奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その406)

2017-10-04 08:15:00 | 奈良・不比等
国文祭・障文祭なら2017
歴史ファンタジー小説・北円堂の秘密

「工学部ヒラノ教授の介護日誌(今野浩著・青土社2016刊)」を読んだ。「今野浩(こんのひろし1940年生れ)」氏の「工学部ヒラノ教授」シリーズの中では異色の内容となっている。あの東北大震災の年(2011年4月3日)までの19年間に亘る同い年生れの奥様(心室頻拍発症1992~・脊髄小脳変性症1996〜)の介護生活をリアルに隠さずに自ら犯したDVまで書き付けて居られる。出版までに5年を要しているのは後書にもあるように、3月31日に中央大学教授を定年退職し、略(ほぼ)同時に奥様を亡くされて、何もすることの無くなった茫然自失で頭の中が真っ白の自らを慰めるために、奥様との19年間の介護生活の全ての記憶を書き出したのだとか。余りに生々しいので出版が遅れたと云う。-------
さらっと書いて居られるが、娘さんにも奥様と同様の難病が発症(2000~)していて車椅子生活(2003~)を余儀なくされている娘さんへの援助も未だ必要であり、家庭の金銭的な事情までこれも飾ること無く書かれている。「工学部ヒラノ教授」シリーズの執筆の印税は娘さんへの援助に必要であるとまで書かれている。------
「工学部ヒラノ教授の介護日誌」を読んで思うことは、介護保険制度は核家族化している社会の不備に対して一定の救済を与えることは出来ているが、様々な問題を抱えていると考えさせられる。140万人の県民を抱える奈良県ではセレブ用の介護施設は有るだろうが、大部を占める庶民のための費用が低廉な介護施設がもっと多く必要となるだろう。そのためには奈良県でもコンパクトシティーの構想は大切だと思われる。荒井正吾・奈良県知事が提唱し実行している「奈良モデル」のメニューの中に市町村単独では出来ないような庶民向け介護施設を過疎地ではなく人口の集住地域に纏めて設置する事にする必要があるだろう。----
「頭は確(しっか)りしているが寝(ね)た切り」になるのと、「身体は健康だが認知症」になるのとどちらが幸せかと云う二択の問題は、本当に悩ましい。介護の手が掛かるのは認知症であるから。余り高齢になるまで健康なだけでは拙(まず)い。ジグソーパズルが解けるなど頭の能力が伴って始めて「まとも」と云える。後期高齢者になれば脳トレもある程度必要かも知れません。
コメント
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