「パーネ・アモーレ」田丸公美子 文芸春秋 2001年(初出は雑誌に書いたものと書き下ろし混在)
ロシア語通訳の故米原万里さんのエッセイで知ったイタリア語通訳、田丸公美子。つけられた異名はシモネッタ。彼女があちこちに書いたエッセイをまとめたもの。
うむうむ。面白く読ませてもらった。米原さんのエッセイが好きな人は必ず楽しめると思う。一篇一篇がすごく短く5頁くらいなので、細切れの時間しかなくても読める。読み応えのある小説は、少しずつ読み進められないし(ある程度まとめて進めないとストーリーが頭に入らないし、楽しめない)読む間隔が空いてしまうと前読んだことを忘れてしまうけれど。エッセイは割りと時間を細切れにして読むのに向いていることをあらためて実感した。
「シモネッタのドラゴン姥桜」という田丸さんのエッセイがあって、これが開成の中高、東大、在学中に司法試験合格した息子さんの子育ての話だそうだ。Amazonのレビューが結構この本に対して厳しい。息子の自慢話ばかりだとされている。確かに「パーネ・アモーレ」を読むと、息子自慢などしない人のように思うので、意外なんだろう。先にそっちが出版されて、後でキレのある通訳エッセイが出ていれば逆に良かったような気がしないでもない。
順序って大切なのね。
では、また。