頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

高貴なるグロテスク、映画『パフューム』

2007-12-17 | film, drama and TV








なんなんだ、これは?

観終わった直後の感想がこれ。

フランス革命より50年ほど前のフランス。天才的な嗅覚から調香師となる男。しかし、タイトルにあるように人殺しと化す。その動機、そして意外過ぎる結末とは・・・


確か画面から香りが漂ってくる映画だと聞いた記憶があるが、香りというより臭い、○○臭が漂う。当時の臭かったパリの描写など汚くもおぞましく、リアリティがあり過ぎて、食事しながら観ていたのだが、すぐに画面を切り替えた。全編を通して必ずしも悪臭を感じさせるような映画でもなく、またいつでもいい香りを感じさせるわけでもなく、香りと臭いが交互に襲ってくる。画像という視覚を通して、嗅覚を「作り出す」その手腕には脱帽。

リアリティとファンタジーと
いい香りと匂いと
noble and/or grotesque, filthy・・・・・・

この映画を観て、「わあ、これすごく良かった」という人がいたら、思わずその友人の顔をじっと見つめてしまう。問題作というカテゴリーにたぶん入るのだろう。

冒頭のシーンがどうしても頭から離れない。すると、途中で彼が犯す犯罪の結末はそうなると常に意識しながらこの映画を観ることになる。しかしそうは問屋が卸さない。もうここで映画が終わるだろうというシーンとなったら、以後これはどうなんだ?的世界へ突入。これが「あり」なのか「なし」なのか判断を一瞬留保してしまった。やや「なし」が強めで。しかしラストのシーンを目にすると、この「パフューム」なる映画は

○○がない男が最後に○○を得て、そして土に帰って行くという解釈をして一応「あり」と判断した。

大傑作とは言い難いが、蛮作あるいは怪作としておこう。

しかし、どう考えても彼女との初デートでしかも映画館で観てしまった人にはお気の毒という気がする。「パフューム」ごっこでその後盛り上がれるカップルがいたら強く尊敬する(俺には無理)

フランスの舞台にしているのに全編英語というのはいかがなものかと思わないでもない。監督はドイツ人。主要キャストは英国人。まあ(ヒロイン役という役にしていいのか悩ましいが)レイチェル・ハード-ウッドがあまりにも美しかったので今後の活躍も期待しつつその辺り収穫としておこう。

DVDのパッケージの美しさに惹かれて観て、後頭部にくらった延髄切りから立ち直るのにしばらく時間がかかりそうである。猪木に倣って、だぁーー!と叫んであとは忘れてしまえばよいのだろうか・・・



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コメント (11)    この記事についてブログを書く
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11 コメント

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Unknown (かえる)
2007-12-17 14:46:18
私は映画館で観ましたけれど、純粋だと思いました。
嗅覚って何? (ごみつ)
2007-12-17 15:37:33
こんにちは。



お久しぶりです。私もこの映画、劇場で見ました。実は原作も読んでたので予備知識はあったのですが、映像化されて見ると、やっぱ凄いな・・と思いました。

私も冒頭の悪臭にあふれかえるパリの描写が圧巻だと思いました。(--;)

フランスで香水が発達した理由が生なましく理解できるし、そもそも臭いって何?とあらためて考えてしまいました。

知らんかった (kiriya)
2007-12-17 19:00:04
なん読でも取り上げたことのある
ジュースキントの「香水」が
映画化されていたとは知りませんでした。
検索して、750人の全裸シーンを
見てしまった。
釘付け。
ど~も~ (ふるちん)
2007-12-18 11:44:19
★かえるさん、

純粋ととりましたか。ふむふむ。なるほど。
純粋ととれなかった私が純粋でないのかも知れません(笑)

★ごみつさん、

原作は読んでませんでしたので、予備知識ゼロでした。
おっしゃる通り、この映画の残像はなんと言っても
冒頭のパリのシーンですね。
自分の体臭を消すために香水が発達したとばかり思っていましたが。

臭いってなに?とのことですが、
犬はほぼ嗅覚が我々の5感に匹敵するぐらいだそうですから、
嗅覚も我々の視覚と同じくらいの情報量を持っているのでしょうね。
それに我々が気づかないだけで。

★kiriyaさん、

なん読で取り上げてましたか。
「香水」なる本は知りませんでした。
750人の全裸シーンについては、
映画の流れの中で考えると、非常にビミョウです(笑)
感覚 (ユウマ)
2007-12-18 12:32:49
食事しながら見たのですか?
それは大変だったと思います(笑)

ユウマは主人公に関わる人が、あまりに簡単になくなってしまうのでアッケに取られてしまいました
でもそれが彼の行動要因になった思いをストーリー展開で引き立たせたような気がします

おぞましくもあり…無垢で、一途な渇望を持つ主人公なので…最後もありかなと思いました


ど~も~ (ふるちん)
2007-12-19 16:57:59
★ユウマさん、

もっとずっとキレイな映画だと思っていたので、
食事中に観たことを後悔致しました(笑)

「彼」に関わる人たちが亡くなっていくと、
次はあの人死ぬのかと予期しながら見たのも悪くなかったような気がします。

この映画、あるいは原作者が何を伝えたかったのか?
それが私に伝わったのか それは大きな疑問です(笑)
わたしは・・・。 (じゃすみん)
2007-12-21 08:04:35
映画が衝撃的すぎて ショックを受けちゃったために 原作を読んでみたぐらいです。

で、原作を読んで もっとびっくり・・・。

この一種異様な感じがなんともいえなく、すごく後を引く映画でしたね。

まぁ、食事中だと 頭痛いかも・・・。
ふるたん☆ (mig)
2007-12-22 00:28:06
これはわたしは好きだったなぁー♪
傑作とは思わないけど、今年のベストに入れちゃうかも。
珍しく観たあとで原作本買って読んじゃったほどよ☆

パッケージの写真は、、、、
なんか違うよねー
私これ好きだよ (エミ)
2007-12-23 03:59:14
劇場でみたあとにフツーに盆梅見に行きました。
その感性が信じられないと後で会社の人に言われたけどね(笑)
原作の『香水』は未読だったから見たあとにワザワザ買って読んでみたし。
ラストの750人全裸のシーンは流石に
「はぁっ?」
って思ったけどね。
これはわたしには珍しく (しゅぺる&こぼる)
2007-12-23 18:02:40
原作を先に読んでしまって、(劇場に観にいけず、我慢できなかった(汗))あとでDVDで見たんですけど、やっぱりこれは劇場で見ないといけない作品ですわ。ちょっとテレビ画面だと香り抽出の実験のところは変態チックでB級臭漂うしね。
レイチェル・ハードウッド、すんばらしく美しいですよね~。
コスプレダスティン・ホフマンとアラン・リックマンがこの映画を台無しにしてる(辛)

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