ギャラリーと図書室の一隅で

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朗読劇「サド侯爵夫人」のご案内

2015年11月25日 | 游文舎企画


11月28日(土)夜、柏崎駅前ブルボン本社ビル10階大ホールで、堀井真吾さん率いる「物語シアター」による朗読劇「サド侯爵夫人」が上演される。
『サド侯爵夫人』は、三島由紀夫の代表作であるばかりでなく、戦後日本の戯曲を代表する傑作でもある。今年は三島由紀夫生誕90年、没後45年にあたり、ドナルド・キーンセンター柏崎では現在、「ドナルド・キーンの選ぶ三島由紀夫お気に入り作品3」展を開催しているが、その三作品の一つとして『サド侯爵夫人』も取り上げられている。三島とは無二の親友であったドナルド・キーン自ら英訳を手がけ、世界に知らしめた。さらにマンディアルグの見事なフランス語訳によって、フランスで上演され、圧倒的な好評を博したという。
堀井真吾さんは、柏崎市出身、青二プロダクションに所属し、声優、ナレーターとして幅広く活躍しているが、自ら「物語シアター」を立ち上げ、豊かな物語世界を想像させる「朗読劇」というジャンルを追求している。
マルキ・ド・サド、本名ドナスィアン・アルフォンス・フランソワ・ド・サド(1740~1814)は、後半生のほとんどを獄中や精神病院で過ごし、そこで背徳的な小説を書き続けた。サドの生涯に触発された三島は、本人を登場させることなく、彼を巡る六人の女性のみを登場人物として、それぞれに映じるサド像によって、サド侯爵を浮かび上がらせていく。
特に侯爵夫人・ルネと、ルネの母モントルイユ夫人との台詞の応酬に注目したいが、この二人を演ずるのが吉沢京子さんと森秋子さん。若くして人気女優として活躍し、豊富なキャリアを積んできた吉沢さんと、三島由紀夫自ら主宰した浪漫劇場で、その薫陶を受けた森さんとが、白熱した掛け合いを見せてくれることだろう。そして演出、案内役として舞台を手がける堀井さん自身が、浪漫劇場などで三島と二人三脚で活動した演出家・松浦竹夫を師として、「我が友ヒトラー」や「鹿鳴館」の舞台に立ってきた人でもある。柏崎公演のために脚色し、取り組んできた演目の初演に立ち会う幸運をぜひ味わってみてはいかがだろうか。
28日午後6時開場、6時半開演。チケットは1500円、お求めはブルボン本社、ドナルド・キーンセンター柏崎、文学と美術のライブラリー游文舎にて。

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