寓居人の独言

身の回りのことや日々の出来事の感想そして楽しかった思い出話

寺田正夫の高校生活1000日(250)

2017年10月14日 00時52分42秒 | 寓話

「マオさん、私には難しそうね」

「大丈夫だよ。でも僕と一緒に復習すればわかるようになると思うよ。だから

頑張ろうよ。僕はアコがすぐそばにいてくれれば励みにもなるしね」

「じゃ私も頑張るわ」

 こうして正夫と明子は蛍雪予備校へ通うことになった。初日に全員同じ問

題を解く試験があった、その成績でクラス分けが行われた。正夫と明子は一

組で同じになった。正夫は16位だった。明子は女子の8位だった。全体では

39位だった。

 正夫は明子の学力を初めて知った。これなら正夫が手伝いをする必要がな

い。

 正夫は明子について勉強のことはほとんど何も知らなかったが、蛙の子はカ

エルだと思った。正夫はうかうかしていると明子に負けてしまうぞと気を引

き締めた。講習初日は試験とその結果発表とクラス分けが行われて終了とな

った。予備校での座席は早く来た物から好きなところへ座ることになってい

た。翌日から4週間の講習が始まった。

 時間割は、次のようになっている。しかしすべてのを講習を聞く必要はな

く、受講したいものを選んで受講するのでもよい。

時限     時 間               月      火      水       木      金        土

          9:00~ 9:50   国語 数学   英語    数学    英語     幾何学
2      10:00~10:50 数学 英語   国語    英語    国語     幾何学
3      11:00~11:50 英語 国語   数学    国語    数学     何学
        11:50~12:50  休憩  休憩  休憩  休憩  休憩  休憩
4      12:50~13:40   生物 物理   化学   日本史  世界史  地学
5      14:50~15:40   化学   生物   物理   日本史  世界史  地学
6      15:50~16:40   物理 化学 生物 日本史 世界史 地学

 正夫は明子の体力を心配していたがさすがに合気道3段になるまで鍛えただ

け合って、明子の体力はかなりの物だった。一週目の最後の時間に2回目の試

験が行われた。正夫は11位に上がったし、明子も総合で30位に上がった。正

夫は明子の努力の成果に驚いてしまった。この調子でいくと最後の試験では追

い越されてしまうのではないかと思った。正夫は本気でこの機会を有効に利用

しなければならないと思った。

 正夫は、こんなに近くにライバルがいることを知り嬉しくなった。それにし

ても明子の底が知れないほどの能力に驚いたことも事実だ。そしてもうひとつ

驚いたことに正夫は、流れるままにここまで来てしまったようま気がした。し

かしそんなことはないと自分で否定した。正夫は明子のことを知れば知るほど

明子への愛を深めていく自分を知っていた。

「マオさん、私驚いちゃった。どうしたんでしょうねえ」

「僕はアコの学校の成績を全く知らなかったので、なんて言ったらいいのかわ

からないけど、僕は油断出来ないぞって思ってしまったよ」

「マオさんったら、冗談は時と場合によりけりですよ。自分では何を解答した

かわからなかったのよ。きっとまぐれ当たりが重なったのね。そういえばマオ

さんだってすごいじゃないの」

「そんなことないよ。まだ上に10人もいるんだからね」

「でもそういうことで勉強しているわけじゃないんでしょう」

「もちろんそうさ、競争に勝つために勉強しているわけじゃないよ」

「よかったわ。マオさんが競争に勝つために猛勉強しているなんて言ったら、私、

マオさんを嫌いになってしまうかもしれないわよ」

「悪かった。順位を上げることと勉強することとは目的が違うことを忘れると

ころだった。アコ、また大切なことを指摘してくれてありがとう。気をつけるか

ら、嫌いになるなんて言わないでくれないか。僕はもうアコに夢中なんだから」

「わかりました。目的を間違えないと約束してくれたら許してあげます」

「約束します。アコ様」

「ああ楽しかった。かかあ天下ってこういうことなのかしら」

「アコさん、そんな言葉をどこで覚えたんですか」

「まえにね、友達と将来どんな妻になりたいかって話をしたことがあったの」

「女性ってそういう話しをするのかあ」

「そうしたらね、誰かがかかあ天下がいいったのよ。それでみんなでその人の

話を聞いたの」

「それでどういう話しだったの」

「それはね、良人をすごく愛して、良人に喜んで仕事をしてもらうようにする

妻になるんだって言ったの。それからみんなでどんな風にするのがいいかっ

て話し合ったのよ」

「でも、それって男にとってもいいかもしれないね。愛する妻や子ども達が喜

んでくれる家庭なんて素敵じゃないか。そして自分も仕事を楽しくやっていけ

るなんてすばらしいとおもうな」

「でもね、その言葉の意味するところは、ぐうたら亭主とガミガミ言う妻とい

うことらしいのよ」

「へー、そうなんだ。でもさ、そんな夫婦でも案外うまくいっているのかもし

れないよ」

「そうね。どんな形がいい夫婦なんて誰にもいえないのかもしれないわね。マ

オさんと私の場合はどんな形になるのかしら」

「今はなにもいえないけれど僕の希望は二人の間では絶対に内緒事をしない夫

婦になるのがいいと思うんだ。昔風に言うなら一心同体っていうことだね」

「私もそう考えていたのよ。あら、これって一心同体という事かしら」

「そうだね」

「嬉しいわ。マオさん」

「僕もだよ。アコさん」

「来週も頑張りましょうね、マオさん」

「今日はどこかで美味しいものを食べたいんだけど」

「いいわよ。お祖母様にはもう行ってきたから少し遅くなっても大丈夫わよ」

「アコさんは、僕の将来がわかるみたいだね」

「そうよ。総てじゃないけどある程度はわね、特にお腹の様子は手に取るよう

にわかるのよ」

「まいったなあ。僕はいつもお腹を空かしているみたいじゃないか」

「だってさっきからマオさんのお腹が鳴いているんですもの」

 正夫は、明子の手をとって、

「千里眼の明子さんそろそろ出かけたいのですが。どこへ連れて行ってくれる

のですか」

「マオさんは何を食べたいのですか」

 こういうときの明子は正夫の母親になったような言い方をするのだった。正

夫はその響きが心地よく心に響くのが楽しかった。

「今日はお肉を食べたいなあ」

「そう思っていました。それでは出かけましょうか」

 

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