(株)藤川建設のブログ

地元の山の木を使った家づくり

伝統構法トラスの倉庫

2016年01月19日 | 日記
伝統構法を応用したトラス構造の倉庫です


倉庫や車庫の場合、出入りに使う前面がシャッターになるため、構造的に弱くなります。
開口部分の弱さを補うため、次のような構造を考えてみました。


1.CLTによる構造案





2.木造トラスによる構造案




1のCLTはまだ普及していないので断念しました。残るは2の木造トラスに挑戦です。
金物を使えば楽に導入できそうですが、意外に接続点の金物がなかなか良いモノが無い。そこで「木組み」による伝統構法トラスの仕様となりました。

まぁ・・普通の大工や工務店は嫌がる形ですなぁ~。
でも、そういったモノの方が断然興味が湧いてくるのです。

工場での加工風景
今回は大まかな構造部分をプレカットに任せました。木造トラスの機械加工では難しい部分だけを手加工で行います。





よく使われる伝統的な「金輪継ぎ」です


長ほぞ打ち出し部分


アーチ部分の仮組み


ほぞ穴に実際に入れてみます




建て方
伝統構法の建て方は通常の在来工法と違って、少し手間がかかります。木を組みながらの作業になります。それゆえ、組みあがるとビクともしなくなり、確かな耐震性、耐久性が感じられます。





四方に米や塩、酒、水を撒いて工事の安全を祈願します


木造アーチ部分


台持継ぎ


長ほぞ差し鼻栓止め


木造トラス部分が組みあがった状態


組みあがった状態は、計画当初に描いた姿と同じです。

「こんな形を作りたい」

と思った時に、どうすればその形が実現できるか・・それを考える楽しみがあります。答えは一つではありません。今回は伝統構法を応用しましたが、他の手法もあるはずです。色々な方法を試してみて、最善の答えを探す・・そういった作業が私の仕事なのだと思います。

それが、地元の木を使い、地元の環境、循環経済に貢献できるのならば尚更嬉しい事です。



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