野球小僧

就職活動でトクする運動部

もう、就職を決める時期ですね。私たちのころには10月にならないとすべてが解禁になりませんでしたが、いまは仕組みから何からどうなっているかすら分かりません。でも、「体育会系は就職に強い」と就職活動ではよく言われているのは変わりなさそうです。

プレジデント誌で伊藤忠商事、キリン、日本航空など15の人気企業にアンケートとインタビューを実施し、約30の種目について調査を行った結果がありました。調査は、採用責任者と経営者のそれぞれを対象に実施。自身が所属していた部活動などプロフィールのほか、体育会系部活動の出身者が入社後に活躍している印象があるかどうか、学生の採用面接での記憶に残ったエピソード、今春入社の学生の主な部活や成績などのものです。また、競技によって印象の違いがあるか、野球、サッカー、ラグビー、山岳部、チアリーディングなど約30の種目を挙げ、それぞれに対して5段階で評価しています。

採用する企業側は、どの程度学生の部活動経験を意識している。野村証券人事部次長兼採用課長の解説です。

「面接の場で、学生に部活動に所属していたか否かを問うことはありません。『学生時代にどのような経験をしてきたか』と尋ね、それに対する答えから、学生が何を考え、どのような努力をして結果を出したのかを見ています」

ただし、自社の社員の部活動経験を調査したところ、意外な事実が判明したそうです。

「過去10年、新入社員の一定数が体育会出身者でした。意識して採用したわけではないのですが、結果的には体育会系出身者の占める割合が大きくなっていました」

サッポロビールの人事部マネージャーは、自社の社員について次のようにコメントしました。

「酒類を扱うメーカーは体育会出身の担当者が多いというイメージがありますが、私の同期入社では、40人のうち体育会出身者は5人。会社全体を見ても1~2割程度の印象です」「スポーツを通じた成功体験を得ていることが、ビジネスの面でも強みになると思います。試合で勝つか負けるかだけでなく、陸上でタイムを縮めたり、球技で自分の技術を磨くなど、何かしらの形で目標を設定し、達成してきた経験がある。自分で設定したゴールに向けて道筋をたて、どう努力するのか工夫した経験がある人は、ビジネスでも結果を出すまで粘り強く頑張れる印象があります」

アンケートでも、「体育会系社員が入社後、活躍している印象があるか?」という質問に対して、70%以上が「はい」と答えています。面接での体育会出身学生の印象では「礼儀正しく、ハキハキとしている」「勝つことに強いこだわりを持ち、幾多の失敗・挫折経験を乗り越えて結果を出した」などの回答があります。体育会出身学生に対して、明るく挨拶ができ、結果を出すために前向きに進んでいく姿勢を評価しています。

ただ、「積極的に体育会出身の学生を採用している」とは言えないのが本音でしょう。また、体育会系だけで構成する訳にはいきません。ただ、ある大手商社では「体育会出身の社員が圧倒的に多いことは確か。当社の場合は、明るくて勢いのある社風と体育会のわきあいあいとした雰囲気に通ずる部分があることから、自ずと体育会系出身者の気質を好む傾向があり、結果的に採用の場では体育会出身であることが有利に働いている」という企業もあります。

以前ここでも書いたことのあるアスリートキャリア支援(http://blog.goo.ne.jp/full-count/e/62b7379679b1ee1cf540d150c6a85e5e)には、企業側から「体育会出身の学生を紹介してほしい」という問い合わせが増えてきているそうです。

2000年代前半は英語力の高い学生や理解力や論理的な思考力の高い、頭のいい学生を採用しようとする傾向が高かったそうです。その結果、企業文化や特色と、学生のパーソナリティーとのミスマッチが増えて、離職率が高くなってしまいました。その後、2008年秋のリーマンショックを機会に多くの企業が採用方針を変えて、再び体育会出身の学生に注目するようになってきたそうです。

会社員として求める資質(脂質ではない)は2つ。組織に適応する能力と、目標を設定して達成する能力です。SNSが発達して人と直接コミュニケーションを取る機会が減ってきた中で、この2つの能力が欠けている若者も増えてたという。それを部活動のなかで自然とこの2つの能力を身につけた体育会系出身者を求めるそうです。

自分が失敗をしたときに、素直に物事を受け止めることが出来ない人が多く、団体競技を経験して人は勝敗を分けたりするなど、自分のミスがチーム全体に与える影響を身を以て体験してきているため業務上のミスも自分事として責任を感じられる人が多いようです。体育会出身でも最初から最後まで活躍した人や、思うように活躍出来なかったり、試合に出られなかったり、裏方に回っていた人など、実際の経験は違います。ただ、どんな立場でも逆境を乗り越えた経験がある人は粘り強く、困難に負けない底力を持っているでしょう。一方で、部活動は好きなことだったので一生懸命頑張れたが、仕事になると同じようなパフォーマンスが発揮できない、というケースもあるようです。

ちなみに、企業側からの人気のある競技は次のとおりです。
1. ラグビー部
2. 野球部
3. アメフト部
4. サッカー部、バスケットボール部
と続き、以下、バレーボール部、ラクロス部、チアリーディング部、柔道部、ソフトボール部となっていきます。

中でも、アメフト部、ラクロス部など中・高校では少なく、基本的には大学から始めるスポーツの人気が高いようです。つまり、大学に入るまでの段階で一般入試、あるいは指定校推薦など、学業である程度優秀な成績を修めた学生が多く、文武両道の学生が多い部活になるようです。一方、野球、サッカーなどは、中・高校から同じ競技を続けていて、部活動での成績が評価されて進学している場合が多く、学業面をおろそかにしてきた学生も少なくないとのことです。

夏の甲子園出場の福岡・東筑高の監督の「『野球部は人間力を育てる』なんて言うけど違う。それだと、野球に縛られていたものが外れたら結局ダメになる」「素行が悪くても野球がうまければいい、なんてこともない」「生徒の自主性も大事。生徒もバカじゃないから自分たちで考えている」という記事がありました。

8月7日にタレントのマツコ・デラックスさんがTVでこの監督に同調し、次のように言いました。

「野球が人間力を育てる場所ではないということは、うちの大川(貴史)P(プロデューサー)を見ればよく分かるんですけど。大川Pだけじゃなくてね、よく名門野球部出身の人が、この世界で結構いますけどね、テレビとか(広告)代理店とか。だいたい、ほぼ十中八九クソ野郎ばっかり。野球なんてやってても、あんな人間しか育たないんだな、っていうね」

これを受け、MCのふかわりょうさんは「おおらかじゃないですか、うちのプロデューサーなんて」などフォローしますが、マツコさんは「おおらか? おおらかっていうのは、ああいうこというんじゃないよね。あたしむしろ、彼からは闇しか感じないんですけど」と答えたそうです。

スタジオの共演者からは笑いがあったものの、ふかわさんは「そうなんですね、はい、ありがとうございました」と遮るような様子で締めくくっていたそうです。

社会で生きていくために必要なのは失敗や挫折しても立ち向かえる強い精神力、そして経験を言語化できる能力だと思います。体育会系であろうが、文科系であろうが、今まで積み重ねてきた経験を生かせるかどうか。そういう能力の発揮の仕方が大事なんだと思います。

コメント一覧

まっくろくろすけ
きんたさん、こんばんは。
1986年にはクラブチーム日本一の名門ではないですか。アサヒビールシルバースターのクラブチーム時代としのぎを削った。
あの頃、企業チームではレナウン、オンワードのアパレル業界が強かったですよね。

米国では野球とアメフトの掛け持ち選手が多いようです。あ、思い出しましたが、プロ野球のピッチャーで冬の間にアメフトのボール投げでトレーニングしている選手もいるようですね。
きんた
アメフトもですね
まっくろくろすけさんこんばんは
アメフトも詳しくてうれしいです🎵

自分は内外衣料シルバーオックスという
チームに少し所属してました
自分が入った前年までは1部でした

実は何年か前までの鹿島ディアーズの
キャプテンで日本代表のキャプテンも
務めていた牧内という選手は
飯田高校野球班OB で大学からアメフトを
始めた選手です。
日本のアメフト界は野球出身多いです。

自分の大学チーム同期に宇都宮学園で甲子園
出場選手がいましたが、けた違いのフット
ボール選手になりました。

自分の観察では、野球を高校までやっている
人達は基本的に運動能力高いというか、
様々な動きが組合わさった競技なので、
他の競技出身の選手より、圧倒的に早く
アメフトに慣れてしまうような気がします。

実は息子に大学でアメフトをやって
もらいたいと密かに考えています。
まっくろくろすけ
きんたさん、こんばんは。
元アメフトマンですか。実は私、アメフトは好きで、Xリーグ発足前は東京ドームに東京スーパーボウルをよく観に行ったものでした。

私の周りには、バリバリの体育会系っていうか、社内の野球部メンバーは何人かいますが、確かに多少のことではつぶれません。ただ、よく集まって「かったるいなあ」と、部活同時代の姿そのものを見かけます。
きんた
実は
まっくろくろすけさん、こんばんは

実は自分は大学からアメフト始め、
社会人でもクラブチームに少しいました。
そして、商社で営業マンしてました。
ひょっとして採用したい人材、人罪(笑)
だったのでしょうか。

確かに言われてみるとアメフト部は
就職良かった気がします。

今は採用する側ですが、どうしても
体育会系を採用したくなってしまいます。
しかし、ことしの新卒は体育会出身ですが
目をおおうばかりで本当に悩んでしまいます。

体育会系はやるかやられるかの世界で
生きてきたので、勝負どころがわかるのと、
挫折の積み重ねがあるので、多少のことでは
つぶれないところが良いと思っています。
まっくろくろすけ
eco坊主さん、こんばんは。
「そうなんですよ、川崎さん。 A地点からB地点まで移動するまでの間のC地点で、
自分を見失ってしまったのではないかと想像されるのです」

自分を客観視するのが怖いのか、出来ないのか。でも、出来るようにしておきませんと、面接時に大変ですよね。
Unknown
おはようございます(*Ü*)ノ"☀

ソーナンス(#202がまんポケモン体長1.15m重量26.33KG)!
就活は自らの営業ですから自分がわかってないと相手には伝えることができません。自分がわかるということは自分の過去=経験と、自分のこれからの思い=スキルの発揮をきちんと把握してなくっちゃいけません。
確かに運動部だとどのような経験をし困難を克服してきたかがイメージし易い部分はあるでしょうね。

少ない経験の中で言わせてもらうのならば、兎に角自分を見つめ直し整理し把握しておくことが大事と思います。
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