少しだけうとうとと、していたのだろうか。
護送中でもあるまいし、どうも機内で眠るのは窮屈で、けして愉快なものではない。
窓際の席にありついた私は、何とはなしに見える筈も無い外の漆黒の風景に目をやった。

何とそこには、こっそりと気配さえもみせず、悠久の歴史の中できちんと繰り返されてきた厳かな儀式が営まれつつあった。
微かに、しかし確実に、夜は明けようとしていたのだ。

ねぼけ眼を擦りながらバッグの中からカメラを素引き出すと、
私は神の儀式の証人になるべく、
夢中でシャッターを押し続けた。

恐らくは、時間からして台湾の上空あたりなのだろうか
ニイハオ!と機嫌の良い挨拶をしながら
空の上の地平線から、太陽は今、朝化粧を整えている。

その昔、まだ若い駆け出しの信金マンだった頃、
経営不振に陥ったある肉屋の経営者の方と、夜を徹して再建策を模索して話し合ったことがあった。
出がらしのお茶一杯で朝までなんである。
何度も何度も、話は同じところに行き着く。
あそこに引っかかりさえしなければ・・・・・。

綱渡りのような資金繰りの中で、取引先の倒産に遭い回収予定の500万円が計算できなくなってしまった。
銀行借入は天井をとうに越していた。おまけに市中金融からも借りているのだという。
そんな中、その時、万策尽きた中で、肩を落とす商店経営者を励ました言葉
「明けない夜はなかですよ。頑張りましょう。信金は絶対に見放しはしませんから・・・・。」

手形をジャンプして貰うように取引先にお願いしましょう。
商品は委託にして貰ってもいいじゃないですか。
従業員にもきちんと事情を話して判って貰いましょう。
私が話してもいい・・・・。
誠意を持って話をすれば、きっと判って貰えますよ。

要らないものはこの際、整理して手放しましょう。
たとえ裸になっても、この店の「暖簾」を守ってさえいけば、またいい時もありますよ。
歯を食いしばって頑張りましょう。
天は貴方の支えきれぬ荷物は絶対に持たせんものです。

傍でまんじりともせずに座っていた奥様が、泣きながら、結婚指輪を質に入れてと差し出した。
それは、汗で汚れた結婚指輪であった。

結局、難局を乗り切った経営者は、地を這い泥を喰うように頑張って下さり、今は家族を守り終えて、土の中で眠っている。
夜明けを見るたびに、あの時の経営者の顔を懐かしく思い出す。
若い癖に俺も良く云ったなぁ・・・・と恥ずかしくさえなる。
しかし、確かに、夜明けの来ない夜はないんである。












関係ないですが、2月14日記念すべき50代の突入です。
沈まぬ太陽はない
止まない雨もない・・・・。
しかし逆境に喘いでいるお方には
本当に大切な励ましとなります。
まあ本当のご苦労をなさっていない方には
単なる言葉のワンフレーズにしか聞こえないのでしょうが、この言葉に助けられたお方は多いものです。
人の感性はそれぞれですが、コモンセンスを大切にしていきたいものです。
脂の乗り切った責任ある年代ですね。
しかしあっという間の50代でもあります。
どうか毎日毎日を大切に、充実した日々をお過ごしになられんことをお祈り申し上げます。
世界中が
あの歌のフレーズを思い出しましたよ。