炉端での話題

折々に反応し揺れる思いを語りたい

米国の国内企業再興は

2017-01-06 12:02:43 | Weblog
年が改まり、いよいよ米国では大統領としてトランプが就任する。
ビジネス企業で財をなしたトランプが米国内の企業再興に力を入れようとして、まずは自動車産業にテコを入れるらしいことが最近のニュースから伺うことができる。GM、ゼネラル・モーター社がメキシコ工場で生産する小型車の米国輸入には高い関税をかけるといいだし、フォードはメキシコの工場設置計画を米国内工場の建設に変更するという。
1月6日のニュースによると、トヨタがメキシコにおける小型車工場の建設は地域の繁栄をもたらすためのもので、その約束は守るとトヨタ社長は明言している。これに対してトランプは外国車の輸入には高い関税をかけるとツィッターで述べているらしい。

米国内の企業再興の動向は、はたして大陸気質のアメリカ人に受け入れられるであろうか。アメリカ大陸で、はぐくまれたフロンティア精神については、2011年8月にこの炉端での話題で「島国根性と大陸気質」として述べた。広大な資源を先取りすることがフロンティア精神の一端であり、大企業化に向かって邁進するベンチャー企業は、競争相手が出現すればこれをノックアウトしてでも市場独占を達成する開拓精神で立ち向かうのである。
この開拓精神構造が生きながらえていれば、自動車産業の再興に活力を与えるためのトランプはどのような施策を実施すればよいであろうか。最も簡単な方策は、輸入自動車に高い関税を課すことである。すべての部品から米国内での生産に切り替えるために、部品の輸入にも高い関税を課す。米国内では自動車産業でフロンティア精神が再起させる。そこでどのような現象が生じるか。

 想像してみよう。
米国の自動車産業が外国に席巻されつつあったのは、米国内労働者の労務費が高騰していたことから海外の低労務費の国外産業に移譲していたからである。
現状のまま米国内生産を増大させれば、フロンティア精神に基づく企業展開になる。人材確保のために労務費を高くして生産労働者を確保しなければならない。その結果として当然ながら米国内生産の乗用車の価格上昇を招く。
トランプが保護貿易のためのカードとして輸入関税を高くしても、米国外の乗用車が安価になることが予想される。トランプは輸入関税をさらに高くするか、外国車の輸入禁止する方策とするかもしれない。

家人の一人は、正月をニューヨーク・シティで過ごし、最近の様子を話してくれた。物価は高いという。地下鉄の料金が初乗しても全線均一の2.75ドル、なつかしくラーメンでも食べようと思ったら15ドルもするという。いま1ドル115円であるから単純計算すると地下鉄は320円で、ラーメンは1725円、店によっては2ドル程度のチップを置くとすれば2千円程度となる。家人は帰宅してから、インスタント・ラーメンにとびつくように食していた。
そのニューヨーク・シティのタクシーはトヨタがほとんどであると語っていた。トヨタ車は故障が少ないことがその理由と推量する。数年まえに筆者が台湾でタクシーを利用したときすでに十年以上使って百万キロ以上は走行しているが、まだまだ健在であると運転手が語っていたことを想い出した。

トランプの国内産業保護政策が浸透すれば、資源が無尽蔵に近い開拓時代のフロンティア精神、すでに資源が限定されつつある現代に甦るとすれば、弱肉強食の状況をかもし出し、貧富の差は拡大する。そもそもトランプは弱肉強食で立ち上がった首領ではないだろうか。
自由を高く掲げて繁栄した米国は、保護主義のもとに白人社会となり、有色人種は自由を剥奪された社会となるのではないかと懸念される。インターネットを見ていると米国から帰国する邦人がボツボツいるという。

数週間後には、米国にトランプが大統領に就任する。ここに記した想像は悪夢であって欲しいと念願する新しい年明けである。
(納)

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