Entrance for Studies in Finance

hedge funds

リスクヘッジ 資産保全のための運用手法を組み込んでいるファンド

「アメリカの投資家にとっては私的パートナーシップ(組合)、そしてアメリカ外のあるいは免税投資家にとっては投資会社であって一連の資産を、収益を高めるためしばしば派生商品や証拠金取引を用いて売り買いのポジションで作られる特定の戦略に従うもの。ファンドが従う特定の戦略には、市場方向(すなわち市場中立、単純な買い)、裁定(すなわち固定所得裁定、転換社債裁定、変動率裁定、相対価値裁定)、再構築(すなわち破綻企業資産、リスク裁定、イベントドリブン)、あるいはマクロイベント(すなわちグローバルマクロ)を含む。ファンドの多くは最短解約禁止期間があり、極度に非流動的と見なされている。ヘッジファンドの運用者は投資家から典型的には2%の年間手数料と、典型的には獲得された収益の20%という成果報酬とを徴収する。ヘッジファンドは一般に大変危険であるので、(一定額以上の純資産を保有しかつ資本の潜在的損失に耐えられる)投資家に限定されるべきである」Erik Banks, The Palgrave Macmillan Dictionary of Finance, Investment and Banking, Palgrave Macmillan:2010, p.253.

「積極的に管理された投資ポートフォリオであり、絶対的意味においてか特定の市場ベンチマークとの比較で相対的にか、高い収益を生み出す目標をもって、国内・国際の双方の市場において、証拠金取引と売りと買い、そして派生商品ポジションといった高度な投資戦略を用いるもの。法的にはヘッジファンドはしばしば制限された数の投資家にのみ開かれ、かつかなり大きな最小限初期投資を求める私的投資パートナーシップとして設立されている。ヘッジファンドへの投資は投資家に対して最小限1年間は投資額をファンドに維持することを求めるといった具合に非流動的である。」「世界中のほとんどでヘッジファンドは投資信託とは異なり規制されていない、というのはヘッジファンドは洗練されかつ超富裕な投資家に提供される商品だからである。米国では法律がヘッジファンドの投資家の大多数が一定要件を満たすことを求めている。投資家は年間一定額以上の所得があり、かつ100万ドルを超える純資産がなければならない。ヘッジファンドは超富裕層のための投資信託だと考えてもいい。投資信託と同様に集合され専門家が運用する投資であるが、ヘッジファンドの投資戦略ははるかにずっと弾力的である。ヘッジをするというのは実際にリスクを減らすことを試みることだというのは注記するに値する大事な点だが、多くのヘッジファンドの目的はリスクを最大限取ることで収益を最大化することにある。ヘッジファンドの名称は、初期のヘッジファンドが弱気の市場の相場下落リスクを市場に売りをかけることでヘッジしようとしたことにもとづく、まったく歴史的なものだ(投資信託はその主たる目的の一つとして売りポジションに入ることはできない)。今日ではヘッジファンドは実際ヘッジリスクしていない。実のところヘッジファンド運用者は投機的投資を行っており、これらのファンドは市場全体より多くのリスクを抱えている」Jack Guinan ed., The Investpedia Guide to Wall Speak, McGrawhill:2009, p.129

 ファンド数 8000 運用資産規模 2兆ドル(2008年夏のpeak) その後減少 現在はほぼ回復
hedge funds ranking 2009

このような運用手法(先物 空売りにはレバレッジ取引としての面)
 レバレッジ取引(証拠金取引)の担い手としても認識される

資産運用業の一つの業態。多くは租税回避地(タックスへイブン)に法人登記。

 投資信託 との違い 投資信託は 投資法規制のなかでの規制(登録・開示など)を受ける
            投資信託の中にヘッジファンド的運用がするものが登場している
 これまでの投資顧問 投資法規制を受けている 年金などの資産運用
           投資顧問の中にヘッジファンド的運用をするものが登場している   
 ヘッジファンド の中に投資法規制を受け入れて運用の透明性を図るものが登場している 

目標は絶対収益(年率×%以上 短期金利+何%以上) ⇔ 成功報酬
  ⇒ 相対収益(株価指数より2%上の超過収益)

歴史
 global macro の時代 1990年代
    global macro戦略 脆弱な国を売り 復興しつつある国に集中投資 ⇒ 国際変動の激化要因
    1990/10 東西ドイツの統一 ⇒ 1990年代が国際的変動の時代であることに対応

    1992/9 ソロスのポンド空売り ⇒ ヘッジファンドが注目される契機
        イギリスは防戦買いに失敗 ERM(1990/10に参加していたからの)離脱に追い込まれる 
        ジョージ・ソロス クオンタム・ファンドを率いる 

 global macroの時代の終焉 LTCMファンドの破綻 1998/9
LTCM はSolomonにいたJohn MeriwetherがP.Merton M.Scholesを招いて1994に開始
    信用リスクスプレッドの縮小を見込み ロシア国債を買い日本国債を売る ポジション
    1996-1998 国際石油価格が暴落 ロシア政府がモラトリアム宣言(1998年8月)に至り破綻のふちに
    1998年7月の資産規模40億ドル モラトリアム宣言後6億ドルにまで減少 FRB 米連邦準備制度理事会の
    指導で大手銀行が36億ドルを出資して救済した(破綻を防いだ)。
 
long shortの時代 1990年代後半
    long short組は1990年代後半から2000年を乗り切り 評価高まる
 long short には2つの意味
    1) market neutral(市場中立型運用)の意味
    保有している株についてリスクヘッジのため空売りするなど
    2) 中立化を意識しないで収益をねらう意味
    値上がりが見込める株を買い 値下がりしそうな株を売る
    long short戦略の前提は投資対象の流動性

 裁定(アービトラージュ)とイベントドリブン の時代へ
    着実な収益が求められる時代に ⇒ 長期投資戦略は否定・市場リスクはとらない

    イベント(コーポレートイベントへの着目)
      買収 合併 増資 増配 減配 

 非流動的な投資への指向
    デイストレスト(破綻企業の株式 債券などへの投資)
    プライベートエクイテイ(非上場株式)

 2006年9月 アマランスの破綻(損失額56億ドル)
2008年10月 マドフ事件
2009年10月 ガリオングループ事件

 ヘッジファンドについての規制はたびたび議論されている。アメリカでは2006年2月に一度はSECへの登録義務が決まり
 ファンド本数1万3876 運用資産規模2兆4000億ドルという規模が浮かび上がったが 2006年6月に連邦高裁がこの規制
 (顧客数15以上は登録)を恣意的とする票決を出したため規制は頓挫した。このほか規制の試みは各国にあり、日本では出資者 50人以上の一般投資家を対象とするファンドに登録義務がある。

 ヘッジファンドは市場の売買の担い手として大きな存在になっており、証券会社の業務そのものもヘッジファンドを支援する
 プライムブローカレッジ業務に比重を置くようになっている。
 
 もともと証券会社には自己売買業務があったが、証券会社は自己資金を用いて、ファンド的な業務も行っている。
 つまり証券会社とヘッジファンドとの境目、垣根が低くなっているのである。 

shadow banking system
ヘッジファンド(hedge funds and prime brokerage)
政府系ファンド(SWFs)
自己資金投資(principal investment)
未公開株投資ファンドprivate equity firms 完全子会社化 カーブアウト スピンオフ

証券市場論 現代の証券市場 証券市場論リンク
    
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