奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その319)

2017-07-09 09:35:21 | 奈良・不比等
歴史ファンタジー小説・北円堂の秘密

社会学者・大澤真幸の作家・山崎豊子女史の作品から戦後日本史を読み解く趣向の本「山崎豊子と男たち(大澤真幸著・新潮選書2017刊)」を読んだ。大澤真幸(おおさわまさち1958生れ)氏は東大(文学部)卒で元・京都大学教授である。-------
山崎豊子(1924~2013)が男性作家以上に男らしい男性を書くことが出来たのは何故なのだろうかと、社会学者・大澤真幸は読者に質問を投げ掛けてくる。答えに窮していると山崎豊子の具体的な作品の主人公を取り上げて解説してくれるのである。------
「白い巨塔(1965~)の財前五郎」、「華麗なる一族(1973)の万俵大介と鉄平」、「不毛地帯(1976~)の壹岐正」、「大地の子(1991)の陸一心」、「沈まぬ太陽(1999)の恩地元」、「運命の人(2009)の弓成亮太」、そして遺作となった「約束の海(2014)の花巻朔太郎」、これらの作品は市井を舞台とする庶民の身の回り小説ではなくて全て天下国家に繋がる大舞台で悪戦苦闘する男たちを描いている。-------
戦後生き残った男たちが敗戦を余儀なくされて、戦争による死者との折り合いを付けるに際して、嘗(かつ)ての約束を反故(ほご)にして戦勝国・アメリカの保護のもとに暮らさねばならないというアンビバレントな状況の中で、自己を正当化するのに四苦八苦し葛藤する様子を見て来た山崎豊子女史は女性の目でしっかりとした男性像を作り上げて小説に登場させたのだと云う。戦争を遂行した男どもにとっては、とてもそのような大胆な構想は戦後、否、現在でもまだまだ難しいのだろう。それ程に敗戦の精神的影響は戦後生まれを含めて大きいものがある。

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