奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その303)

2017-06-23 09:20:13 | 奈良・不比等
「わたしが子どもをもたない理由(わけ)(下重暁子著・かんき出版2017刊)」を読んだ。------
「下重暁子(しもじゅうあきこ1936年生れ)」女史は、先日他界された「野際陽子(のぎわようこ1936~2017)」女史のNHKでの1年後輩に当たる。-----
「わたしが子どもをもたない理由(わけ)」には芸能人の中にも子どもの居ないカップルが相当数見受けられると書かれている。-----
女優の吉永小百合と岡田太郎氏の例は取り上げて居なかったが、誰でもが知っているような有名人の例は書き記されており、下重暁子女史・自身の場合も詳細と思えるほど赤裸々にその理由が述べられており、結婚し子供を儲(もう)けると云う常識にメスが入れられて、昨今の少子化に歯止めを掛けようとする政策の上滑り感が良く理解できる。------
戦前、否(いや)富国強兵策を打ち出したもっと昔の明治時代から、何も知らない庶民を嗾(けしか)けて、大勢の子供を産ませて兵隊を確保し、近代産業育成のための労働者として送り込んだ。------
江戸時代ならば武家にしても農家にしても後継ぎは長男と決まっており、弟分は結婚も儘(まま)ならなかった。そのようにして人口の調整をし、増えも減りもしないサスティナブル(sustainable)な社会を構成していたのである。其れを急に誰でも結婚しても構わないと云う風に解禁したものだから、明治以降は余剰人口が急増し日本国内では仕事も無く食べていけないので海外に出稼ぎに続々と繰り出さねばならなかった。-----
下重暁子女史の世代の方から見ると、庶民が苦労を背負い込む様な「貧乏人の子沢山」を山ほどご覧になって来られたのであろうと思う。元々経済格差のある庶民が子供を育てることは並大抵のことではなく、グローバル化の影響をまともに受けている当世(とうせい)では自分の身一つの世過ぎでさえ思うに任せない時代である。------
知識階級ならば尚の事(なおのこと)生れてくる子供が苦労するであろうことが予測でき、無責任に子供を産むことは出来ないと考えるのだろう。
コメント
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