻して体を離した。雅子は笑顔に

なって、

「正男君ありがとう」

 といって家に入っていった。正男は自転車に乗って家へ

急いだ。愛香山に差し掛かったとき太陽は山の陰になって

空を真っ赤に染めていた。正男は、明日もいい天気になる

なと思って坂道を下り始めた。

 正男が家に着くと、弘も今し方畑から戻ってきたところ

らしく牛の世話をしていた。

「弘兄さん、遅くなってごめんね。先生と話をしていて遅く

なってしまったんだ。数河風呂を沸かすからね」

「お前も疲れているだろう。そんなに慌てなくてもいいか

らよっくりやりな」

「うん、わかった」

 正男は今朝のうちに風呂の水を入れ替えておいて良かっ

たと思った。すぐ火を付けて薪に火が燃え移ると台所へい

って味噌汁を作り目刺しを焼きだした。味噌汁の実はジャ

ガイモの千切りと小松菜をひとつまみ入れたものにした。

 牛の世話が終わった弘が家に入ってきた。そして風呂の

前にしゃがんで風呂を沸かしていた。正男は、食事の用意

をしながら弘に声をかけた。 

「兄さん、遅くなって悪かったね」

「そんなことを気にすしなくてもいいさ。それより遅くな

ると自転車でも危ないことがあるから気をつけろよ」

「うん。気をつけるよ」

 といったが正男は何故か後ろめたさを感じていた。その

わけは分からなかったが。

 二人だけの食事を終わると、珍しく弘は正男に学校の話

を聞きたいといった。

正男は今学校では学園祭の準備に入って、みんなが忙しそ

うに話し合ったり、何かを作ったり活気があるとい離した。

「今日ね、2年生になって習うことになっている化学の先

生に呼び出されていろんな話をしたん」

「何でまた2年生の先生と話をすることになったんだい」

それはね、今年の学園祭のテーマに僕と甲斐健樹君と考え

たことが先生の目を引いたらしくてね。それで僕たちの話

を聞きたいといっていた」

「それって凄いことかもしれないな。それでどうなった」

 正男は今日のことを弘に詳しく話した。話を聞き終わる

と、弘はがんばれよといって励ましてくれた。

 

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