頭の中は魑魅魍魎

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『仏教思想のゼロポイント』魚川祐司

2017-05-23 | books
こんな本が出てるのはしらなかった。先日、青山ブックセンターに行ったら平台にあって目に留まった(暗に青山などという都会にに行ったということを自慢している私?)

ミャンマーの寺で修行しながら仏教について研究している著者が、「悟り」とは何かとか、仏教についてやや深く掘り下げてくれる、一見論文のようなとっつきにくい本なのだけれど、実は読みやすく、深く頷いたり、なるほどと思ったりすることの多い本。

なるほどと思ったことを箇条書きすると、

・ 瞑想を極めたからといって、優れた人格になれるわけじゃない。(そうなのか)

・「 悟り」とか「涅槃」とか「無為」とか「不死」といったものは、「貪欲の壊滅(えめつ)、瞋恚(しんい)の壊滅、愚痴の壊滅」であると定義できる。貪欲とは好ましい対象に執着する心のことで、瞋恚とは好ましくない対象を嫌悪する心、愚痴とはものごとをありのままに知見できないことである。これら三つを三毒と言う。(なるほど。好きなものに拘泥しない、嫌いなもののことをぐだくだ思い出さない、偏見に満ちた目で見ないってことか))

・ 三毒という「悪い癖」、気づいたらいつの間にかしていることを、やめる。やめるためには、それに気づく。これが最近流行のマインドフルネスのこと。(マインドフルネスは最近興味を持っていてたまにパラパラ読んでいる)

・ 「カレーが食べたい」と思ったから食べることは果たして自由なのか。カントいわく、単に人間の「傾向性」に引きずられている他律的な状態なのだから、自由ではない。(たしかに)
 
・「輪廻」とは、蚕の変化のようなもので、幼虫から蛹になり、蛾になることだとも言える。外形的には別のものだけれど、所詮は同一の虫の変化。幼虫と蛾が別のものだとも言えず、同一とも言えず、ただ変化であるとも言える。(ふーむ)

・ 一つ一つの現象をありのまま見よ、イメージを作るなと言われるが難しい。「美しい顔」を見て「美しい顔」だと思わないのは難しい。でもそれが大事だというのが仏教。「観察し、熱心に、正しく知って、気づきを有し、世界における貪りや憂いを除去して住む」と「大念処経」にある。

てな感じ。他に「悟り」や「涅槃」とは何かかなり詳しく突っ込んでくれている。とても面白かった。

仏教思想のゼロポイント: 「悟り」とは何か

今日の一曲

著者は魚川で魚。佐野元春で、「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」



では、また。
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