福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

現世の姿だけでは運命はわからないということ

2021-10-05 | 法話
 
尼僧の告白(岩波文庫)にイシダーシ―という尼僧が告白する物語があります。
此の尼僧は前世には男であったが他人の妻を犯したために七生にわたって悲惨な運命を送らざるを得なかったがお釈迦様の下で修業して自己の前世を知り七生目に解脱できたという物語です。以下要約します。
「わたし(イシダーシ―という尼僧)の父は、長者であり、彼の独り娘として可愛がられました。
最初に多大な財の有る第一の家系の長者に嫁ぎ侍女のように母のように懸命に尽くしましたが夫は何故か私を憎悪し家に帰されました。
次に父は、第二の家系の富者に私を嫁がせました。ここでも侍女のように奉仕し戒を守りましたがひと月で彼も亦私を追い返しました。
三度目は行乞者を家に婿として入れましたが半年で行乞したいと家をでていきました。
そこへ仏陀の弟子の貴婦人が来たので仏陀の弟子となり、修行して三明(宿命通・天眼通・漏尽通)を体得し自己の七生を知った。
〔過去世の〕わたしは、多大なる財ある金の細工師であったが若さゆえの驕りで驕慢し、他者の妻と不義を働いた。
・(一番目の転生)わたしは、この不義ののち死んで、長きにわたり、地獄において煮られたあと果が熟し、
・(二番目の転生)雌猿の子として生まれたが群の主の大猿は私を去勢した。
・(三番目の転生)わたしは、そののち、死んで、雌羊の子として生まれたがまたもや去勢され、十二年のあいだ、少年たちを運び回っては、虫たちに悩まされ、不具の羊として死んだ。
・(四番目の転生)さらに次は牛商人の雌牛から生まれたが染色した銅のような子牛で、十二月のうちに去勢され、鋤や荷車を牽かされ盲牛として死んだ。
・(五番目の転生)さらに次に道端の侍女の家に男でも女でもない体に生まれ三十年で死んだ。
・(六番目の転生)次は、莫大な負債の有る車夫の家に、娘として生まれ、隊商の長に連れ去られ16歳で彼の子の妻とされるが、彼にはまた、戒や福徳の備わった妻があり、わたしは彼女に憎悪心を抱かざるを得ない立場であった。
(そして七番目の転生で、今回長者の娘として生まれたが嫁ぐ先から次々と離縁される運命になっていたのをお釈迦様の下で修業して業を悟り、業を亡ぼした)」
これを読むと現世の姿だけでは運命はわからないということです
 
尼僧の告白―テーリーガーター (岩波文庫 青 327-2)
クリエーター情報なし
岩波書店
 
 
仏弟子の告白―テーラガーター (岩波文庫 青 327-1)
クリエーター情報なし
岩波書店

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 人間は霊性的自覚で不条理を... | トップ | コロナが急に終息し始めた原因 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

法話」カテゴリの最新記事