透明な気圏の中から

日々の生活の中で感じたこと、好きな作家についての思いなどを書いてみたいと思います。

『中城ふみ子の歌』

2017-04-15 21:34:26 | 

時々晴れ時々雪。最低気温8.1℃、最高気温18.9℃。

暖かく穏やかな春の日となりました。野幌森林公園のエゾエンゴサクは次々と花を咲かせています。群落をなして、道端が薄紫に煙る日もそう遠くないでしょう。

木々も一雨降るごとに新芽が伸びて、新緑の時を迎えることになります。

今日の「新 北のうた暦」では中城ふみ子の歌が取り上げられていました。解説は田中綾氏。

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二月に生田原図書館から『中城ふみ子の歌ー華麗なるエゴイズムの花ー』を借りてきて読みました。

『中城ふみ子の歌ー華麗なるエゴイズムの花ー』

山名康郎著

短歌新聞社

平成12年8月3日発行

 

三十代後半に読んだ、渡辺淳一著の『冬の花火』では恋多き女性というイメージが強く、短く華やかに咲いて散った中城ふみ子の生きざまは冬の花火そのものだと納得したものでした。

この『中城ふみ子の歌ー華麗なるエゴイズムの花ー』では彼女の1000首を超えるともいわれる歌の中から121首を元道新記者で歌人の山名康郎氏が選出し丁寧な鑑賞を加えています。

『乳房喪失』というエキセントリックな表題の歌集が出版されるに至った事情や、病を得た後にも青年と恋に落ちるなど、等身大の彼女の生きざまを誠実に描こうと苦心されたようです。

例えば、帯広時代のことは生身の中城ふみ子を知る人の言葉を尊重し、入院してからの札幌のことは自分の目で見、直接触れたことを忠実に鑑賞の中で生かすように努められたとか。

歌人仲間であり、ふみ子が心を許せる数人の中の一人であったと思われる山名氏の鑑賞の言葉は亡き人をしのぶ挽歌のようにも思えました。

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*ふみ子は1922 年11月、帯広に生まれる。42年、19歳で札幌鉄道局に勤務する中城博氏と結婚。43年に長男孝さん、44年に次男徹さん(生後3カ月で死亡)、46年に長女雪子さん、47年に三男潔さんを出産した。51年に離婚し、孝と雪子を引き取った。「乳房喪失」が発行された約1カ月後の54年8月に31歳でその生涯を閉じた。(ウキペディア等参照)

 

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