福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

釈雲照『日本国民教育の本義』

2018-11-05 | 法話

釈雲照『日本国民教育の本義』

我が皇国は天祖天照大神の神勅に依りて建てられたる国である。
しかるに明治維新以後、泰西の政治・宗教・文学・美術・科学・工芸・言語・風俗等雑然として渡来し、加えるに外尊内卑の風潮日を追って甚だしく思想の混沌の境に陥る。今日にして是を救うにあらざれば国運危殆に赴かんと、実に測るべからざるものあり。
この危機に際していかにすべきか、従来の如く盲目的に外国の文物を模倣する迷妄を打破し、まず確固たる国民的自覚の上に立ち、以て外来文物の精神を同化すべきなり。しからばその国民的自覚とはなんぞや。・・他なし神儒佛なり。
我が皇道の起源は唯一の神道なりしこと信じて疑わず、然れども支那の文物三韓の地を経て輸入せらるるにおよび儒教また我が国に同化せられ能く君臣の分を明らかにし、上下の礼を弁じ、その後更に仏教渡来し、聖徳太子、勝鬘經、維摩経、法華経を講じられ、疏を製し、更に太子は先代旧事本紀等数百巻を製し、また勅を奉じて憲法を製し、神儒仏を混成して唯一の皇道を翼賛したまえり。天壌無窮の国体は実に太子によりて固められたり。一七条憲法の「二曰、篤敬三寶。々々者佛法僧也。則四生之終歸、萬國之禁宗。何世何人、非貴是法。人鮮尤惡。能従之。其不歸三寶、何以直枉。(二に曰く、篤く三宝を敬へ。三宝とは仏(ほとけ)・法(のり)・僧(ほうし)なり。則ち四生の終帰、万国の禁宗なり。はなはだ悪しきもの少なし。よく教えうるをもって従う。それ三宝に帰りまつらずば、何をもってか柱かる直さん。)」
応神天皇の勅に「得道以来、八正道を示して苦の衆生を救う」と宣らせたまえる(神皇正統記に「・・八幡と申す御名は御託宣に「道を得てよりこのかた、法性(ほっしょう)を動かさず。八正道を示して、権迹(ごんじやく)を垂る。皆な苦の衆生を解脱することを得たり。この故に八幡大菩薩と号す」とあり。

   八正(はちしょう)とは、内典に、正見(しょうけん)・正思惟(しょうしゆい)・正語(しょうご)・正業(しょうごう)・正命(しょうみょう)・正精進(しょうしょうじん)・正定(しょうじょう)・正恵(しょうえ)、これを八正道と云ふ。

    凡そ心、正なれば身口(しんく)は自ら清まる。三業に邪まなくして、内外真正なるを諸仏、出世の本懐とす。神明の垂迹もまたこれがためなるべし。

    また八方に八色の幡(はた)を立つることあり。密教の習ひ、西方阿弥陀の三昧耶形(さんまやぎょう=仏の徳の形象)なり。

   その故にや行教和尚には(=八幡が)弥陀三尊の形にて見えさせ給ひけり。光明(=八幡の姿が)、袈裟の上に移らせましましけるを頂戴して、男山には安置し申しけりとぞ。神明の本地(=仏)を云ふことは確かならぬ類ひ多けれど、大菩薩の応迹(おうじやく=垂迹)は昔より明らかなる証拠おはしますにや。」とあり)
は仏教真如無我の真理によらざれば何を以てか我が神道正直の道を翼ることを得ん、との聖意に他ならず。是より以降世々の聖帝は三宝を尊崇して国家道徳の基本を扶植し、、実に四海一家の美風を為したまえり。

加えるに弘法大師、いろは歌を制作し以て国字を定め、以て仏教四諦無我の真理を薫染し、解脱因縁を結ばしめしより以来、普天の下、卒土の賓、遍くその恩徳を被り、降って武家時代に至りては、皇道と仏教との結晶発して武士道と称する花となり、我が国民精神に更に新勢力を加えるにいたりたり。
以上の如く論じきたれば、我が皇道とは神儒仏三道の融合し結晶して成りしもの。神道のみをもって皇道と称するは身体のみを知って精神の存在をしらざるの見解なり。・・
皇国固有の神道と仏道とは微妙不可思議の融合を為し、以て一種特別渾然たる大精神の成立せるこれ実に我が皇國の皇道ならずや。
一心真如界のなかには神仏の二名なきのみならず、実相般若皆空無所得の真理を聞くときは天魔、邪神もまた正神に帰し、悪人匪徒も悉く正道に感化す。是、大宝、延喜等の世々の聖帝が維摩、法華、最勝等の諸経を転読して神法楽に供え、以て勅会の大祭となしたまいし所以なり。しかるに江戸時代一類の士族は宋儒の学に拠りて排佛説を鼓吹し、ついに維新の排佛となり、仏教忽ち衰退して国民の道義心殆ど地を払うに至りたり。況や盲目的に外国の文化を輸入し模倣して毫も省みることなき現今の国民は如何にしてか確固たる国体の柱石たりうべきや・・。それ国家の前途を如何せん。これを救う唯一のみちあり。列聖の遺訓を奉じ皇道の大儀を明らかにせんのみ。皇道の大義とは実に神儒仏三道の融会なり。・・

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