若冲 | |
クリエーター情報なし | |
文藝春秋 |
図書館本。
伊藤若冲は、今、大ブームと言われるほど人気で、現在も各地で展覧会が行われています。
彼にゆかりの相國寺には常設の美術館がありそこにはいつも作品が展示されていますが、「出張」していることも多いようです。
本書は小説というフィクションの体裁で若冲の生涯を描いています。
どこまでが確認された史実に基づいたものなのかわからずに読みましたが、文体がとても読みやすく、分厚い一冊ですが、どんどん読み進めることができました。
ただ、著者が「創作」した若冲の絵画へのモチベーションの部分、物語の根幹のところについては、もうひとつ共感することはできませんでした。
これに関わる記述はたひだひ出て来るのですが、その背景について書かれている部分が少なく、深みがないという印象がありました。
ただ、ここのところにとらわれすぎると、全体として、物語のバランスが、そのフィクションの部分に引きづられすぎてしまうかもという気もしました。
若冲の作品かどうか論争のある現存する作品とからめた物語展開などはなかなかおもしろく、全体として楽しんで読み進めることができました。
あとから若冲のWikipediaの記載を見ましたが、なるほどと思うところがあれこれありましたね。
私の中では、北斎と若冲の二人は、「鬼才」的な存在として位置づいています。