頭の中は魑魅魍魎

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『ご機嫌な彼女たち』石井睦美

2016-10-25 | books
広島東洋カープの日本シリーズ2連勝を心より慶び申し上げたい今日この頃いかがお過ごしでしょうか。

本作はシングルマザーたちの物語。編集作業を仕事とする寧。スタイリストの万起子。スーパーのバイトから正社員になった美香。夫をなくし、ケータリングの料理から今では自分の店を持つようになった崇子。子どもが口をきかなくなったり、教室からいなくなってしまう子だったり。知り合いになった四人。相談したり、崇子の作る料理を食べたり。強くも優しくもある女性たち…

うーむ。自分からは決して手に取らない本だった。薦めてくれた人に感謝。

たぶん、女性が書いた女性向けの小説なんだろうと思う。こういう話が楽しめるということは、自分が性を超越した存在になったのか、もしくは内面がおばさん化しているのどちらかなのだろう。今まで楽しめなかったことが楽しめるようになるということは、楽しいことが増えるわけだから、とても良いことである。(昔同僚の女性に、「男性も女性も両方愛せたら、人生を二倍楽しめるから良いね」と言ったら「キモイ」と言われた。そういうこと言うお前がキモイんじゃ)

「夜も寝ないで。男のために泣いたりわめいたりして。なんて自分は愚かだったんだろうと思いますよ」
「愚か?そうかなあ。泣いたりわめいたりしない恋愛なんてほんとの恋愛じゃないでしょう?」
「だから愛ぬきなんです、万起子は」
「なるほど。それでも恋はしていたいんだ。さび抜きの握りみたいな恋でも」
「はい、そうです。煮ても焼いても食えない男を生で食っちゃいますよ、もう」

うまい。笑ってしまった。

他の三人よりも年配の崇子について、す

「わたしもこの間。初めて会ったんだけど、素敵なひとよ。ちゃんとひとを信頼できるひと」
「信頼される、じゃなくてですか?」
美香が聞き返す。
「じゃなくて。ひとを信頼するほうが難しいでしょ。崇子さんはそれを見事にやっている。もちろん、信頼できるひとに出会えたっていう縁とか運とかもあるんだろうけど」

リスペクトできる人に出会えるのは、運よりも自分の気持ちが大切だと思う、今日この頃。

「いい年した男と女が手をつないだりして歩いてるじゃない?」
「腕をからめたり、肩を抱いたり」
寧が補足する。
「あ、そういうのは、百パーセント夫婦じゃないから」

確かに。

「ねえ彩、三十代の男って聞いて、どう想像する?」
「三十代の男ですか?」
彩はうーんと唸り、
「子どもですかね」
と、答えた。
それを聞いて、万起子は腹の底から笑った。

私も笑ってしまった。

ご機嫌な彼女たち

今日の一曲

昔好きだったということを言うのがずっと恥ずかしかった松田聖子。毎週聴いていた聖子のラジオ番組でレコードが発売される前にラジオで紹介されたときに、鳥肌が立った。「夏の扉」



今観ると、かわいいし、スタイルもいい。AKB48辺りよりもずっといいではないか。では、また。
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