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素晴らしい舞台でした!「舞台版ドラえもん のび太とアニマル惑星」

2008年09月15日 | 8.コラム


このブログでもご紹介済みの舞台版、つまり実写版のドラえもんである「舞台版ドラえもん のび太とアニマル惑星」を9月13日(土)に観劇してきました。

劇団「第三舞台」で有名な劇作家・鴻上尚史さん脚本・演出により舞台化された今作は、7月から日本全国を縦断公演していて、今週末の東京公演が最終公演・千秋楽でした。

ドラえもん以外の登場人物を、着ぐるみでは無く、全て生身の俳優に演じさせるという、舞台版ドラえもんでは初となる試み。多くのドラえもんファンは、実はかなり作品の仕上がりには懐疑的だったのではないでしょうか? 私も最初この企画のニュースを聞いた時は、藤子・F・不二雄先生の「ドラえもん」の世界観が崩されてしまうのではないか?と、正直かなり不安でした。

しかし、「舞台版ドラえもん」は驚くほど藤子・F・不二雄先生の原作に忠実な、しかも舞台としても素晴らしく楽しい作品だったのです。

東京池袋の「東京芸術劇場・中ホール」の開場時間に劇場に入り、ロビーで先ず目にしたのが、動物の衣装を着て楽器を持った5名の役者さん達(だと思っていた)。生演奏と歌で現在のTV主題歌「夢をかなえてドラえもん」を披露していたのです。近くにいた子供を含めた観客の手拍子の中、開演前のロビーの片隅で和やかな雰囲気で演奏は続いていたのですが、よく見ると役者さんだと思っていた1人、犬耳と犬鼻マスク(あれ?猫だったかな?)を付け、頭にタケコプターを付けながらギターを演奏していた目の細い人物! 今回の脚本・演出家である鴻上尚史さん御本人ではありませんか!ビックリでした!

その後、この5人組の楽団は劇場内の客席に移動し、TV主題歌や今回の舞台のオリジナルテーマ曲「ハッピーデイズ・ハッピー」(森雪之丞・作詞)を生演奏! 観客の皆さんはどれくらいの人が鴻上尚史さんの変装&ギター演奏に気づいていたのかなー?

開場からずっと、舞台正面のスクリーンに映し出されていた巨大なドラえもんの顔が消え暗転。いよいよ実写版ドラえもんである「舞台版ドラえもん のび太とアニマル惑星」が開演です。

ピンクの霧の中を歩くのび太(坂本 真)の登場から、ほぼ原作漫画&映画版の「ドラえもん のび太とアニマル惑星(プラネット)」(1990年公開)と同じ展開でストーリーは続いていきます。観劇前は違和感を心配していた役者陣も、舞台が始まってしまえば全く問題無く、のび太(坂本 真)、しずか(すほう れいこ)、ジャイアン(脇 知弘)、スネ夫(小林 顕作)、チッポ(板垣 桃子)などの主要キャラも、それぞれの役者が、それぞれのキャラクターを把握し、とても豊かな表現力を駆使し熱演していました。

驚いたのは多くの場面転換や、細かなセリフまで、原作漫画&アニメ映画にかなり忠実だった事。舞台用の改変や独自の展開がほとんど無く、脚本・演出の鴻上尚史さんの「原作ありき」の姿勢が端々まで感じられたのは、ドラえもんファンとしてはとても嬉しい事でした。しかも原作漫画とアニメ映画の微妙な違いも解読されているようで、漫画と映画それぞれから、いいとこ取りでストーリー構成するという凝った脚本。以前から藤子・F・不二雄先生のファンである事を公言していた鴻上さんでしたが、本当だったんですね。今作「舞台版ドラえもん のび太とアニマル惑星」は、「脚本/藤子・F・不二雄、演出/鴻上尚史」とも言えるぐらい、藤子・F・不二雄作品の忠実な舞台化だったのです。

そうは言っても、もちろん「漫画」「アニメ映画」と生身の人間が演じる「舞台」では、全く同じ表現という訳にはいきませんから、演出方法としては舞台ならではの手法がいろいろと工夫されていました。

ドラえもんの定番シーンであるタケコプターでの飛行シーンは、ワイヤーアクションで実際に役者さんを飛ばす事もあれば、長い棒の先に各キャラクターの人形を付け、それをそれぞれの役者さんが手で持って飛ばしたり!なんて驚きの表現もありました。

また、星から星へと移動するシーンや、川に落ちて水中へと連続的に進む場面転換などでは、スクリーン映像や、黒子達の「布のバタバタ」による水や霧の表現など、まるで歌舞伎の様な手法まで! 新旧織り交ぜた様々な方法を駆使して、テンポ良くストーリー展開を行っていました。楽しかったのはひみつ道具の一部までも役者さん達が演じていた事。飛び跳ねてバク転までしながら土を掘る「ジェットモグラ(ロボット)」や、「ピコーン、ピコーン」と言いながら地面を指さす「目じるし」など、素晴らしく楽しい演出でしたね。

ドラえもん(声・水田 わさび)だけが着ぐるみで、さすがにあまり動き回れない(笑)のですが、ドラえもんが動けないなら、舞台セットの方が動く!って感じで、のび太の部屋のセットや家の塀、森の木々や岩など、背景の方が動き回る演出も楽しかったですね。(少々、ドラえもんが動けない事に笑いが起こっていたのも事実でしたが・笑)

劇中に挿入された、今回の舞台の為に作られた森雪之丞さん作の3曲の歌も良かったですね。特にテーマ曲である「ハッピーデイズ・ハッピー」は、ドラえもんらしい応援歌的な歌詞とフレーズが頭に残る名曲。毎年の映画主題歌も流行りのアーティストとかでは無く、この路線を期待しちゃいますね。

クライマックス、悪の組織との戦いのシーンでは、ミュージカル的な演出も行われていましたが、過剰な歌や踊りの演出は思ったより少なく、全体的には役者陣の表現力豊かな芝居の方が強調された演出でした。

アクションあり、歌や踊りあり、笑いあり、感動があり、子供達へのメッセージもしっかりある。しかも原作へのリスペクトまでもしっかり感じられる、驚くほど「ドラえもん」への愛に満ちた舞台でした。もちろん一番嬉しかったのは、舞台を見ている子供達の笑いと歓声がしっかり沸き起こっていたこと。この舞台が藤子・F・不二雄先生の原作と同じく、子供達の為に作られた作品であった事、これが一番重要な、素晴らしい点だったと思うのです。最後のフィナーレ、舞台の踊り・歌に合わせて客席の手拍子が巻き起こる!これが生の舞台の醍醐味!多くの子供達がこの舞台を体験してくれていたら嬉しいなー!

ドラえもんファンとしては、多くの挑戦と愛に満ちた舞台を完成させた脚本・演出の鴻上尚史さんに、またそれを実現させたキャスト・スタッフの皆さんに盛大な拍手を送りたいですね! ぜひまた再演、あるいは舞台版の新作を期待しちゃいます。

●関連リンク

サードステージ公式サイト「舞台版ドラえもん のび太とアニマル惑星」
http://www.thirdstage.com/dora/


ポニーキャニオン・DVD「舞台版ドラえもん のび太とアニマル惑星」
(2008.11.28 ON SALE)
http://hp.ponycanyon.co.jp/
pchp/cgi-bin/PCHPM.pl?TRGID=PCHP_SKH_1010&CMD=DSP&
DSP_SKHBNG=200800002194&DSP_SKHKETSEQ=001


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
本当によかったですね (シンドリャー)
2008-09-16 01:10:50
私は神戸公演のほうを観に行ったのですが、まさに舞台版「ドラえもん」の決定版とも言うべき、本当に面白かった舞台でした。役者さんの演技も、演出も、舞台音楽も本当に素晴らしかったです。私も見る前は少し不安があったのですが、その不安も見事に吹っ飛んでしまいました。

あまり快く思わないファンも多いと思いますが、まずは見ていただきたいですね。
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舞台のライブ感! (としお(管理人))
2008-09-19 00:48:28
どうも!シンドリャーさん。

やはり生の俳優さんが演じているので、俳優さんの表情がリアルに伝わってきて感情移入しやすいのもありますね。キチンと藤子・F・不二雄先生の原作・映画の世界観を守りつつ、演劇独自の表現にチャレンジした素晴らしい舞台でした。

DVDも出るようですが、実際の舞台のライブの迫力は伝わりづらいでしょうね。またいつか再演!なんてしてくれたら嬉しいです。
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ドラえもんグッズがいっぱい。 (PAPAにー)
2008-09-29 17:18:30
ドラえもんグッズを沢山
集めて見ました。
見るだけでもあーこんなグッズが
なんて発見があったりします。
良かったら見に来て下さいね。
では、お邪魔しました。
http://dorachan00.blog32.fc2.com/
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