風月庵だより

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映画『禅ZEN』を観て

2008-12-28 13:44:29 | Weblog
12月28日(日)晴れ【映画『禅ZEN』を観て】

映画『禅ZEN』の試写会があり、観せて頂きました。
この映画は、曹洞宗の宗祖道元禅師を主人公にしています。この映画のように、実在の人物、それも一宗の宗祖を描くことは、なかなか難しいと思いました。

同じ映画を観ましても、宗祖道元禅師に対して抱いている、それぞれのイメージがあると思います。それぞれの思いに叶うことは至難のことでしょう。

かつて、弘法大師、親鸞聖人などを主人公とした映画を観ましたが、それぞれ監督の持っている弘法大師像、親鸞像であったろうと思いました。その宗派でその教えと取り組んでいる人が観たら、自分の抱いていた宗祖像とは違うという感じを抱いたのではないでしょうか。

また一宗の宗祖を主人公としたならば、一に要求されることは、感動的に描くことでしょう。また道元禅師の教えを監督も脚本家も咀嚼し、深く理解しなくては、決して描くことはできません。一朝一夕にできることではありません。もし、1+1=2のように理解できることであれば、何年も何十年も坐禅し続け、何年も何十年も宗祖の著作と取り組む必要はないことになります。

その点、今回、監督・脚本を手がけましたのは、高橋伴明という監督で、仏教の教えを若い頃から、真剣に学んできた人物ですから、かなりの理解を示してくれたと思います。

しかし、やはりそれぞれ、理解は違いますから、映画という作品になりましたら、映画という作品として味わうという鑑賞眼が必要とされるでしょう。それぞれが持っている宗祖観はさておき、映画『禅ZEN』を楽しむという目で観るのがよいかと思いました。

中村勘太郎さんが、道元禅師を演じています。他に 内田有紀さんという女優さんが、監督のイメージから生み出された「おりん」という役を演じています。それぞれに好演でした。他のキャストもなかなか好演でした。個人的には寂円を演じたテイ龍進さんという役者が味があったと思いました。

監督のメッセージは、混迷し、混濁し、方向性を失った現代に、こんな爽やかな人間が750年前の日本にいたのですよ、と、いうことかと推察します。そしていかに清く、誠実に生き、そして道を求めて生きたか、ということかと推察します。

勿論、監督だけではなく、「禅 ZEN」製作委員会(多くの曹洞宗の僧侶の応援と願いがあると思います)の願いは、現代に清涼なる風を吹かせたいのではないでしょうか。

1月10日封切りです。私ももう一度観てみようと思っています。皆さんも是非ご覧くださいませ。そしてそれぞれの思いが湧くと思いますが、機会があれば、この映画について語り合いたいと思います。ご覧になってから、コメントいただけますと幸甚です。

よいお年でありますように。

*『禅ZEN』パンフレット冒頭の言葉:
喜びも苦しみも涙も…。あるがままに。
 乱世の鎌倉時代ー凛とした姿。揺るぎない孤高の精神。
 清冽な生涯をおくった道元禅師の知られざる物語が、
 750年の時を超え、今、甦る!


監督・脚本: 高橋伴明
原作: 大谷哲夫

キャスト:中村勘太郎・内田有紀・藤原竜也・村上淳・哀川翔・勝村政信・笹野高史・西村雅彦・高橋惠子

製作年:2008年/製作国:日本/製作:「禅 ZEN」製作委員会
配給:角川映画/(C):「禅 ZEN」製作委員会
カラー/2時間7分/ビスタサイズ

*本棚を探しましたら、弘法大師を描いた『MANDARA曼陀羅ー若き日の弘法大師・空海』(1991年、日中国交正常化20周年記念、監督:滕文驥、脚本:原源一、空海:永島敏行)と、『親鸞 白い道』(1987年、原作・監督・脚本:三國連太郎、親鸞:森山潤久、恵信:大楠道代)のパンフレットがありました。後者はかなり三國親鸞の感じがしたことを思い出しました。前者は中国長安の青龍寺(実際の撮影は五台山の菩薩長寺)でのシーンや、恵果阿闍梨から灌頂を受けるシーンは17年前の映画ですが今でも鮮明に覚えています。感動的な映画でした。
『空海』のパンフレット冒頭の言葉。
この世に、
 無駄なもの、
 生きるに値しない
 無意味な人生など
 存在しないのだ。



寒くなりました

2008-12-23 17:43:19 | Weblog
12月23日(火)晴れ【寒くなりました】

皆さん、お元気でしょうか。だいぶ寒くなりました。今日は法事から帰りましたら、出迎えてくれたルナが、すぐに見えなくなりましたので、探しましたら、布団と布団の間から顔を見せていました。やはり猫も寒くなったのでしょうか。

さて、今日の法事では、とても感心したことがあります。5才の少年のことですが、ご挨拶もきちんとできました。法事の間も正座です。幼稚園で背骨を真っ直ぐに坐ることを、習っているのだそうです。「森信三先生の立腰教育ですか」とたずねましたら、はい、という答えでした。やはり、幼いうちに受ける教育は大事だと思います。きちんとするときにはきちんとする、遊ぶときには思い切り遊ぶ、このようなことを躾けられますと、それは一生の宝になるのではないでしょうか。10歳までが勝負でしょう。

勿論言うことを聞かないときもありますから、ママに叱られているようです。叱られないような子どもは、かえって心配です。おおいに腕白も発揮し、叱られもし、でも「ママは僕のことを心配するから叱るんだって」とニコッとしていました。すごくいい笑顔なんです。子どもの無邪気な笑顔は値千金ですね。

ところで、当ブログは開店休業状態でご訪問の皆様には申し訳ありません。論文を持ち越さないようにと思いましたが、どうもまだ書き上がりません。史伝資料の翻刻という作業をしていますが、それはできまして、訓読作業も終わったのですが、語注という作業ができていません。つけないで提出することもできますが、自分の勉強としてはやはり、語注をつけたいのです。室町時代の僧侶の史伝ですが、漢文で書かれています。つい最近まで、仏教文献は漢文で書かれたものが多いのです。そして、禅僧の問答や説法には、中国の禅文献からの引用が多いので、この言葉は中国の誰の言葉か、探すことも面白い作業です。

この度は、室町時代の全巌東純禅師(前のログに書きましたので、紹介は省略)と雪舟の接点も、翻刻資料の中に発見しましたので、それももう少しまとめてみたいと思っています。このような史伝の研究はどんな意義があるのか、仏教の学びとしてどうなのか、お考えの方もありましょう。私なりにありますが、それはまたいつか。
500年前のある日、東純禅師と雪舟が、とある場所で会っていたという、そんなこと。500年後、私が今日何をしていたか、500年後の人が探り当ててはくれそうにありませんが。

実はこれから、論文、論文とそれを口実に風月庵だよりは開店休業ですのに、高校時代の友人たちと忘年会なので出かけてきます。皆さんも楽しい年送りをなさってください。

猫の避妊手術

2008-12-06 23:04:17 | Weblog
12月7日(日)晴れ【猫の避妊手術】(網代笠を被ったルナ。たまたまの一こま)

今日は猫のことを書きますので、猫に興味のある方にお読みいただければと思います。我が家のルナはたぶん今5ヶ月半くらいですが、避妊手術を受けました。自分が猫を飼っていないときは、駒澤公園の野良猫たちの避妊手術を、平和を愛し、なにより猫を可愛がっている教授が自前でしてくれていたのをいつも感心していたくらいのことでしたが、自分が飼ってみて、それが本当に猫にとって大事なことと知りました。

先ず、育てられない子猫を増やさないということは勿論ですが、猫の健康にとっても重要な手術と知りました。初めての発情期前にこの手術を受けますと、乳ガンにかかるリスクがほとんどなくなるそうです。また子宮に関する病気にもかからないそうです。友人の猫が6ヶ月で子猫を産んでしまったというので、猫の発情は随分早いようですから、先生と相談して先週の日曜日に手術をしてもらいました。

〈手術の翌日〉我が家に家族として迎えてから、初めて病院に一泊しましたので、何事が起きたのかと、かなり不安だったようです。病院で今まで聞いたことのないようなルナの鳴き声がカウンター越しに聞こえました。「どうしたのかしら、ここはどこかしら、なにが起きたのかしら、私の遊び友だちはどこなの」と言っているように聞こえました。しばらくして、私の顔が見えたので安心したように感じました。手術は順調だったようで、先生に問題ありませんよ、といわれてホッとしました。まだ絆創膏を貼っていましたが、二、三日で剥がしてください、と言われて帰ってきました。

帰宅してすぐにご飯をあげました。二日間食べていないのですからお腹が空いていたようです。いつもはドライフードだけですが、このときは缶詰の餌もあげました。本当にぺろりと食べました。インターネットで猫の避妊について情報を集めておいたので、たぶん術後2日目は体調が悪いだろう、グッタリしているだろう、と思っていましたが、とても元気で部屋中を駆けめぐっていますし、戸棚の上にも飛び上がっています。そんなに動いてよいのだろうか、とかえって心配するほどでした。

〈術後2日目〉この日も元気に駆け回っています。食欲も普通です。前と同量です。少し余るくらいです。餌はHill'sとIAMSのドライフードです。しかし、問題が生じました。この日の夕方絆創膏を剥がそうとしましたら、簡単には剥がれません。皮膚を押さえながら剥がそうとしましても、悲鳴をあげますので、とても剥がせません。病院に剥がしかたを聞いてからにすることにしました。しかし、ルナは気になるらしく、絆創膏を自分の口でくわえてさかんに引っ張っています。でも何の効果もないようです。

〈術後3日目〉翌日、真ん中の傷をまたいで浮いているところを、思いきって切って絆創膏を2分してみました。手術の傷跡は5ミリもないようです。ほとんど分からないくらいです。術後もルナは元気ですし、きっと先生の腕がよいのだろうと思います。2分の状態で剥がそうとしましたが、やはりぴったりとついてしまって剥がれません。その日仕事から帰ってから、絆創膏の剥がし方を教えて貰ったように早速ためしました。脱脂綿に水を浸して、傷にさわらないように少しずつ剥がすようにしてみました。でも、駄目です。なかなか剥がれないので、ルナがヒイヒイ鳴きますので、とてもこの方法では駄目なようです。

なんとか剥がしたくてルナも自分の口にくわえて引っ張っています。どうしようかと何回もチャレンジしました。それでオリーブオイルを綿棒に浸して少しずつはがしてみましたところ、ついに剥がれました。剥がれた絆創膏をルナに見せましたら、「よかった」というようにしっかりと私にしがみついていました。これは遊び友だちを本当に信頼できたときの喜びだと思いました。猫を相手に何を言っているのかと、思う方もいらっしゃるでしょうが、これは飼ってみて私も初めて実感しました。

その後はあまり問題はありませんが、少し食欲がないようですので、術後4日目には鰺を焼いて本当に少しあげましたら喜んで食べていました。ドライフードが餌としてはベストであり、なるべくそれ以外はあげない方が、猫の健康のためにはよいそうで、日頃はドライフードだけですが、今は様子を見ながら、少し別の食べ物もあげてみています。はたしていかがでしょう。(やはりドライフードだけにして、あまり食べなくても心配しないほうがよいようです。かえって太りすぎを注意しなくてはと思います。ルナは小さなタイプの日本猫なので、太らなくても心配ないそうです)

今日で丁度手術一週間です。今日法事にお伺いしたお家に、丁度獣医さんがいましたので、いくつかお教えいただきました。絆創膏が剥がれずらかったということは、ルナはアレルギーがあるかもしれないので、皮膚病に気をつけたほうがよいというアドバイスをいただきました。また猫用煮干しをときどきあげていることに対して、猫用は酸化防止剤が入っているのがあるので、人間用のほうがよい、とのことでした。さっそく「食べる煮干し」塩無添加、酸化防止剤無添加、というのを探してきました。今まで20年以上法事に伺っていますが、獣医さんに会ったのは初めてです。ルナのために、思いがけずですが、会えたようにさえ思いました。

付記*8日目の今日、病院に連れて行きました。もう完全に心配ないということでした。抜糸するタイプの手術ではなく、糸はお腹で吸収されていくタイプの手術方法です。(12月8日記、今、気づいたら今日は誕生日でした。自分の。なんだか良い一日でした)

猫を飼っている方に多少なりとも参考になればと思い、書いてみました。


12月になりました

2008-12-02 07:28:48 | Weblog
12月2日(火)曇り【12月になりました】

みなさん、お元気でしょうか。はや12月、禅宗の僧堂では昨日から臘八摂心が始まりました。8日の朝まで坐禅をし続けます。私も僧堂に安居(あんご、僧堂で修行に専念していること)していました頃は、この時期は坐禅につとめていました。

今は研究所に勤めていますので、朝だけしか坐れません。道元禅師の教えは坐禅こそ釈尊の教えであり、坐禅してどうなるというのではなく、坐禅こそ仏行です。今はそのような生活を選択していませんので、半僧反俗の生活です。俗のほうが多いです。

このところログの更新もしていませんでご訪問のみなさんには申し訳ありません。どういうわけか11月と12月は原稿の提出先が集中しました。そのことで頭のなかは一杯になっています。飽和状態に近いです。一つ一つ仕上げまして、早くなにかログを書きたいと思っていますので、お待ちくださいませ。

寒くなりましたので、くれぐれもお体お大切に、お正月を楽しく迎えられますように師走の日々を頑張りましょう。

追伸:考えますと、仕事のことよりもルナと遊んでいるほうが多いようです。猫とはいえ、家族であり遊び友達になるということがよくわかりました。俗の大いに多いほうで恐縮ですが、正直に申し上げます。