「わー、すげぇー。東京タワーの上空だ。」
公吉は半分天上界に足を掛けながら、東京タワーに掴まり、空中に浮きました。
「二人とも来た事あって、高い場所が東京タワーしかなかった。」
禄郎が言いました。
「俺、中学の修学旅行で来たからな。」
公吉が答えました。
「こっちに来るぞ!!」
鷹は鱗の龍に纏わり付き、挑発しながら、龍に自分の後を追わせ、禄郎の方へ飛んで来ました。
禄郎は右手の中に短い刀を隠し、手を伸ばしました。
そして鷹を追いかけた龍が、直ぐ側を通過する瞬間、右手で龍に触れました。
一瞬で龍が小鳥に変わると、小鳥は禄郎の手に留まりました。
「わっ!ビックリした。…可愛いな。」
公吉が禄郎の手の上の小鳥に触れようと手を伸ばしました。すると、公吉が小鳥に触れた途端、小鳥は鱗に変化しました。
「あれ?嘘だろ。何これ?」
公吉は驚いて自分の手のひらの鱗を見つめました。
「鱗に触れても変化しないんじゃなくて、触れると鱗の姿に戻すのか…。」
禄郎も驚愕した様子で言いました。
「悪いけど半分天上界まで預かってもらえるか?小鳥だとどこかに飛んで行きそうだから。」
「分かった。」
公吉は鱗を服のポケットに入れました。
「この鷹どうしよう…。」
禄郎は頭の上を飛んでいる鷹を見ました。鷹は半分天上界を目指して飛び立ちました。
「後を追おう。」
二人は鷹を追いかけました。
すると、鷹は半分天上界を通り、海辺の町に出ると、一人の海上自衛隊員の腕に舞い降りました。
「あれ?櫂太君?」
「禄郎君だ!!久しぶり!」
腕に鷹を留まらせて、海上自衛隊員は禄郎に声を掛けました。
「どなた様?」
公吉は禄郎に尋ねました。
「おっさんが突然海のシルクロードを目指すとか言い出して、景教の天使さんと別れた後で、犠牲に、いや、見込まれてしまった海上自衛隊術科生。」