今、半分空の上にいるから

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今、半分空の上にいるから 龍と鷹 その2

2017-07-25 00:13:54 | 今、半分空の上にいるから①(完結)

 「わー、すげぇー。東京タワーの上空だ。」
公吉は半分天上界に足を掛けながら、東京タワーに掴まり、空中に浮きました。

 「二人とも来た事あって、高い場所が東京タワーしかなかった。」
禄郎が言いました。

 「俺、中学の修学旅行で来たからな。」
公吉が答えました。

 「こっちに来るぞ!!」

 鷹は鱗の龍に纏わり付き、挑発しながら、龍に自分の後を追わせ、禄郎の方へ飛んで来ました。

 禄郎は右手の中に短い刀を隠し、手を伸ばしました。

 そして鷹を追いかけた龍が、直ぐ側を通過する瞬間、右手で龍に触れました。

 一瞬で龍が小鳥に変わると、小鳥は禄郎の手に留まりました。

 「わっ!ビックリした。…可愛いな。」
公吉が禄郎の手の上の小鳥に触れようと手を伸ばしました。すると、公吉が小鳥に触れた途端、小鳥は鱗に変化しました。

 「あれ?嘘だろ。何これ?」
公吉は驚いて自分の手のひらの鱗を見つめました。

 「鱗に触れても変化しないんじゃなくて、触れると鱗の姿に戻すのか…。」
禄郎も驚愕した様子で言いました。
「悪いけど半分天上界まで預かってもらえるか?小鳥だとどこかに飛んで行きそうだから。」

 「分かった。」
公吉は鱗を服のポケットに入れました。

 「この鷹どうしよう…。」
禄郎は頭の上を飛んでいる鷹を見ました。鷹は半分天上界を目指して飛び立ちました。

 「後を追おう。」
二人は鷹を追いかけました。

 すると、鷹は半分天上界を通り、海辺の町に出ると、一人の海上自衛隊員の腕に舞い降りました。

 「あれ?櫂太君?」

 「禄郎君だ!!久しぶり!」
腕に鷹を留まらせて、海上自衛隊員は禄郎に声を掛けました。

 「どなた様?」
公吉は禄郎に尋ねました。

 「おっさんが突然海のシルクロードを目指すとか言い出して、景教の天使さんと別れた後で、犠牲に、いや、見込まれてしまった海上自衛隊術科生。」


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