利用者の中原さんは、電動車イスの生活であるが故の喜び・悲しみ・悔しさなどを短歌の世界に表出してみようということで現在短歌作りに取り組んでいます。取組の成果として、3編ほど紹介してみます。
【洋服の 袖も通せぬ 右腕に 罵声あびせる 「この役立たず」】
【一文字も 書けない我に パソコンの この世にあるは 最大の武器】
【俺だけが ガラスに写る 闇の中 悪魔の身体 正体見せろ】
健常者にとっては当たり前にできることが、身体障害者にとってはそうでないことがあります。例えば、起床の仕方一つ想像してみても、ベッドなのか畳の上なのか、どうやって起き上がるのか気になります。次に、顔を洗う場合にはどうやって洗うのか、誰かに洗ってもらうのか、そんな時にはどんな気持ちになるのか。服を着る場合も同様にどうするのか、自分の力でできるのか気になります。このようなケースを想像しながら、身体障害者の思いや願いにふれることは健常者にとっても何か新しい発見や教えられことがたくさんありそうです。3編の唄を詠みながらそんなことを考えました。