Entrance for Studies in Finance

収益性改善考える(BPO KPOについて)

財務管理論講義前期第6回

収益性の改善に関連する議論
収益性改善をめぐる議論を4つの非財務的側面からみたい。このほかにレバレッジを効かして利益率をあげるという議論がある。借入をして事業規模を拡大することで、自己資本利益率を上げるといったとき、借入というやり方でレバレッジを効かしていると表現される。そして従来の議論ではこのレバレッジを効かせて利益率を上げることと、自己資本比率を上げて倒産確率を下げることとの間で、バランスする点、つまり資本コストが最小化する最適資本構成(最適な負債比率)が存在するとされ、それが財務論の前半の議論の核にあった。企業財務に関する意思決定を扱うのが財務管理論で、企業財務の課題として資金調達の在り方をみるからそうした議論が中心になったのだろう。
 こうした議論は、実務的に生産性あるいは収益性の改善になる諸方法になんら関心を示さないという点で疑問がある。
 財務の担当者も生産や流通の現場がどうなっているか。そこで何が起こっているかをまず理解することが必要だ。そもそも今日、果たして企業の資金調達というところが財務担当者の最大の関心事だろうか。とくに大企業や成熟企業では適切な投資先のない資金の扱いやM&Aなど突発的な資金ニーズがむしろ問題なのではないか。状況がそのようだとすれば、財務管理の眼目は資金調達からずらして理解してはどうか。私はそれをリスクマネジメントと置いた。資金の過不足や、調達の問題もこのリスクの中の一つではないか。
 
1.現在提供している商品を前提に生産性をいかに改善するか。
 工場での生産性の改善。電気機器、精密機器などでセル生産(cellular manufacturing)の導入の議論がある。従来の方式はライン生産方式(ベルト生産方式 フォードシステムFordism)と呼ばれた。これを一人がセルにこもって生産した方が生産性があがるとされて話題を呼んだ。なぜそうしたことが生ずるのか。背景には熟練した工員がラインのスピードに制約されずに作業することと、モジュール(複合部品)化による生産工程数の減少が行われるということが見落とせない。多品種少量生産のもとでは、セルの方が合理的で、ラインの背後とラインの上にある在庫・仕掛品も少なくて済むとも指摘される。
 生産現場での在庫管理の問題ではすでにカンバン方式(トヨタシステムToyota production system)という革新があった。これは補充すべき部品についての下請業者への指示とみなせる。これによりメーカー側は最小限の在庫を実現できるとされる。この方式をjust in time方式とかlean production systemと呼ぶ。
 このような在庫管理をさらに販売流通を含めて考えるときに、販売時点情報管理POSやSCM supply chain managementの導入が重要になる。理想的には、販売時の情報を生産現場が共有することで、生産を計画計算(販売数量を見込んで生産するもので売れ残り在庫が発生する可能性あり)から受注生産(顧客の注文により生産するもので売れ残り在庫は生じない)に近ずけることができる。
 受注生産の問題は顧客が必要とするときに在庫がないため販売できない機会損失であるが、SCMにより入手した情報で販売量の予測精度を上げることでこの機会損失を下げることができるとされる。
 次に生産性、収益性を上げるテクニックをみてゆこう。 
 
1ーa.設備の稼働率・生産性を上げる
 同じ設備のまま生産量を増やすと生産コストは下がる。なお設備が古くなると不良品率が上昇する。稼働率引き上げ。サッポロビール:老朽化した大阪工場の生産停止。静岡工場や千葉工場に設備投資。稼働率を改善しコスト削減実現へ。N07/06/01

混流生産
 一つの製造ラインで異なるサイズの車を生産すること。ラインの稼働効率が上がる。適量生産がしやすくなる。などのメリットがある。実施にあたっては、部品の共通化、工程のずれなどの調整が必要。
モジュール(複合部品)化
 自動車のコックピット(運転台)の取り付けで、下請けがモジュールの状態に組み立てたものを日産の社員が組み立てる方式に変更。従来は日産の社員がその場で組み立てはめ込んでいた。この新たな方式はGMのブラジル工場で導入された。日本での本格導入は日産の追浜工場が初めてとされる。A03/09/27
キットサプライシステム
 マツダが導入。マツダは混流生産でも国内では先頭をきって導入。車体に組みつける部品を事前に箱詰めしておくもの。従来は部品棚から選びとる。生産性が10%ほど上昇。作業ミスが減り作業が簡略になり作業習熟期間が短縮される。N04/05/26

 鉄鋼とか造船など製造業のなかでも重厚長大といわれる産業が近年復調している背景には生産性の改善努力がある。鉄鋼の場合は、人員を20年間に4分の1と大幅に減らし、設備を集約し付加価値の高い自動車用鋼板など高級品にシフトして集中投資をしている。その結果、収益力も高まるとともに一人あたりの生産量は2.3倍に増えている。

 多品種戦略の見直し
戦略商品の銘柄数を削減。売り筋の利益率の高い品種に集中した量産体制で収益率改善。消費者にも価格低下の波及効果。(参照 「品種絞りコスト圧縮」日本経済新聞2009年2月5日)生産・研究開発の効率化。広告宣伝の集中。認知度の改善。

1-b.調達コストの引き下げ 
 調達については社内で集約して注文量を大きくして、価格交渉力を高めて引き下げを求める。
部品の共通化・標準化
 総部品数削減(部品点数減らす)。標準品を使用。設計段階から部品共通化で発注量を増やして生産単価(納入単価)下げる。調達を集約。
 ソニー 2005年度末までに部品点数を84万点(2003年度)から10万点に減らす。取引先4700社(同)から1000社程度に。N04/01/20 (部品素材調達先を2010年末までに約2500社から1200社に減らす N09/05/21)
 松下電器産業では04/04子会社化した松下電工とともに800万種類に及ぶ部品数を1年後に10分の1程度に減らして購買単価をひきさげる。N04/07/03
富士ゼロックスでは部品の共通化と集中購買でコスト削減を目指す。部品検索システムを構築、価格や欧州環境規制などの基準を満たした部品以外は設計段階から排除。N05/08/27
 絞り込んだ企業に「主要サプライヤー」(リコー)N04/07/01「サテライトカンパニー」(アマダ)N04/06/27などと位置付け、取引金額拡大でコスト削減(リコー)、モジュール化ときめ細かな入荷でスペース縮小(アマダ)。
調達先を選別し優良企業に絞リ込む
 この理由はコスト面のほか 品質管理、技術支援(技術指導)を徹底する狙いもある(コスト 品質 技術で評価してふるい分け改善を求める)。ふるい分けたメーカーとは設計段階から情報を共有してコスト削減と品質向上をねらう。長期的取引関係に。これには環境基準の強化なども影響。
安価な原材料の使用
 安価な原材料を使用する技術の開発
標準品の使用
 単価の上がる特注品を避ける。
一品生産からセミオーダー生産へ
 大型設備の受注で顧客ごとに設計生産する一品生産から、設計や部材を共通にしたセミオーダー生産へ(自動車などの生産方法の応用)。標準品を基本にマイナーチェンジする。基本設計の時間を短縮できる。一品生産で短納期で受注すると製品の不具合につながりやすい。品質の向上にもつながる。<三菱重工業 発電プラントや環境装置:排煙脱硫装置など大型設備の生産体制の抜本的見直し>N06/01/14
 三井造船でも顧客ごとに違っていた基本設計を統一し、建造期間を半分に短縮、同じ形式のバラ積み船を毎月進水させている。この結果、一人あたりの生産性は競合の韓国に比べて5割多く、給与が日本より低い韓国と互角の勝負が可能になっている。N07/09/28

設計企画段階から原価企画の導入
 製品の販売価格から、部品や資材の価格を逆算して切り詰める。必要な機能を落とさずに原価を切り詰める。これを原価企画あるいは価値工学value engineeringという。VEは第二次大戦中にアメリカのGE社で発展させられた考え方で、日本には1960年前後に入ってきたとされる。VEの基本的なコンセプトをあらわした式としてV=F/C。顧客が必要とする機能Fから出発して、その機能を上げることと、コストCを下げることが価値Vを上げるには必要になることをこの式は示す。顧客が必要とする機能から出発して企画開発段階からコストを下げて行く取り組み。
新たな生産工法の導入
 製鉄 高炉を使わない新工法 鉄鉱石を加工する焼結炉 石炭を加工するコークス炉が不要 ポスコが浦項製鉄所で実用化炉を稼働させた 設備投資費8割ほどにN07/05/31
 電炉向け鋼材生産設備 加熱処理が不要の圧延工程 石川島播磨が開発し本格的に販売中 設備費従来の4分の1程度 建設期間も短い N07/05/31
IP電話
 固定電話に代えてIP電話にかえることで通信費を削減する ⇔ 通信障害が多発して評判落ちる 06年以降だけでも NTT東06/9 06/12 NTT西では06/3 06/4 06/10と多発 07/7 の障害は過去最も大きな障害で239万世帯に影響した可能性がある。 
無償基本ソフト(オープンソースソフトOSS)の利用
 基本ソフトのリナックスが代表的。これは1991年に登場。1990年代末に脚光。サーバーでは2割程度に普及N07/05。PCへの普及に課題。
リナックスのほかにもデータベース管理(大量データの記録や検索)の「ポストグレSQL」。ウエブシステム制御(ブラウザー経由で利用するシステムの制御)の「JBoss」など。
 システム構築費用・メンテナンスなど総費用で2-3割割安。
ソフトの期間借り ソフトを購入するよりは安い
 ASP application service provider
 SaaS software as a service
サーバーの期間借り ネット利用でサーバー・ソフトを必要な期間だけ借りる。レンタルサーバー。なおネットで情報を公開するためにサーバー機能を借りるものをホスティングサービスという。サーバーは高機能化により電力コストが、間接的には空調費用が大きくなっている。

1-c.受発注の在り方の改善
受発注管理システム
 東芝、富士通など調達・生産・受注システムの1本化。需要予測の精度を高めて、顧客からの納品時期(納期)に応じたり、特注品の納期を短縮。
 開発段階から顧客と情報を共有する必要。N04/10/09
花王、海外の製造・販売拠点について売上や在庫状況 1日単位で集計し東京で把握できる体制を構築した。06年にアジアについては稼働。07年春から本格稼働。N07/01/26

在庫量inventory
 最終財finished goods inventory
中間財work-in-progress(WIP) inventory
原材料raw material(=stand back) inventory
 販売機会を逃さない 不要な在庫をもたない 在庫回転日数の減少させる
NECは2006年3月までに企業ファクシミリなど量産品で計画生産を全廃。SCMの定着で、受注生産で指定搬送期日守れるように。2000年度に8300億円あった棚卸資産は04年度に5300億円に減少。PCなどは受注生産に切り替え済み。N05/11/17 販売拠点の削減も有効。
 在庫管理の理論(流通経済大学 高田富夫氏作成) 在庫管理の理論では最適在庫量を求める計算式はしばしば指摘されるところです。こうした公式の開発は、経営学の教育が大学院に行われるといったあり方とともに、経営幹部の工場離れを進めることになったと指摘されています。(戦後の動きのなかでとくに重要な点は、機械の保守と在庫を最適化するための数学的な方式が開発されたことだった。こうした公式を使って仕事をするなら、わざわざ工場に出向く必要はない。チャールズRモリスCharles R.Morris 山岡洋一「なぜアメリカ経済は崩壊に向かったのかThe Trillion Dollar Meltdown, 2008」日本経済新聞出版社 2008, 28)

在庫回転率の改善
 改善(数値の上昇=棚卸資産回転日数の減少)は売れゆき好調や在庫圧縮を示す。また運転資金を減らせる。在庫が効率よく収益に結びついていることを示す。悪化は売れゆき不振を示す。

1-d.生産に直結しない資産の売却
 日本の企業はビルや物流施設を自社保有することが多い。保有不動産が融資をうけるときの担保になる面もあるが、総資産利益率などが海外企業企業に比べ見劣りする一因になってきた。
 松下電器産業では国内の物流施設17ケ所を米系不動産開発会社のプロロジスに約850億円で売却。入手した資金をプラズマテレビなど中核事業への投資に振り向ける(N07/10/02)。

2.事業分野の再編 小規模な企業の統合 選別ルールの設定
 成長分野に資源の重点配分 本業と相乗効果のないもの あまりに小規模なもの(市場シェア)などが統合の対象
 撤退・廃止 設定した基準を満たさないもの 競争が激しいもの
 石播 国内関係会社100を2007-2009年度に20社程度の収縮 O6/11/02
 日立 06/09連結子会社885社をふりわけ2010年度末までに700社程度に。日立版EVAのFIV 02/2採用 FIV2年赤字 再建計画策定 承認 2年以内にFIV黒字化しない場合は撤退勧告N06/11/17
沖電気 不採算事業の整理 売上高利益率が3%に満たない製品やサービスが統廃合の対象。価格競争が激しい官公庁向け情報通信から撤退。半導体やプリンターでも不採算商品取扱い部門を他部門と統合 N07/03/29
不採算の判断基準 ハードルレートなどの設定。撤退のルール。選別ルール。
 味の素 2期連続営業赤字で事業改善計画書を提出。3期目も赤字になると撤退について検討する。2006年4月導入。
 三菱商事 投資先企業などが3年連続赤字になれば、再生計画を作成。回復の可能性がないと判断すれば撤退。1990年代後半導入。
 松下電器産業 海外の製造拠点約170か所が対象。利益率など5項目のうち2つ以上抵触すれば統廃合も。
 ハードルとして資本コスト 加重平均資本コストを使うことも。業界再編 設備廃棄が必要な側面がある。

3.アウトソーシングの活用については議論がある
 外部委託生産の活用。利幅の低い汎用品は自社で生産するより外注した方がよいとされ国内は付加価値の高い高機能品に特化するという議論が強い。スマイルカーブの議論など。しかしこの問題については議論が一致しないところがある。つまり徹底したアウトソース化をしていないところに、国際企業としての日本企業の限界を指摘する議論がある。なお国内企業間でもOEMの問題はあり、問題は対海外だけではない。

OEM original equipment manufacturing
開発費を抑えて消費者に嗜好に対応。供給側も販売経費かけずに稼働率を上げられる  すみ分け
 スズキ   日産に軽自動車供給 02/4- 06ピノとか
 三菱自動車 日産に軽自動車供給 03/10- 06オッティとか
 なおODM、EMS、ファウンドリーサービス等関連用語についてはこのブログ内の「中国と台湾の政治と経済」を参照。

 内製・外製 日本では基幹的な面で内製の維持が重要だと議論される。
部品の内製化をめぐり議論
 基幹部品・主要部品 技術革新の現れるところは内製化するproducing in house必要。内製化することで原価率低下の恩恵を受けやすいと考えられる。垂直統合の重視が日本企業の考え方。松下電器のプラズマテレビ。内製化率が5割。製品価格の維持に役立ち、外部販売でコストダウンも可能。シャープも液晶テレビが好調。パネルを自社生産することでパネル下落の影響を軽微にとどめることができた。大きな国内市場で価格競争を回避し高機能品高単価戦略で利益を維持。N06/07/27

BPO(business process outsourcing) 
経理、営業、人事、システム開発など社内業務の一部(ビジネス・プロセス )をその情報システムと合わせて一括して請け負うサービス。集中処理。機器の共有化やITを利用した業務手順を最適化などで業務の効率をたかめてコストも引き下げる(コストダウン)。電話応対業務などコールセンター業務。請求書の発行・送付。受発注。経理業務など。情報システムの構築・運用代行。ITアウトソーシングとも。委託業務は中核業務に経営資源を集中。受託側は低賃金の場所で規模の経済を追及するなど。

 銀行がコンピューターシステムの管理運営を全面的に委託。例 第四銀行(新潟県)では主要なコンピュータ―システムの管理運営を2004年度から日本IBMに全面的に委託する。全面委託は初めて。外部委託で60億円以上の費用を削減。経営資源を融資などに振り向ける。N02/10/01

 BPO business process outsourcingのうち、コールセンター 会計処理 ソフト開発などについての知的業務の委託をとくに、KPOあるいは知的業務委託:ナレッジプロセスアウトソーシングKPOと呼ぶ。
 インフォシスはインドのIT大手だがKPO受託の大手として知られる・ 頭脳労働の国際分業にシェア―ドビジネスをいかに活用するかが一方で議論され導入が始まっている。つまり知的労働のところまで海外を活用するということ。しかし日本の企業はなお及び腰。

日本では外注、業務のアウトソース化に限界があるとする議論が好まれる。外注はスピードに問題。小規模開発では中期的には割高。顧客へのきめこまかな対応に外注には限界など。外注しないことは自前主義と呼ばれる。

4.賃金の抑制と抑制がもたらす諸問題
賃金や人の教育への投資。これらについての考え方も議論が分かれるところである。
 大きくとらえると生み出される付加価値を労働者側と企業経営者側でどのように配分するかという問題がある。企業側とくにグローバルに展開する企業は賃金抑制を掲げるほか採用人数の抑制も主張する。 
 グローバルに展開している企業(自動車 電気機械など)は国内型企業(電気・ガスなど)に比べて賃金に抑制的。国際競争力に配慮(労組側も海外雇用者との競争を意識して安定的な雇用を志向)。外国人株主が多いと株主への配分にも配慮。
しかし年齢構成の変化 団塊世代の退職で正社員の減少 契約社員・嘱託などの増加。非正社員は景気変動に柔軟な対応を可能にするが生産品質の低下や技能伝承が途切れる不安がある。
 ホンダが期間従業員の増員、日産が派遣従業員の活用を行うなか、トヨタは期間従業員の正社員化を加速した。2004年度590名。2005年度900人。N05/06/09
またトヨタは60歳定年を迎えた社員を原則65歳まで再雇用する制度を2006年度に導入する。同様の雇用延長制度は各社で導入がみられる(1年ごとの契約、嘱託、子会社への転籍などの条件はあるが)。N05/02/15
 オフショアリング(海外への業務委託)の拡大は雇用の海外流出の側面がある。景気が回復しても国内の雇用の回復が遅れる=ジョブレスリカバリー(雇用なき景気回復)。これが消費にマイナスとの指摘も多い。また社会の階層化や格差社会を促しているのえはないかなどの指摘もある。
 派遣労働者が増える背景には労働者派遣法改正がある。従来は専門性の高い職種に限定 99末~ 製造・医療などを除き認められ営業販売職も可能になる。さらに2003/3 派遣法改正 03春施行 製造現場も可能になる(従来は一括業務請負のみ。派遣先の工場長指揮下の作業が可能に) 営業職などでは長期3年派遣可能に(2007年2月末までは上限1年。その後3年間へ) 直接の人件費の抑制 社会保険料負担抑制(原則は派遣企業側の責任)。

むすび 企業のサバイバルは生産性・収益性の改善だけで十分か
 国際競争の中で企業が生き残るには、生産性の改善だけでは不十分である。まず敵対的企業買収への備えが不可欠である。また国際的企業再編を主導するには、企業自体の集約統合により企業規模を拡大することが必要だという議論もある。国際的な競争には規模の問題を解決することが必要だということが、大型の経営統合が今日増加している大きな背景となっている。また顧客企業のグローバル展開に合わせて、供給側メーカーの対応が必要になっている。
 なお日本の企業で世界でトップに立つのは自動車ではトヨタ。そして一般には知られていないが旭硝子(1981年ベルギーのグラバーベル、1992年米AFGインダストリーズを買収)。2006年売上高で2倍の大きさの英ピルキントンの買収で話題を呼んだ日本板硝子は世界3位(2位は仏サンゴバン)。ガラスは建築用に使われるほか自動車用、液晶・プラズマのディスプレイ用(携帯電話向け含む)などのニーズがある。この買収は、日本板硝子の生き残り策であるだけでなく、自動車大手への素材供給力の改善になるとされた。しかしガラス業界の2006年後半の状況をみると、欧州などでのガラス需要拡大の反面、中国からの安価な建築用ガラスの流入、原燃料の高騰などの問題がある。ピルキントンの買収で膨らんだ負債の削減が板硝子にとって次の課題である。
 Written by Hiroshi Fukumistu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author.Hiroshi Fukumitsu is a professor of financial management at Seijo University, Tokyo.

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