風色明媚

     ふうしょくめいび : 「二木一郎日本画ウェブサイトギャラリー」付属ブログ

2012年 5月14日 月曜日

2012年05月14日 | 仕事場
シエナ派と言えば…
イタリア・シエナ周辺でルネサンス期に活動した絵画の一派という認識があると思います。
シモーネ・マルティーニや、兄ピエトロと弟アンブロージョのロレンツェッティ兄弟などが代表格で
私もシエナ派と言われれば絵画だけを連想してしまいます。
しかし、シエナ派には画家だけではなく彫刻家もいることを最近知りました。
シエナのカンポ広場にある「ガイアの泉」の作者ヤコポ・デッラ・クエルチャ。
10代のアメデオ・モディリアーニが感銘を受けたティーノ・ディ・カマイーノなどの作家がいます。

それらシエナ派の彫刻を知るきっかけとなったのは
イタリア・フィレンツェのパラッツォ・ヴェッキオに展示されている大理石の天使像でした。
天使像というものは、絵画・彫刻をはじめ、星の数ほどあるでしょう。
それらの中で、今私が最も愛してやまないのがその天使像なのです。
夜陰に紛れてパラッツォ・ヴェッキオに忍び込み、盗み出したいくらい好きなのです。


 鉛筆と薄墨による下描き

作品の大きさは8号(縦45.5cm 横35cm)

実は私は、この天使像の実物を一度も見たことがないのです。
天使像との出会いは「アッシジの水飲み場」と同様、イタリア在住のshinkaiさんのブログです。
この作品も、shinkaiさんが撮影された写真が唯一の資料です。

天使像の作者はティーノ・ディ・カマイーノ。
shinkaiさんが調べてくださったところによると
元々はフィレンツェのドゥオーモ、サンタ・マリーア・デル・フィオーレ聖堂にあったもので
1309年からフィレンツェの司教を務めたアントーニオ・オルソという人物の記念墓の一部だったそうです。
その記念墓は1321年に製作されたものだそうですが
その後、どういう理由からか一部が解体され、天使像はパラッツォ・ヴェッキオに移されたということのようです。

この天使像の写真は、shinkaiさんの「イタリア・絵に描ける珠玉の町・村 ・ そしてもろもろ!」の中のこちらに。
http://italiashio.exblog.jp/10363547/
◆ヴェッキオ宮 22 の写真です。


一度も見たことのない、写真だけが頼りの作品ですので
まずは客観的な描写で対象を理解することから始めました。
ですから、ちょっと石膏デッサンのような描き方になっています。

左腕(向こう側の腕)は一部破損しているらしく形が不自然です。
これは今後修正する必要がありそうです。


 彩色1

まずは背景から色を置きました。
絵具は岩黒の13番と方解末の白(びゃく)を混ぜたグレーだけです。
天使本体は、まだほとんど下描きのままです。
下描きと比べると画面が青味を帯びていますが、これは写真のせいです。

実物は壁のすぐ前に置かれているのですが
背景を壁にするか空間にするか、まだ迷っています。

天使の頭の周りには実際にはない光輪を薄っすらと描き入れてみたのですが…。

さて、天使本体はどうしましょうか…。
700年近い歳月を経た大理石です。
14世紀以降のフィレンツェの歴史をつぶさに眺めてきた由緒ある大理石像なのです。
ヨーロッパは石の文化。
まずは石であることをしっかり認識することから始めましょうか…。

-------------- Ichiro Futatsugi.■

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