真言、密教、呪力、動物、昆虫・・・・・・なんなんだ、この「新世界より」は?貴志祐介はどっか遠くに行ってしまったのか?
1000年後の世界を描いているはずなのに、描かれているのはまるで古代。近未来=古代への回帰という陳腐な話なのか?何度となく途中で読むのをやめようかと思う。
少年少女の冒険譚から「20世紀少年」風だなと思ったり、段々と福本伸行の傑作マンガ「賭博黙示録カイジ」のようだなと思ったり。でもつらいつらいつらい。遠い未来の昆虫の詳細なる描写など読んでいて面白いわけがない。あーつらい。もうそろそろこの分厚い本を投げ捨てようかと思ったその瞬間、
上巻168ページを開いたら、
どかーーん!
脳が大爆発を起こした。いやいや。そうなのか。
これで全てが腑に落ちてからは、怒涛のラッシュ。今までつらかったのが嘘のように。貴志祐介が意図してやっていたのかよく分からないが、この「新世界より」は
ガマン我慢小説
だと思う。音楽で例えると(なぜ例える必要がある?)レッド・ツェッペリンに天国へ階段という曲がある。これはガマン我慢音楽なのだ。アコースティックなサウンドが延々と続く。続くつづく悲しい歌声。これをガマン我慢していると、ドラムがずどどんと入り、ギターがうねってから → さすがロックのオーケストラ、ツェッペリンサウンドが炸裂するのだ。たぶん誰もそんなこと言わないと思うけど、俺は「天国への階段」=「ツェッペリンファンをじらしてじらす曲」だと思っている。え?よく分からない?じゃーマーラーの5番だったらいい?なんて分かりやすく親切なたとえなんだろう。うんうん。この「新世界より」も、168ページも我慢に我慢を重ねて、額に汗してたどりついた頂上には、すごい、ものすごい光景が目の前に広がるのだ。
なぜ1000年後の未来がまるで古代になってしまったのか、それが突然ぱっと見えてくる。迷子の子猫ちゃんが、犬のおまわりさんに道をきいて、急に元気になったようなものだ。にゃー。
ネタバレを避けつつ、取り上げられたテーマを列記すると、
・人類が今後歩む歴史。王朝の王たる者たちの残虐さにうなる。人類が誕生してからの歴史を見れば何の不思議もない。
・仏教的世界観にうなづく。
・ローレンツの攻撃抑制
・動物の進化
・性行為に与えられた新しい意味。これにはまいった。
読み進めて行く内に、不可思議な感覚に襲われた。まるで夢野久作の「ドグラ・マグラ」を読んだときと同じ感覚。そうだな。アッパー系ドラッグでもなく、ダウナー系ドラッグでもない。そう、LSDのような幻覚を引き起こすドラッグをやってる感じ(おいおい。やったことあるのかよー)
【結論】
面白くないと言えば、これほど面白くない小説もあるまい。
面白いと言えば、これほど面白い小説もあるまい。
万人には決して薦められないが、「分かる人にだけ分かる」「面白がれる人だけが面白がれる」小説だと思う。
俺?猛スピードで読んだわけだから、面白かったに決まっている。
![]() | 新世界より 上貴志 祐介講談社このアイテムの詳細を見る |
![]() | 新世界より 下貴志 祐介講談社このアイテムの詳細を見る |
今日の教訓
わたしの住む
珍世界から
お届けいたしました。

人気blogランキングへ
自作面白ネタブログランキング
※追記
記事は一日一本を原則としてるが、たまにはそのルールを破ってもよかろう。だって、書きたかったんだもーん。












新世界は本屋でチェックしてたのですが…ヒト読みして「あとで…」と思ったのは早とちりでしたか!
本屋でチェックする時、後ろを読むと楽しみが半減することがままあるのでしないのですが、ふるさんのレビューを見て考え直しました
…今度169Pから読んでみようっと
やっぱり最初から読んだ方がいいですよ。
今年の最高傑作だと。
さすが眼のつけどころが違います。
ご覧の通り、どっから見てもヨーロッパです。
「新世界より」は誰にでもオススメできる作品では
ないと思うのですが、熟練本読みのユウマさんなら
堪能できる作品かと。
169ページから読んだ場合は・・・
次に168、167、166と逆に読んで下さい(笑)
★日野光風さん、
おっと作中登場人物本人がお出ましですか。
お疲れ様です。
>今年の最高傑作だと。
首を静かに縦に振るという動作にて、お返事とさせていただきます。
それはよかったですね。昔の自分の記事を期せずしてこんな形で読むと、筆が滑りすぎたことを感じます。「普通」に楽しめた方には「普通じゃない」記述にはさぞ違和感を感じられることと想像致します。