80ばあちゃんの戯言(2)

聞いてほしくて(つづき)

ワンガリ・マータイさん(3)

2017-02-10 17:28:33 | 最近の出来事
どん底のマータイさんに手を差し伸べてくれたのは、ノルウエーの

森林協会だった。 マータイさんのグリーンベルトのシステムが

ノルウエーの森林協会の目に留まり、資金援助を申し出てくれたのだ。

そのお蔭で、マータイさんも僅かながら、収入を得られるようになった。

マータイさんのグリーンベルトのシステムは人々が、自分の土地に

苗木を育て、そして育てた苗木を荒れた土地に移植すると、一本につき

4セントを受け取ることが出来るというもので、収入の手段を持たない

農村の女性達にとってこのシステムは大きなモチベーションになった。

ノルウエーの森林協会の後押しを得て、マータイさんはどんどん植林

運動を拡大させやがて、数千人の女性達が参加するまでになっていった。



参加者の話

”ポリ袋に土を入れるのは子供の仕事と言う人もいますが、植林は子供の

遊びではなく、すばらしいことなのです。

マータイさんは木を植えることは、薪や建材をつくることだと考えて

くれたんです。”



マータイさんは男性中心のケニヤ社会と、再び、闘うことになる。相手は

モイ大統領。当時ケニヤで権力を一手に握り、政治をとりしきっていた。

この頃のケニヤはとっても恐ろしいところで、政府を批難したり、批難

していると疑われるとこっぴどく弾圧していた。どこかに連れて行かれ

何日間拷問されるかわからない、そういう怖い国であった。

モイ大統領は汚職も行っていた。貴重な水源である国有林を側近や一族に

ただ同然で払い下げしていたのだ。

1989年マータイさん49歳の時、新たな開発が秘密裏に行われると

いうことが伝わってきた。市民の憩いの場所であるナイロビ中心地の

ウフル公園に超高層ビルと、自らの銅像を建てようと言う建設計画を知り、

マータイさんはその停止を求めた。しかし誰も動こうとはしなかった。

大統領の報復を恐れ、友人達でさえマータイさんを避けるようになった。

それでも、マータイさんはあきらめなかった。

マータイさん

 ”創造性を殺し、腐敗をはびこらせ、指導者を恐れる人々を生み出す

 政治のもとで、生きていくことは出来ない。”


マータイさんは海外のメディヤに手紙を書いた。そして、大統領に圧力

をかけて欲しいと訴えて、イギリスやアメリカの人々はハイドパークや

セントラル パーク のど真ん中に、高層ビルは建てさせないでしょう

ナイロビの人たちだって同じだと思いませんか?

マータイさんの訴えを受け、ケニヤに多額の資金援助をしていた欧米諸国

から、この建設計画に疑問の声が上げられはじめる。

大統領は激怒し、人々の前でマータイさんを批難した。

”或る女性が何やら動いています。アフリカの伝統では女性は男性を敬わ

なくてはなりません。 女性の皆さんにお願いしたい。何故あの女性の

出過ぎた行動をとめられないのですか?

しかし3年後、プロジェクトは中止となった。ケニヤ政府は国民を欺いて

いるとの欧米諸国からの批判を無視できなくなったのだ。

是をきっかけに、国民の意識も徐々に変わり始めていった。

だが、大統領の圧政は続いていく。 或る日、マータイさんは一通の手紙

を受け取った。

殺すと言う脅迫状。何通も送られてきた。 身の危険を感じずにはいられ

なかった。

やむなくマータイさんは身を隠すことになる。


マータイさんの親友アガサ ワンゲチさん

 ”私達も彼女がどこにいるのか全くわからないと言う時がありました。

 誰にも所在を知らせないと言うのは本当に身の危険が迫っているんだなと

 言うことを強くを感じました。”


だが、マータイさんは脅しに屈することはありませんでした。

(つづく)








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