奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その547)

2018-02-22 08:15:00 | 奈良・不比等
「日本人と中国人~なぜあの国とまともに付き合えないのか(イザヤペンダサン著/山本七平訳・祥伝社新書2016刊)」を読んだ。山本七平(やまもとしちへい1921~1991)氏は青山学院高等商学部卒で、ユダヤ系の書籍の翻訳出版をする山本書店の店主であった。「日本人と中国人」は文藝春秋に連載(1972~1974)されたものであり、1997年には文藝春秋、2005年には祥伝社より収録発刊されたが、改めて2016年に新書として刊行したとのこと。------
1970年の「日本人とユダヤ人」をイザヤペンダサンなるペンネームで発刊しベストセラーとなって以来、山本七平氏の日本文化と社会を分析する独特の手法が鮮やかで、今もファンは多いようだ。-----
「日本人と中国人」では、平清盛以降の日本の武家政権の精神的なバックボーンが何に由来するのかを説明して呉れて居り、天皇制と附かず離れずのベストマッチが続いてきた理由についても若干の歴史に登場する人物により偏差は有るが結局同じ論理で権力を行使してきた事が良く分かる。名著であるとして再刊行されたものと思われる。後半は説明がくどいように思ったが、前半は直截的な説明で分かり易いと思った。------
尊皇攘夷が明の遺臣・朱舜水(1600~1682)の尊明攘清の振り替わりであるとは誠に分かり易かった。李氏朝鮮でも明が滅ぶと自国が小中華を目指すが、日本でも同様に大清帝国は本当の中国ではなくて寧ろ正義は明の文化を維持している周辺国ではあるが日本の側にあると思い上がった向きがあるのだと云う。-----
21世紀の現在も、東アジア文明圏の中での思想の揺れ動きは過去の歴史と同様であるとの説明は、解説者の力量に拠るのか、とても理解し易いと思う。大学の文学部の教授クラスの研究者ではないが、太平洋戦争で劣悪なフィリピン戦線に送られて捕虜となり復員した山本七平氏の日本観は為政者や偽善者の嘘を決して許さない厳しいものが感じられてこれからも名著として読まれ続けるだろうと思った。
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