採集生活

お菓子作り、ジャム作り、料理などについての記録

デーツ

2011-08-03 | +フルーツ

先日ダンナサマが、「Fujikaちゃん、おみやげがあるよ☆」 とちょっと鼻を高くして帰宅しました。


えー、おみやげなんて珍しい☆
何かな☆何かな?

2011/07/26チュニジアのデーツ ちんまり。

何かしら?
職場の後輩がチュニジアに出張に行ったお土産だそうです。

中近東関係者がいたら、アラブ菓子についてアピールするように、日頃からダンナサマを教育しておいたたまもの・・・かな?
2011/07/26チュニジアのデーツ 中味はデーツ(ナツメヤシの実)でした。

3種+詰め物入りの、詰め合わせです。
2011/08/02チュニジアのデーツ デーツは、憎からず思っているフルーツではありますが、これまで品種について探求してみたことはありませんでした。

フィリング入り以外の3種を食べ比べてみました。
(写真をクリックすると拡大します)
 2011/08/05チュニジアのデーツ もう1枚。

一番右は、まるで蜜で煮てあるようにねっとり透明になっているのが分かるでしょうか。
 2011/08/05チュニジアのデーツ 真ん中のものと右のものをアップで。

左:色は一番黒っぽい。私にとってのデーツのイメージはこれかな。
皮は果肉に密着しているが、特に固い感じはない。
果肉は柔らかく、簡単に手で裂ける。さほどべとべとはしない。
味は、黒糖や干し柿を感じさせるような、コクのある甘さ。デーツにはタンニンが含まれるというので(未熟なデーツは渋くて食べられない)、干し柿の味に似ているのもそのあたりから来ているのかも。
細長い種。

中:(8個入っている写真だと、左から2つめの列)色は琥珀色。
皮はところどころ果肉から浮いているが、固さはない。
果肉は「左」のものより柔らかく、ねっとり感がある。
味は、干し柿や黒糖っぽさがあまりない感じ。これまで食べてきたデーツとは随分と違う印象。
細長い種。

右:(8個入っている写真だと、一番右の列)琥珀色。
皮は、随分と果肉から浮いて、なんだか不味そうに見えるほど。ところが食べてみると皮の固さは全くない。
果肉は3つの中で一番柔らかく、ねっとりして生キャラメルのように千切る際に粘る、というか変形しそうなほど。果実の組織感はほとんど感じられなく、口の中で溶けるよう。
味は「左」のものとは全く違い、「中」のものとも微妙に違う甘さ。とても果実そのままとは思えない、人間が作った飴のよう。
やや寸詰まりの丸っこい種。

うまく説明できないけれど、それぞれ全然違う味で驚きました。
今回食べてみて、一番右のものがデーツとは思えない食感(とろける口溶け)でした。とても甘いけれど、スッキリした甘さで、後をひきます(なのでうっかり撮影を忘れて半カケしか残っていない)。
なにコレ!なにコレ~??とついつい食べ進んでしまいました。


ちなみに、ラマダン(イスラム教の断食月 今年は2011/8/1-8/29)の時は、日の出から日没までは基本的に断食なのですが、日没直後にこのデーツとミルクをまず食べる習慣があるそうです。
(デーツに含まれる糖分で、血糖値を徐々に上げていく、ということかな。)
お土産屋さんにもこの時期沢山売られていて、目に付いたので買って来て下さったのだと思います。

 2011/08/02チュニジアのデーツ どれがどの品種か対応がつかないし、読み方も、PlとかPmが何の略なのかも分からないのですが、ラベルはこちら。

Khidri Pl
Sagai Pl
Barhi Pm


中近東で何千年も愛されて(紀元前4千年代にはもう栽培されていたとか)、どんな砂漠にあっても「持ち主のいないデーツの木はない」と言われる程愛されているデーツ。

あまりに奥が深そうで、近寄らないようにしていましたが、なんだかハマってしまいそう・・・。


■参考情報
[1] デーツ専門店パルミラ(ネットショップ)
何と日本にデーツ専門店が!
びっくりだ~。
イラン、オマーン、アメリカ、チュニジアの8種のデーツや、デーツ加工品を扱っているようです。
品種:ジュメル バム アルアイン シュクル ラグレッタ トズール

[2] 日本在住の方のデーツ食べ比べのブログ記事
パルミラの商品8種+αを食べ比べています

[3] マレーシア在住の方のデーツ食べ比べのブログ記事
イスラム系の方が好むのか、沢山輸入されているようです。
4種類を食べ比べ。
マリアミ サファウィ マブルーム アジュワ (品種名なのかブランド名なのかは不明)

[4] 日本在住の方のデーツ食べ比べのブログ記事
Natshellというネットショップの6種類を食べ比べ
品種:ラグレッタ トズール シュクル アルアイン カリン 不明

[5] 中東在住の方のデーツ食べ比べブログ記事
完熟デーツ5種、乾燥デーツ4種を食べ比べ
品種:ハラース スッカリー スガイー フドゥリー レズィーズィー ルシュディーヤ ロザーン
    ナブテ・アリー
(スガイーは今回食べたSagaiかな?)

[6] サウジアラビアのデーツについてのブログ記事
冊子の2ページ分、38種のデーツ画像があります。(名称が分かるのは25種)
品種:アジュワ サガイー スィフリー サファーウィー シャイシー シャハル シュベイビー フドゥリー
ヒサーブ フルワ バイドゥ バルニー・アル=マディーナ バルヒー ミスカーニー マジュフール
マブルーム カターラ グル アンバラ ルサイズ ラビーア サーウィー ティグラトゥ・スール フネイズィー フラース 

[7] Wikipedia ナツメヤシ(日本語/英語
英語版の品種のところを訳してみました(分からないところも適当に書いてしまったのでどなたかチェックお願いします~)。
柿には1000以上の品種があると言われているそうですが、ナツメヤシもすごそうです。
名前がついていない(もしくは地域で呼び名が違う)ような品種もありそう。ここにあるのはおそらくごく一部だと思われます。
[1] ~[5] に出てきた品種と思われるものに色をつけてみました。
アラビア語、アラビア語をローマ字表記したもの、カタカナ読みの3者の対応が曖昧(揺れがある)という問題もありますが、それにしても相互の資料に共通に登場する品種は大変少なく、デーツ界は本当に奥が深そうです。

Aabel リビアで一般的
Ajwah サウジアラビアの都市メディナのもの。予言者ムハンマドのハディース(言行録)に登場。
Al-Barakah サウジアラビアの品種。
Amir Hajj もしくは 'Amer Hajj' イラク原産。柔らかい果肉で薄い皮、厚い果肉。来客に振る舞われることから「お客様のデーツ」とも。
Ammari 説明なし。画像のみ有り。
Angou 説明なし。画像のみ有り。
Arichti 説明なし。画像のみ有り
'Abid Rahim スーダンの品種。
Barakawi スーダンの品種。
Barhee or (barhi) (アラビア語のbarh(熱風)から) ほぼ円筒形、熟した状態で明るい琥珀色から焦げ茶。柔らかく厚い果肉で、豊かな風味。
まだ黄色くて若い実である、「khalal」の段階でも美味しい,数少ない品種のひとつ。(ぶどうでいうと、通常のデーツはレーズンだが生のぶどうに相当する段階)
Bejjou 説明なし。画像のみ有り
Bireir スーダンの品種。
Bisr Helou 説明なし。画像のみ有り
Datca Date トルコの品種。地中海地方で北限に育つ品種。
Deglet Noor 'date of light' 太陽にかざしたときに中心が金色もしくは光るように見えることから。リビア、アルジェリア、アメリカ、チュニジアにおける主要品種。
(チュニジアでは?)内陸部のオアシスで育てられており輸出作物の筆頭。セミドライで甘さはほどほど。Wiki英語に単独ページあり。
Derrie or 'Dayri' (the 'Monastery修道院の' date) イラク南部の品種。細長くほとんど黒といえる色。柔らかい。Empress DaVall家(アメリカのカリフォルニア州Indio)によって'Thoory'から開発された品種。
大粒で'Thoory'より柔らかく甘い。上端が明るい黄褐色で下端はブラウン。
Ftimi or 'Alligue' チュニジアの内陸部オアシスで栽培されている。
Gounda 説明なし。画像のみ有り
Gousbi 説明なし。画像のみ有り
Holwah (Halawi) (アラビア語で 'sweet') 柔らかくとても甘い。サイズは小~中程度。
Haleema リビアのHoon地域の品種。Haleemaは女性の名前のひとつ。
Hamraya 説明なし。画像のみ有り
Hayany エジプトのHayani地域の品種。Hayanyは男性の名前。暗赤色から黒に近い色で、柔らかい。
Hissa 説明なし。画像のみ有り
Iteema アルジェリアで一般的な品種。
Kabkab イランの品種。
Khajur インド、パキスタンで一般的な品種。
Kenta チュニジアで一般的な品種。画像あり。
Kentichi 説明なし。画像のみ有り
Khadrawy (アラビア語で'green')  多くのアラブ諸国で好まれている品種で、柔らかく濃い色のデーツ。画像有り。
Khalasah (アラビア語で 'quintessence精髄/典型') サウジアラビアで最も有名なナツメヤシ品種。甘さが強すぎず弱すぎずそれゆえ多くの人に好まれることで名高い。果実は'Khlas'と呼ばれる。
サウジアラビアの東部地方(Al-Sharqheyah)の 'Huffuf' (Al-Ahsa)と'Qatif'のものが有名。
Khastawi (Khusatawi, Kustawy) イラク有数の柔らかいデーツ。サイズは小さく、ねっとりしてデザートに最適と言われる。
Lagou 説明なし。画像のみ有り
Maktoom (アラビア語で 'hidden') 大きく、赤褐色で、皮が厚く、柔らかく、中程度の甘さ。
Manakbir 早い時期に熟すタイプで大粒の実。
Medjool or (Mujhoolah) (アラビア語で 'unknown') モロッコの品種で、アメリカ、サウジアラビア、ヨルダン、パレスチナ自治区、イスラエルでも育てられている。
大粒で甘く、汁気の多いデーツ。画像有り。
Migraf (Mejraf) 南イエメンでとても人気のある品種。大粒で金色~琥珀色のデーツ。
Mgmaget Ayuob リビアのHoon地域の品種。
Mishriq  アラビア語で 'East' スーダンとサウジアラビアの品種。
Mozafati イランの品種で、主にKerman地域で育てられている。
その地方の都市の名前をとって "Bam (Mozafati) dates"と名付けられている。ダークな色で柔らかく甘い、中サイズのデーツ。

保存性がよいため例外的に青果(生鮮食品)として流通するのに適したデーツ。5°Cで最大2年間保存出来る。イランの全生産量の10%(10万トン,うち30%が輸出用)を占める
Nabtat-seyf サウジアラビアの品種
Pyarom イランの品種。参考サイトはこちら。 
Rotab イランの品種。濃い色で柔らかい 
Sag‘ai サウジアラビアの品種
Saidy (Saidi) 柔らかくとても甘く,リビアで人気のある品種。
Sayer (Sayir) (アラビア語で 'common') 濃い橙褐色,中サイズ,柔らかくねっとりしている.
Sekkeri    (直訳 sugary) サウジアラビア産.ダークブラウンの皮、きわめて甘く柔らかな果肉。もっとも値段の高価な品種.
Sellaj サウジアラビア産
Tagyat リビアで一般的な品種 
Tamej リビア産
Thoory (Thuri) アルジェリアで人気のある品種.
このやや乾いたデーツは熟成させると,赤褐色で青みがかったブルームととてもしわの寄った皮を持つようになる.この果肉は時に固く脆い感じが,甘くナッツのような風味があると表現される.
Touzerzayet 説明なし。画像のみ有り
Trounja 説明なし。画像のみ有り
Umeljwary リビアの品種
Umelkhashab 輝くような赤い色でほろ苦く ,固めの白い果肉.サウジアラビア産.
Zahidi (アラビア語で '[Of the] ascetic禁欲主義者の')  中サイズで円筒形,明るい金褐色のセミドライデーツは,砂糖のように大変に甘い.柔らかい状態,中程度の固さ,固めのそれぞれの状態で売られている.
Zaghloul 暗赤色の皮で細長く,生で供されるときは(大抵そうされる)カリカリしている.
糖分濃度があまりに高いため食べると口が渇くほどである.
この品種は原則としてエジプトだけで栽培されており,エジプト人の郷愁を誘うもののひとつである.(Saad Zaghloulはエジプトの国民的英雄である)

この他にも、例えばイラクには100以上の品種があると言われているが、(公的なカタログにはなっていなくて)いくつかに地方名がついているだけだということです。

[8] デーツの、ソフト・セミドライ・ドライについて
これは、例えば干し柿のようにどの程度乾かしたか、という意味はなく、果実の完熟状態(tamr)での柔らかさを表現している。
デーツの糖分総含有量は80%にも達するが、還元糖(ブドウ糖果糖などの単糖類)と蔗糖(二糖類)の比率でこの柔らかさが決まる。
ソフトタイプはほぼ還元糖のみ。固いタイプ(ドライタイプ)は蔗糖と還元糖が半々程度(品種による)となる。つまり蔗糖が多いほど固いタイプとなる。
中間の柔らかさタイプ(セミドライタイプ)はソフトタイプとドライタイプの間程度(品種による)となる。

[9]DATE PALM PRODUCTS デーツについての解説書(英語)
アメリカのFAOがまとめた報告書のようです。[8]の情報はこの報告書から。
アメリカだけでなく中東各国の写真やイラスト、図も含まれているので、字以外のところだけでも参考になります。グーグル翻訳ツールバーさまもいるし。

[10] デーツ食べ比べ (日本語・ブログ)
Khidiri (キーディリ)、Agwa / Ajwa (アジワ)、Dhawi (ダーウィ)、Sullaj / Silaj (スラジ)、Segai (セガイ)、Kholas (コーラス)、Socari / Sokari (ソカリ)、Wanan (ワナン)の8種類を比較しています。 

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6 コメント

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Unknown (ガンガンガン速)
2011-08-04 02:59:11
こんにちわ
いつも楽しく拝見しています

お恥ずかしいながら、
デーツってなんですか?
デーツの木っていうことはなにかの
実ですよね、ってデーツの実か・・・
食べてみたいです
返信する
ナツメヤシの実で干し柿のような味 (●ガンガンガン速さま~Fujika)
2011-08-04 16:19:13
いつもコメントありがとうございます☆
とっても嬉しいです。(その割にはお返事が遅れがちですみません)

デーツとは、ナツメヤシというヤシ科の植物の果実のことです。完熟した実は干し柿のような味・食感・甘さ(とっても甘い)です。地中海岸や中近東で古来から大人気の食品です。
日本ではおたふくソースの甘みづけに使われているそうですよ。
輸入食品店でおいてあることが多いと思います。ものは試しで、今度味見しては如何でしょう?(でも好き嫌いが分かれるかもな・・)
返信する
教えてください~ (nao)
2015-09-21 20:46:38
なんとデーツの一キロパック!を頂いてしまいました。
開封する前に、どう料理してやろうかとレシピ検索したら
スイーツ系は色々あれど料理系は鶏とオリーブとのスパイス煮込み位しかヒットせず…
そういえばFujikaさんのブログで見かけたな~と頼りに伺いました。
ご存知の料理法があれば教えてください。またスイーツもお勧めレシピがありましたらよろしくお願いします!
ちなみに干し柿は大好きなのでデーツも大丈夫かと思うのですが…
返信する
デーツレシピ (●naoさま~Fujika)
2015-09-24 17:41:53
わ~。デーツを1キロも。すごいですね~。いいな~。
それほど沢山買ったことがないので、レシピを検索してみることもありませんでした。
自分は作ったことがないのですが、dates recipe で画像検索してみた限りで美味しそうかな~と思ったのは
1)種を抜いたデーツをベーコンで巻いて焼く。
種の窪みにチーズを詰めても可。
2)デーツ入りピラフ dates polow で画像検索
バスマティ米、デーツ、あとアプリコットなど酸味があるものの炊き込みご飯。先日、デーツでなくて棗、ドライ梅で作りましたが、美味しかったです。
3)種をとってペースト状にし、胡桃を沢山混ぜて丸太状にした、フィグ・ログのデーツ版。
4)デーツを沢山使い、お砂糖は不使用の、各種ドライフルーツ入りフルーツケーキ

4)はある本で見かけて、レシピのコピーを持っていますので、興味有ればまたコメント下さい。(ネットにも似たようなものはあると思いますが)
いつか作ってみたいと思いつつ、まだ作っていません・・。
返信する
ありがとうございます♪ (nao)
2015-09-24 18:59:02
英語で検索すれば色々出てくるんですね。でもちょっと不安が…

連休中にパックを開封してみました。
かなりソフトなタイプらしくペースト状に崩れひっつきまくってて大変でした。
味は…結晶化した蜂蜜みたい?フルーティーだけど癖がないですね。
砂糖代わりにジャムの甘みに使えるかも。

まずは鶏のスパイス煮にして美味しく頂きました。
料理にはチャツネ的に使えばいいのでしょうね。

1)はお酒に合いそうな甘じょっぱいおつまみですね。
2)は甘いおこわみたいになるのかな?興味津々。
3)は大量消費できて美味しそう。ソフトすぎると作りにくいかな。
4)マクロビオティックではデーツをお砂糖代わりに使いますね。
検索したらケーキ生地に刻んだデーツを入れるそうなのでデーツペーストにしておくと使い勝手がいいかもしれません。

なんとか一キロ使い切ってみます!(日持ちはするのかな?)ありがとうございました。
返信する
消費中? (●naoさま~Fujika)
2015-09-30 16:30:14
その後、消費は進んでいますか?
ジャムやチャツネを作られるのであれば、お砂糖代わりになりますね。
沢山あると、使わなきゃ、というプレッシャーでふと面白い使い方がひらめいたりしますよね。いいアイデアがあったら是非教えて下さいね☆
返信する

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